ボートレース(競艇)における最高峰のグランプリ!2020年は平和島が舞台!

ボートレース(競艇)における最高峰のグランプリ!2020年は平和島が舞台!

ボートレースグランプリは、ボートレース(競艇)の世界におけるあこがれの舞台であり、最高峰のレースです。かつての名前は「賞金王決定戦競走」だったため、昔からのファンは今でもこのレースを賞金王と呼んでいます。
優勝賞金は堂々の1億円であり、すべてのボートレーサーが目指す頂点といえるでしょう。テレビの地上波でも放送される、日本における一大イベントがボートレースグランプリです。
では、ボートレースグランプリの歴史、グランプリとグランプリシリーズの違い、出場するための条件、2020年の開催地であるボートレース平和島の情報、現在の賞金ランキングを一挙に見ていきます。
また、グランプリおよびグランプリシリーズにとって重要なSG競走のチャレンジカップについても、あわせて解説します。
さらに、1億円という巨額の優勝賞金で気になる、ボートレーサーたちの収入面についても掘り下げていきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

もくじ


ボートレース(競艇)のグランプリは艇界最高峰のレース

©BOAT RACE オフィシャルウェブサイト

ボートレース(競艇)において、グランプリは単に年末を盛り上げる総決算というだけではありません。夢と希望と誇りが詰まった、輝きに満ちた数日間こそ、ボートレースグランプリとグランプリシリーズです。
ボートレースグランプリがいかに艇界最高峰のレースなのか、様々な視点から解説していきましょう。

ボートレースグランプリの位置付け

ボートレースの開催においては、特殊な企画レースを除き、複数の日程を戦い抜いてポイントを重ね、上位選手として準優勝戦に進むことが目的となります。準優勝戦において2着以内に入ることで優勝戦に進み、節間の優勝をかけた最後の戦いが繰り広げられます。
優勝戦に出場する6人に選ばれることは、ボートレーサーにとっては至上命題といえるでしょう。
ボートレースのグレードはSG、プレミアムG1(PG1)、G1、G2、G3、一般の各競走に分かれており、グランプリとグランプリシリーズはもちろん最高級のSGに属します。ただ、グランプリはSGの中でも特に重要な総決算のレースです。
このため、グランプリに出場する資格を得るだけでも栄誉であり、そこで勝ち進んでグランプリの優勝戦に名前を連ねることは、すべてのボートレーサーの夢であり目標になります。

ボートレースグランプリの歴史

1986年、ボートレースグランプリの前身となる賞金王決定戦が始まりました。また、同時に賞金王シリーズ戦も設立され、後のボートレースグランプリシリーズになります。
とてつもなく高額な優勝賞金が当初から設定され、この戦いを制した者こそが年間最多賞金獲得選手、すなわち賞金王になる可能性が高いレースでした。まさしく賞金王決定戦の名にふさわしいといえるでしょう。
現在のボートレースグランプリ、ならびにグランプリシリーズという名前になったのは2014年からです。2014年は「競艇」が「ボートレース」として改められ、大きくイメージ変更の戦略に舵を切った年でもありました。
開催場所は持ち回りではあるものの、1986年から2019年までの34回で、実に29回が大阪府大阪市住之江区のボートレース住之江(住之江競艇場)で開催されています。こうした経緯から、ボートレース住之江はボートレース界における聖地のような扱いになっています。

ボートレースグランプリとグランプリシリーズの違い

グランプリとグランプリシリーズは同じSG競走であり、さらに同じ期間に行われますが、その性格は大きく違います。
グランプリはその年に活躍した18人の選ばれしボートレーサーの祭典であり、グランプリシリーズは惜しくもグランプリの選考基準に達しなかったものの、1,600人超いるボートレーサーの中でも優秀な選手たちによる年末の戦いの場となっています。
さらに、グランプリシリーズは、グランプリ本戦で敗退が決定した選手が合流する存在です。グランプリシリーズもまた艇界最高峰のSG競走に位置つけられているのは、こうした理由に基づいています。
グランプリとグランプリシリーズは、確かに違う開催でありながら、同時にボートレースの頂点を決める戦いの役割を複合的に担っていると表現できるでしょう。

ボートレースグランプリの歴代優勝者の特徴

これまで34回行われた賞金王決定戦、そしてボートレースグランプリからは、多くの華々しき優勝者が生まれてきました。ボートレースグランプリの優勝戦に出場するのは栄誉であるとともに、翌年のチャレンジカップ以外のSG競走優先出走権を手に入れます。
改めて、確認しましょう。ボートレースにおいて、インは絶対的に有利です。1号艇が99%入る1コースは断然の勝率を誇り、グランプリレーサーともなれば、そのスタートにおいて大きなミスをするはずもありません。
しかし、なんとグランプリの優勝戦においては、決して逃げが圧倒的に有利とは限らないことが記録から読み取れます。これはかつてプロペラに関する制度が異なっていた点も大きく、近年は逃げが多くなっているとはいえ、実に興味深い事実でしょう。
とりわけ、これまで3回開催されてきたボートレース平和島におけるグランプリでは、一度たりとも1コースからの逃げ切りVがありません。2コースからの差し、3コースからのまくり、6コースからの差しと、劇的な展開が待っていました。
今年、2020年の開催地は、2014年以来にそのボートレース平和島です。2015年から2019年までのボートレース住之江の開催では、これまでの歴史にない5年連続での1コース逃げVが続いています。
2020年、ボートレース平和島でのボートレースグランプリは、こうした記録がどのようになるかという点にも注目でしょう。


ボートレースグランプリに出場するための条件


©ボートレース平和島 ピースターブログ

ボートレースグランプリには、誰もが出られるわけではありません。ボートレースグランプリは、当年のボートレースにおける総決算という意味合いを含む年末の大祭です。出場するには、明確かつシンプルな条件を満たさねばなりません。
その鍵となるのが、当年の賞金ランキングです。また、賞金ランキングの上位であるか下位であるかも、グランプリにおける有利不利に大きく影響してきます。これらの内容について、詳細に解説しましょう。

ボートレースグランプリの出場には賞金ランキングが重要

ボートレースグランプリの出場権を獲得するために必要な要素は、とてもシンプルです。すなわち、当年中にたくさんの賞金を稼いで、賞金ランキングの上位にランクインすることです。
賞金ランキングの算定期間は、同年中の1月1日から、11月下旬に行われるSG競走チャレンジカップの終了までです。この期間内に賞金ランキングの1位~18位に入ることで、晴れてグランプリへの出走が叶います。
同時に、残念ながら18位以内に入れなかった選手にも、同じく年末の晴れの舞台であるSG競走グランプリシリーズの門戸が開かれます。こちらは賞金ランキングが19位~60位の選手が対象です。

夢の舞台に絶対に出られない条件もある

ただし、ある条件を満たしていると、逆に出場が叶わなくなります。その条件は複数あるため、ひとつずつ説明しましょう。

<フライング休み>
フライングによって発生する休み期間が、グランプリおよびグランプリシリーズの開催期間および前検日と重複する場合です。とてもわかりやすい話で、他のあらゆる競走と同じように、グランプリおよびグランプリシリーズにも出られなくなります。
ただ、年末の大一番ということもあり、救済措置が設けられています。それは、獲得賞金ランクが21位以内の選手の場合、グランプリおよびグランプリシリーズに限ってフライング休みの制限が免除になるものです。
つまり、フライング休みの要件はグランプリ出走選手、およびグランプリシリーズ出走の最上位選手には適用されないといえます。


前年グランプリから当年チャレンジカップまでの間、SG優勝戦で選手責任のスタート事故を起こした選手です。SG優勝戦でのフライングまたは出遅れなど、あってはならないこととして定められています。
このため、当該期間内のSG優勝戦でスタート事故を起こした選手は、自動的に選出対象から除外されます。
しかし、グランプリは実に特別な舞台のため、賞金ランキング18位以内の選手はこの規定が適用されません。グランプリシリーズが対象の選手は残念ながら出場できないものの、グランプリが対象の選手は無事に艇を並べられることになります。


こちらは優勝戦と違い、当年オーシャンカップから当年チャレンジカップまでが対象期間です。あとは舞台がSG競走の準優勝戦になっただけで、選手責任のスタート事故を起こした選手である点について変わりありません。
同じく、当該期間内のSG準優勝戦でのスタート事故を理由として、選出の対象から除外されます。また、こちらもグランプリ対象選手には適用されず、グランプリシリーズ対象選手のみが除外となります。

<負傷や病気などによる辞退>
選手の心身の問題のため、出場できないケースです。これはグランプリおよびグランプリシリーズに出られませんし、本人の意志での形になります。

<褒賞懲戒規定に基づいた出場停止の処分>
選手、審判員及び検査員褒賞懲戒規程に基づいた懲戒処分は、ボートレーサーにとって非常に重いものです。それだけに限りなく特殊な事例ではありますが、万一この処分が下っていた場合、賞金ランキングに関わりなく出場から除外されます。
懲戒処分の具体的な事例としては、八百長を疑われるような違反走行をしてしまったケースが挙げられるでしょう。

ボートレースグランプリで勝ち進む有利不利にも賞金ランキングが絡む

ボートレースグランプリに出る選手が、賞金ランキングの1位~18位の選手である点については、重ねての説明は必要ないでしょう。
ただ、これら18人の選手の中でも、グランプリ開催の中での待遇に違いが出てきます。なぜなら、賞金ランキング1位~6位の選手は、一次予選にあたるトライアル1stを免除されるためです。
すなわち、1年を通して活躍してきた6人の選手に対して、それに対抗できるだけの輝きを秘めた12人の選手たちだけで予選(トライアル1st)を行い、勝ち残った選手のみが挑戦権を得るシステムになります。
賞金ランキング1位~6位の選手が登場するトライアル2ndにおいても、この6人には優遇措置があります。それはボートレースにとって非常に大切な、モーターに関するものです。
通常、モーターは抽選制であり、自由に選ぶことはできません。このため、仕上がりの良いパワーのあるモーターが、開催に楽しい波を作ってくれます。
しかし、このグランプリのトライアル2ndでは、ランキング1位~6位の選手に2連対率(1着2着になった確率)の高いモーターが優先的に振り分けられます。
これに加えて、1位~6位の選手にはトライアル2ndの1走目で上位入線が見込める内枠が与えられるので、トライアル1stからの勝ち上がり組とは大きな差があるといえるでしょう。
この短期決戦を勝ち抜いた選手6人が、栄光のグランプリ優勝戦へとコマを進めます。賞金王にはアベレージだけでなく、ここ一番での勝負強さと度胸が試されています。

2020年11月16日現在の賞金ランキングはこれだ

©BOAT RACE オフィシャルウェブサイト

2020年11月16日現在の賞金ランキングでは、ボートレース界を牽引する代表的選手である佐賀の峰竜太選手が1位となっています。
峰選手は2018年に悲願のグランプリ制覇を果たしてしますが、複数回の賞金王さえ目指せるポテンシャルを持った選手です。2回目のグランプリ制覇に向け、気炎万丈といったところでしょう。
大きな優位を得られる2位から6位までには、2007年にグランプリ制覇を果たしている兵庫の吉川元浩選手、実兄の篠崎元志選手が2012年にグランプリレーサーとなった福岡の篠崎仁志選手。
さらに、現在の艇界を代表する選手でありながら、グランプリ制覇歴はない群馬の毒島誠選手と続き、山口の寺田祥選手、静岡の菊地孝平選手と並んでいます。
それでも、額面から見ても接戦であることが窺えるでしょう。この激しい戦いは、最後の高額賞金ゲットの機会となるSG競走チャレンジカップまで続きます。チャレンジカップの結果によっては、ベスト10圏外からのベスト6以内へのジャンプアップも充分に望めます。
優勝賞金の3,300万円は、まさしく名前どおりの「挑戦権」を奪い取るための戦いになるでしょう。

◆2020年11月16日現在の獲得賞金ランキング(第1位~第20位)
第1位:峰 竜太(佐賀)
第2位:吉川 元浩(兵庫)
第3位:篠崎 仁志(福岡)
第4位:毒島 誠(群馬)
第5位:寺田 祥(山口)
第6位:菊地 孝平(静岡)
第7位:深谷 知博(静岡)
第8位:瓜生 正義(福岡)
第9位:白井 英治(山口)
第10位:徳増 秀樹(静岡)
第11位:茅原 悠紀(岡山)
第12位:新田 雄史(三重)
第13位:松井 繁(大阪)
第14位:平本 真之(愛知)
第15位:井口 佳典(三重)
第16位:西山 貴浩(福岡)
第17位:前本 泰和(広島)
第18位:守田 俊介(滋賀)
第19位:池田 浩二(愛知)
第20位:上野 真之介(佐賀)


SG競走チャレンジカップがグランプリおよびグランプリシリーズにとって超重要なワケ

©BOAT RACE オフィシャルウェブサイト

前段の賞金ランキングの項目でも触れたとおり、SG競走チャレンジカップの優勝賞金3,300万円はランキングを激変させる威力を持っています。それは単純に魅力的な額であり、同時にグランプリやグランプリシリーズへの出場切符になりえるわけです。
そんな超重要な存在であるSG競走チャレンジカップについて、2020年の開催情報も含めて見てみましょう。

チャレンジカップはボートレースグランプリとグランプリシリーズへの最終便

チャレンジカップの出場選手として選抜されるのは、当年1月1日から10月31日までの獲得賞金ランキング34位以内のボートレーサーたちです。
年末の夢舞台へ駆け抜ける上位18人に入るため、また最高の栄誉に手が届く距離にある上位6人に入るため、選手たちの激しいバトルが展開されます。
それは裏を返せば、ここでの結果によっては上位6人の選ばれし戦士から、ひいてはグランプリ出走という華々しい舞台から蹴落とされる選手が出る可能性も高いといえます。
どのSGもトップレベルの戦いが見られますが、グランプリ出場権まで含めて考えてみると、チャレンジカップは何倍も楽しめる競走になるでしょう。

2020年チャレンジカップは愛知のボートレース蒲郡で開幕

2020年のチャレンジカップは、愛知県蒲郡市のボートレース蒲郡で開催されます。2006年からオールナイター競走による施行であり、このチャレンジカップも当然ナイター開催です。
2008年には、全国の24場ある競艇場の売上ランキングトップに立ちました。売上ランキング首位は聖地たるボートレース住之江が君臨し続けていましたから、まさに総ナイター化の一撃が決まったといえるでしょう。
ボートレース蒲郡の特徴としては、実力差がはっきりと出るコースという点にフォーカスできます。コース幅が広く取られていて、風や潮の影響が小さいため、選手がフルに力を発揮しやすい環境が整っているためです。
こうした舟券を購入するファンにとっても勝負しやすい環境が、売上の上昇に寄与しました。2020年のチャレンジカップを予想する際にも、この特徴を考えて入ることがおすすめです。

2020年チャレンジカップと同時開催のレディースチャレンジカップも要注目

チャレンジカップと同時開催されるレースとして、G2レディースチャレンジカップがあります。こちらはチャレンジカップと同じく1月1日から10月31日までを対象期間とし、女子獲得賞金ランキングの上位20名が出場します。
このレースは年末のグランプリのさらに後に行われる女子選手たちの祭典、プレミアムG1
クイーンズクライマックスに向けての最終トライアルレースとして位置つけられています。まさに女子選手にとってのチャレンジカップですね。
また、女子選手のトップ層は、ここでの優勝賞金を獲得すれば、グランプリシリーズへの出走資格を獲得する可能性があります。女子選手もまた男子選手にも負けないくらいに数千万円を稼げている事実が、とてもよく反映されています。


ボートレース選手はいったいどれだけ稼げるのか

©BOAT RACE オフィシャルウェブサイト

ボートレースの選手は、稼げます。ボートレーサーは、単にボートをうまく操るだけの存在ではありません。
もちろん、体感速度120km/hで水面を滑走するのは驚きの一言ですが、それに加えてモーターを整備するエンジニアとしての技術や、つらい減量に耐える精神力が要求される仕事になります。
また、成績が悪くてもしがみつけるわけではありません。競輪における代謝制度と同じように、ボートレースにおいても成績が悪い選手は強制的に引退させられます。質の高い競走を維持するため、選手たちは常に自己研鑽しています。
そんなボートレースのプロフェッショナルたちがいったいいくらもらえるのか、公式データを中心に紐解いてみましょう。

ボートレース選手の平均的な稼ぎは驚きの1,600万円

ボートレース選手の平均年収は、約1,600万円であると公式に発表されています。これは数あるプロスポーツ選手の中でも、トップクラスに稼げている数字でしょう。
そもそも、ボートレースグランプリの優勝賞金1億円にしても、単体のレースの優勝賞金としては世界で第2位に位置付けられています。
さらに、第1位のKEIRINグランプリは1億340万円で、これは副賞の500万円を加えてのものなので、本賞金の額としてはボートレースグランプリが世界一の賞金額といえるでしょう。
では、ボートレースグランプリ以外のレースの優勝賞金はどうなっているのか。この問いかけの答えは次の項目に委ねます。

各競走の優勝賞金はこんな感じ

各競走によって、ある程度は優勝賞金、ならびに他の着順の賞金は変わってきます。しかし、大体の金額はレースのグレードから読み取れます。

[各グレード別の優勝賞金の目安]
グランプリ:1億円
SG:1,700万円~3,900万円
PG1/G1:480万円~1,500万円
G2:450万円
G3:105万円以上
一般:74万円以上

このようにして一覧にしてみただけで、G2以上の特別競走がいかに重要であるかが垣間見えます。G1の最高額ともなれば、一般競走で20回優勝するだけの金額を一度にもらえるわけです。
また、これはあくまでも開催に優勝した選手が受ける栄誉であり、レースで走ることによって都度もらえる賞金や、その他の各種手当が存在する点に留意したほうがいいでしょう。


ボートレースグランプリおよびグランプリシリーズは艇界最高にして最強を決める戦い

©BOAT RACE オフィシャルウェブサイト

すべてのボートレーサーは、たとえダサいと言われようとも、グランプリの優勝インタビューで金色のヘルメットをかぶることを夢見ています。その栄誉に浴するということは、ボートレーサーの中のボートレーサーになれた証でもあるからです。
そうした夢と希望と野心があるからこそ、グランプリは、グランプリシリーズは、さらにその舞台を目指すためのチャレンジカップは、すさまじい熱気を放つ魂のほとばしりとして記憶されることでしょう。
ぜひとも、この最高の6日間を迎えるために、選手たちの動きのひとつずつに注目してみましょう。その勝負に向けた積み重ねを知ることで、グランプリおよびグランプリシリーズの輝きは最大級の感動として心を響かせてくれます。
2020年のグランプリおよびグランプリシリーズは、東京都大田区のボートレース平和島にて、12月15日(火)から12月20日(日)までの開催です。ボートレースの楽しみがぎゅっと詰まったこの舞台へ、ボートレーサーだけでなくファンの気持ちも頂点へ向かっていきます。

[参考資料]
■全体参考
賞金王決定戦競走 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=146808

■ボートレーサーの平均年収
ボートレーサーの平均年収は? – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/faq/racer/f_03_3.html

■優勝賞金について
LEVEL.1 優勝賞金や平均年収
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level1/l1_02_01_05.html

【特報】ボートレースグランプリ2020出場選手決定!

■boatgrandprix_2020racers.png

SGチャレンジカップ2020(開催:ボートレース蒲郡)が群馬の毒島誠選手の優勝で幕を閉じ、ついにSGボートレースグランプリ2020(開催:ボートレース平和島)に出場する18名のトップレーサーたちが選出されました。
11ヶ月間の長きに渡る賞金ランキング争いによって選ばれた、2020年の賞金王を目指す戦いのクライマックス、優勝賞金1億円をかけたファイナルバトルへの挑戦権を持ったレーサーたちは以下の18名です。

第1位:峰 竜太(佐賀・35歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

峰竜太なくして今のボートレースを語れない、それほどまでに影響力の大きな佐賀の英雄が、今年も賞金ランキング1位でグランプリを迎えました。今年を含めて4年連続での獲得賞金1億円突破です。
しかも、それだけではなく、2015年からの6年連続での勝率1位が濃厚な状態で、実に驚異的な記録といえるでしょう。2014年の勝率は43位だったので、目覚めというのはある時に突然やってくるものだと感じさせてくれる選手です。
峰竜太選手には、何しろどのコースから入っても勝てる強さがあり、実際に11回進入した6コースからでは平均STがコンマ11、1着率は18.1%という、大外は勝てないという神話は何だったのかわからなくレベルで勝利を重ねています。
1コース進入の場合の1着率は87.6%で、「インの峰竜太が負ける時のモーターがどれだけ悪いのか」「あるいはどれだけ他の選手が神がかっているターンを見せたのか」というレベルで盤石の態勢を築いているといえるでしょう。
お笑い芸人の千鳥のノブさんが「4カドの峰は峰なんよ」と発言していましたが、4コース進入時はカドとは限らないものの、1着率30.4%、2着率39.1%と10回に7回は2連対を確保する図抜けっぷりです。
ただ、意外なのが3コースのほうが恐ろしい数字を計上していることでしょう。3コース進入は43回とかなりの回数を重ねているのですが、平均STコンマ12で、1着率34.8%、2着率25.5%、3着率30.2%を記録しています。つまり、3連対率は90.5%です。
これは推測ではありますが、3コース進入は一般的に外を回してのまくり勝負でインの選手に戦いを挑むため、引き波にハマる可能性のある2コースや4コースに比べ、ターンが安定しやすいのでしょう。
このため、4コースほど2着率が高くないにしても、3コースならほぼ確実に3着は確保するというデータが出現しているようです。このデータは2020年のグランプリのみならず、2021年以降も有用なデータとして使えるでしょう。

第2位:毒島 誠(群馬・36歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

群馬の誇る星、毒島誠選手が、SGチャレンジカップの優勝によって第2位にまで浮上してきました。これでSGは通算でV7となり、通算6回目の1億円レーサーの称号を獲得しています。
しかも、毒島選手の通算7勝のSG勝利のうち、6勝がナイターでの勝利というナイターの申し子っぷりです。一部では「ナイターキング」と言われているのも納得の夜の帝王の存在感です。
ナイター開催は潮汐や気象変化が大きいと言われているのに加え、太陽と照明とで光の加減も変わります。前半と後半で条件が変わりやすいにもかかわらず、安定した成績を残せているわけですから、毒島選手のモーターの調整スキルと観察眼が図抜けているのでしょう。
それほどまでに優れた技能を持つ毒島誠選手でありながら、まだグランプリを制したことがありません。
念願のナイター開催だった昨年のグランプリも、制したのは地元大阪の石野貴之選手でした。グランプリ優勝戦にまで駒を進めた3号艇の毒島選手は、1号艇イン逃げを決める石野選手を捉えきれず、無念の5着フィニッシュに終わっています。
もっとも、これをもって毒島誠選手が勝負弱いとは言えません。勝負弱い選手が4年連続、通算6度の1億円レーサーにはなれないからです。
毒島誠選手は慈善家としての側面も知られており、定常的に獲得賞金の一部を日本財団に寄付しています。この功績が認められ紺綬褒章を授与されるまでに至りました。受章の基準となる寄付額は500万円とも1,000万円とも言われていますから、相当なものです。
ボートレースダービーの優勝賞金3,500万円を東日本大震災の被災地支援に全額寄付した守田俊介選手が有名ですが、毒島誠選手のようなこつこつと積み立てる寄付もまた評価されるべきでしょう。

第3位:吉川 元浩(兵庫・48歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

吉川元浩選手は、1995年に発生した阪神淡路大震災で人生が変わったボートレーサーです。当時22歳だった吉川選手は建築会社に勤めていましたが、被災したことをきっかけに多くの衝撃を受け、その中で同僚から競艇選手の道を勧められて受験を決意します。
当時、競艇選手の養成所である本栖研修所の年齢上限は22歳でしたが、見事に一発合格することで最初にして最後のチャンスをものにしました。
新人選手はデビューから見習い期間を何度も大外からのスタートで過ごし、レースに慣れるのが通常です。しかし、吉川元浩選手はデビュー戦でいきなり初勝利の快挙を成し遂げ、水神祭の栄誉に浴します。
さらに、デビュー翌年の1997年には初優出、そこから2年後の1999年1月には初優勝と、猛烈な出世を続け、デビュー4年目には近畿地区選手権で早くもG1初優出を達成します。その翌年の2001年にはSG笹川賞で初優出、しかも優勝戦1号艇という大チャンスでした。
しかし、勝利の女神が常に微笑み続けるわけではありません。この一世一代の舞台で、吉川元浩選手は1号艇ながらも5着に終わり、そこから2007年まで幾度となくSG競走に挑むも、初制覇の栄光を掴めませんでした。
ですが、2007年の福岡競艇場で行われた賞金王決定戦、すなわちボートレースグランプリの前身において、再び優勝戦1号艇という好機を得ます。まさしく6年前の再来であり、かつSGの中でも最高峰の賞金王獲得の決定的な瞬間でした。
1号艇を勝ち取るくらいですから、トライアルでの走りは抜群で、優勝戦1号艇の吉川元浩選手は断然の1番人気でした。6年前の悔しい記憶がよみがえる中、吉川選手は見事にイン逃げを決め、SG初戴冠にして賞金王決定戦初出場初優勝の栄冠を手にします。
それからまた苦難の時代をたどったものの、2019年SGボートレースクラシック(総理大臣杯)、2019年SGボートレースオールスター(笹川賞)、2020年SGボートレースクラシック連覇と立て続けに3つのSGタイトルを獲得し、48歳にして円熟の黄金期を迎えました。
吉川元浩選手は、決して順風満帆でなかったここまでの競技人生の集大成として、初めての年間賞金1位獲得というビッグチャンスを手にするため、2020年のボートレースグランプリに挑みます。

第4位:篠崎 仁志(福岡・32歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

福岡の篠崎兄弟は、今やボートレース公式がイチオシに認定しているイケメンレーサー兄弟です。兄の篠崎元志選手のほうが高い評価を得続けて来ましたが、今年は弟の篠崎仁志選手が大活躍を見せました。
2020年5月、SGボートレースオールスター(開催:ボートレース住之江)に委員会推薦によって出場し、絶好調で予選をトップ通過しました。そして、準優勝戦と優勝戦もイン逃げを決め、見事にSG初制覇を成し遂げました。
兄の篠崎元志選手は2012年に賞金王シリーズ、2015年にボートレースメモリアルの2つのSG競走を制していたため、仁志選手のSG制覇によって、ボートレースでの史上2組目となる兄弟SG制覇が実現しました。
一方、2020年8月には単独でボートレース史上初となるG2競走4勝を飾っています。ボートレースのG2競走はとても数が少ないため、これもまた偉業です。
前項の吉川元浩選手がデビュー初出走初勝利だったのと対照的に、デビュー戦転覆失格という新人らしいほろにがな結果だった篠崎仁志選手は、ここに来て大器に才能の水を満たしたといえるでしょう。
とはいえ、篠崎仁志選手は2007年デビューでありながら、2009年には一般競走を飛び越えてG3競走で初優出を果たし、さらに2010年のG3で初優勝、2012年に企業杯初優勝、2013年にG1初優出し、同年の新鋭王座決定戦最後の開催でG1初優勝を決めています。
このため、大器晩成というよりは、SGでの活躍の機会を悔しくも逃していたという表現すべきでしょう。
49年ぶりの兄弟SG制覇のコメントを問われた篠崎仁志選手は、「まだ追いついていないですがね。兄ちゃんに恩返しができました」とコメントし、目に涙を浮かべる兄思いの一面を見せました。
2020年、初めての1億円プレイヤーとなった篠崎仁志選手が、一気にグランプリの戦いを駆け上がります。

第5位:深谷 知博(静岡・32歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

やまと競艇学校時代からリーグ戦でとてつもない成績を残し、優勝こそ逃したものの勝率記録を更新する偉業を達成していたのが、静岡の深谷知博選手です。
まさしく俊英として期待されたスーパールーキーは、その前評判に違わず浜名湖競艇場でのデビュー戦を初出走初勝利という驚きでもって飾ります。
しかも、深谷知博選手は2008年11月のデビューからわずか4ヶ月後、再び地元水面である浜名湖競艇場にて初優出を果たし、その舞台で早くも2着を奪取しました。初優勝はそこから2年後の福岡の芦屋競艇場でのことで、5コースからのまくり一撃です。
その後、2012年にG1初出場と初勝利、さらに2年後の2014年にはG1初優勝を飾り、次なる目標は6つしかないSGの戴冠とばかりに、トップレーサーたちと激しいバトルを繰り広げます。
どんなエリートであっても、競技人生の中で勝てるとは限らないのがSGのタイトルですから、そこから幾度となく準優勝戦の壁に阻まれていました。
しかしながら、深谷知博選手は、そこで終わるような才能ではありませんでした。2020年、ついにボートレース大村のボートレースダービーで初優出を果たし、3日目からの4連勝で勝ち取った1号艇でイン逃げを敢行し、SG初優出にして初優勝の栄誉に輝きました。
この賞金を始めとする活躍の積み重ねによって、賞金ランキング第5位を手に入れ、見事にグランプリへの切符をもぎ取ります。磨かれるべき才能が磨かれたら、このように輝くのだという象徴が、深谷知博選手なのかもしれません。
ただ、11月のボートレース津の周年競走「ツッキー王座決定戦」にて、大外からのまさかのコンマ01のフライングを切ってしまい、F1を抱えたままでのグランプリを迎えることになります。
せっかくの有利な状況で迎えるグランプリにフライング持ちは間違いなくハンデですが、才覚にあふれる深谷知博選手は、そんな悪条件さえも覆しかねない雰囲気を持っているといえるでしょう。

第6位:寺田 祥(山口・42歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

艇界きってのフェアプレー賞、それが山口の寺田祥選手です。とはいえ、優しい走り方をするというわけではありません。寺田選手の卓抜した技術は、スタート事故を起こさない点にあります。
1997年11月、徳山競艇場でデビューし、数日後には早くも白星をあげた寺田祥選手は、デビュー3年目の1999年には早くも初優勝を達成します。2002年にG1初優出、2005年にG1初優勝と、着々と階段を昇っているようなキャリアを感じるでしょう。
しかし、それより何より劇的にクローズアップされるのが、「絶対にフライングをしない選手」という評判でした。
G1初優出と初優勝の間にあたる2003年2月に津競艇場でフライングを計測した後、2014年のボートレース徳山で選手責任による出遅れを起こすまで、実に11年、2,910走連続でスタート事故ゼロを記録しました。
とかく、寺田祥選手は「ボートレースメモリアル(モーターボート記念)」に因縁があるというべきでしょう。
2020年を含めて2回制しているSG競走もボートレースメモリアルなら、2018年8月に上記の2014年10月以来、4年弱ぶりにフライングを切ったのもボートレースメモリアルの一般競走で、それもたったコンマ01でした。
寺田祥選手がSG競走でフライングを起こしたのはこの事例が初めてで、今のところは唯一です。ほかはすべてG3競走か一般競走でした。1998年に1本、1999年に3本、2000年に1本、2001年に3本、2003年に1本、2014年に1本、2018年に1本です。
すなわち、2020年12月現在も、2018年の1本以来から1度たりともスタート事故を起こしていません。信頼と実績の寺田祥ブランドといえるでしょう。
そんな寺田祥選手に天も微笑んだのか、賞金ランキングが6位で確定した後に行われたプレミアムG1の第2回BBCトーナメント(ボートレースバトルチャンピオントーナメント)にて、見事に優勝を果たしました。2020年12月7日、グランプリへの最高の弾みです。
BBCトーナメントの優勝戦の枠順は、準優勝戦の結果に関係なくあみだマシンの抽選によって決定するのですが、準優勝戦3着の寺田祥選手は見事に1号艇をゲットし、堂々たるイン逃げを決めました。
優勝賞金1,100万円に加え、高級外車の副賞もゲットし、寺田祥選手も「副賞なんかもらったことないし、今までで一番うれしいレースになった」と語っていました。しかし、年末のボートレース平和島で、もっと大きなうれしさが待っているかもしれません。
この寺田祥選手までの上位6名が、トライアル2ndからの登場、すなわちシード権を持っての登場となり、そのトライアルでも内枠と連対率の良いモーターを与えられます。

第7位:菊地 孝平(静岡・42歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

静岡の菊地孝平選手は、5年連続9回目のグランプリ出場になります。トップレーサーの中でもさらにトップクラスの、恐ろしいレベルのスタート技術の持ち主であり、コンマ0台は当たり前の際どいスタートを連発し、多くのタイトルを勝ち取ってきました。
2016年のボートレースメモリアル以来、通算で5度制覇しているSGタイトルからは縁遠くなっていますが、その精緻なスタート技術によってG1競走の制覇を重ねています。
今回、菊地孝平選手は、第6位の寺田祥選手から230万円の差での第7位でした。道中で得てしまったフライング休みが大きく響いたといえるでしょう。
ただ、スタート技術ばかりが取り沙汰される菊地孝平選手ですが、意外にも5度のSG競走制覇のうちイン逃げは1度しかありません。他はすべて2コースから4コース進入での差し、まくり、抜きによるもので、ここ一番での勝負度胸がある選手です。

第8位:瓜生 正義(福岡・44歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

瓜生正義選手は、福岡が生んだヒーローとも呼べるボートレーサーです。実際、レース実況においても正義(まさよし)という名前になぞらえて「正義のヒーロー、瓜生正義」と呼ばれる場面がとても多くなっています。
1995年から2020年までの25年の競技生活で獲得してきたSGタイトルは10個を数え、これは史上6人目の快挙でした。さらに、SG初優勝から10勝目までの日数4,425日は、6人の中で瓜生正義選手が最速レコードです。これは艇王と呼ばれた植木通彦選手さえしのぎます。
G1およびプレミアムG1の通算勝利数も20勝におよび、全体での通算勝利数も2,000勝の大台を超えました。
瓜生正義選手は、2016年には念願だったグランプリ制覇を果たし、偉大なる2億円レーサーの称号をも達成しています。フライング休み明けでいきなりの競走がグランプリになりますが、4年ぶりのグランプリ制覇に向けて突き進みます。

第9位:白井 英治(山口・44歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

山口の白井英治選手は、非常に安定した強さを誇る選手であり、今年は賞金ランキング第1位の峰竜太選手に次ぐ勝率第2位を記録しています。
そんな白井英治選手ですが、競技生活を始めるまでがとても大変な道のりでした。競艇選手になるための養成機関である本栖研修所を受験するのですが、高校卒業から研修所合格までに、実に5回も受験しています。
1回目は学科試験で不合格、2回目は減量による血圧異常で不合格、3回目と4回目は身長オーバーによる不合格でした。それほどに規定ぎりぎりの高身長である白井英治選手でしたが、2次試験5回制限の最後の正直、5回目での合格を達成し、競艇選手となります。
現在も173cmとボートレーサーの中では大柄ながら、常に51kgから52kgほどの体重を維持し、それでいてこれほどの高純度の成績を残しているのは驚くばかりです。
今年、若いころは艇界のプリンス、ベテランとなってからは今やんとして親しまれた師匠の今村豊選手が引退したため、白井英治選手にとっては師匠に捧げるグランプリ制覇を目指す戦いとなります。

第10位:徳増 秀樹(静岡・45歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

静岡の徳増秀樹選手を語るにあたって、ボートレースファンが必ず口にするのが1コース、すなわちインにおける絶対的な強さです。
それは実際にデータ上でも表れており、全体での勝率は決して目立ったものではないものの、1コースにおける1着率のみに限ると峰竜太選手、白井英治選手に次ぐ第3位にランクインしています。
峰選手と白井選手の1コースの1着率は87.6%で、徳増秀樹選手は86.7%という数字なわけですが、例として前項までに挙げた毒島誠選手は79.6%、吉川元浩選手は82.2%、菊地孝平選手は72.7%ですから、いかに徳増選手の数字が圧倒的かがわかります。
しかし、口の悪いファンに言わせれば、イン以外で勝てない男だった徳増選手は、今年、2020年のSGグランドチャンピオン(開催:ボートレース宮島)にて覚醒します。なんと1度2着を取った以外はすべて1着という、準パーフェクトでの初SG制覇を達成しました。
その内容も3コースまくり1着、3コースまくり1着、3コース2着、1コース逃げ1着、3コースまくり1着、3コースまくり差し1着、1コース逃げ1着という堂々たる成績です。
実は、徳増秀樹選手は、データ的には2コースと4コースに比べて3コースが苦手だったはずなのにこの目覚めっぷりでしたから、ボートレースをよく知っているファンほど泡を吹く展開でした。
艇界屈指の美しい敬礼を見せる徳増秀樹選手が、最高の栄誉を手にする可能性は充分にあるでしょう。

第11位:平本 真之(愛知・36歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

愛知の平本真之選手は、今年、通算1,000勝を地元水面で達成しました。そうした喜びもあってか、SGを制した2014年と2016年を超えるペースで賞金を積み重ね、猛然とグランプリ出場圏内に突き進んできた形になります。
実は、今回のグランプリは平本真之選手にとって追い風です。例年メインで開かれているボートレース住之江ではなく、ボートレース平和島での開催となっているからです。
何しろ、平本真之選手のSG優勝歴2本のうちの1つは、2014年のグランプリシリーズでのものになります。そう、前回の平和島で行われたグランプリの時、シリーズ戦を勝ち進んだのが平本選手でした。
シリーズの優勝戦では5コースからのまくりを決めてのSG競走初Vを達成し、まだ30歳ながらに新鋭誕生を高らかに告げました。
2019年にも平和島の周年競走で優出からの2着に入り、平和島の水面との好相性を証明しています。今再び平和島で催される年、今度はシリーズではなく、グランプリのほうで大暴れの予感です。

第12位:新田 雄史(三重・35歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

新田雄史選手は、先ほど紹介した第11位の平本真之選手とは同期の間柄です。ともに96期の出身で、登録番号も7つしか違いません。
2005年にデビューし、2006年初優出、2007年初優勝およびG1初優出、2009年にG1初優出とSG初出走を経験すると、2010年には笹川賞でSG初優出を決め、2013年には同じく笹川賞でSG初優勝を勝ち取りました。
まさに為すべきを為し、ひとつまたひとつと積み上げて、ここまでやってきたといえるでしょう。
そのスタンスは、2020年の実績にも表れています。実は今年、新田雄史選手は劇的な活躍を遂げたわけではなく、優勝は一般競走での2つしかありませんでした。
しかしながら、周年競走であるG1戦線では頻繁に優出し、賞金を重ねに重ね、こうしてグランプリ出場選手に名を連ねています。
その抜群の安定感の先に、乾坤一擲のグランプリ制覇があるかもしれません。新田雄史選手は2017年のグランプリシリーズの覇者です。今度はグランプリを、という思いは強いでしょう。

第13位:茅原 悠紀(岡山・35歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

岡山のエースである茅原悠紀選手こそ、平和島のグランプリにふさわしい存在もいません。2014年、前回の平和島のグランプリの優勝戦において、茅原選手は唯一のSG勝利をグランプリ制覇という形で成し遂げました。
しかも、それは大外の緑色、6号艇からの衝撃的なまくり差しによって達成したのですから、誰もが驚かないはずがなかったといえるでしょう。
というより、これは本人にとっても驚きだったようで、1周目1マークでまくり差しを決めた瞬間に茅原選手本人が「びっくりして、ウソやろと思った」そうです。もちろん、他の5人も、ファンのほぼすべても、そう感じていたに違いありません。
いずれにしても、その大勝利が岡山支部の選手として初めてのグランプリ制覇の偉業達成でした。
その後もG1の大舞台の優勝戦で、先ほど紹介した新田雄史選手とデッドヒートを演じ、最後の最後、最終ターンマークを最高のターンで通過して逆転して勝利するなど、茅原選手はここ一番で異次元の機動を見せることで知られています。
再び平和島でグランプリが開催される2020年、茅原選手は見事に上位18人の勇者の中に名を連ねました。ならば、2014年以上の衝撃が待っていてもおかしくないはずです。

第14位:松井 繁(大阪・51歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

松井繁とは、絶対王者です。それ以上の説明がないくらいのレジェンドであり、ボートレースそのものを牽引してきた伝説中の伝説が、聖地住之江の誇る輝かしき存在、松井繁選手であるとさえ断言できます。
この松井繁選手のすごさを表現する数字は、いくらでも出てきます。SG制覇は通算12回、G1制覇は通算57回、育てたA1級の弟子は複数おり、日常の趣味はペラ叩きという、根っからのボートを愛しボートに愛された男、それらがすべて松井繁選手の一面です。
松井繁選手は1969年生まれ、今年で51歳になります。いくらボートレースが技術の生きるスポーツといっても、水面を体感速度120km/hで滑走するタフな競技であることに変わりはありません。それでも、絶対王者は3年ぶりにグランプリに戻ってきました。
これでグランプリ出場は23回目で、生涯獲得賞金38億円にさらに上積みをする可能性があります。16回の1億円レーサー経験、うち2億円レーサー経験が6回です。このうえ、グランプリ優勝3回経験者は松井繁選手を含めて4人しかいません。
大阪府吹田市に生まれ、プロ野球選手の岡田彰布氏やお笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹氏もOBである北陽高校を卒業し、本栖研修所で誰よりも転覆した「ダメ研修生」だった松井繁選手は、絶対王者にふさわしい舞台に戻ってきました。
前回に平和島で行われた2014年のグランプリでは、トライアル2ndで敗退して順位決定戦に進んだため、茅原悠紀選手の衝撃の6コース勝利を水面ではなく、オカから目撃していました。
10Rで1コースからイン逃げ1着になってはいましたが、グランプリ優勝戦の衝撃を間近で、それも傍観者の立場で眺めているしかなかったわけです。悔しい気持ちは大きかったでしょう。
帰ってきた絶対王者が、前人未到のグランプリV4に向け、2020年の平和島へと来臨します。

第15位:井口 佳典(三重・43歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

三重の井口佳典選手は43歳のベテランである以上に、今回非常にユニークな特性をもって出場します。というのも、前段に登場した第12位で出場する新田雄史選手は、井口選手の弟子になるからです。
師弟そろって艇界を牽引する活躍を残し、その年のベスト18に残るのは、実にすばらしいといえるでしょう。
さらに、井口佳典選手にとって、平和島でのグランプリ開催は願ったり叶ったりでもあります。井口選手と平和島の因縁は深く、初優出の水面が2001年の平和島であり、SG初優出も2007年の平和島の総理大臣杯であり、SG初優勝も2008年の平和島の笹川賞でした。
不利な5枠5コースから、今回第9位で紹介した白井英治選手が外にふくれたところをまくり差しで突き抜けてのSG初優勝は、井口佳典という金看板を全国に知らしめるものだったといえるでしょう。
しかも、その勝利の勢いが井口佳典選手に輝きを与え、2008年の賞金王決定戦までも制する原動力となります。それから干支が一周りして、2020年のグランプリに、井口選手はやってきました。
すべてが始まった平和島の水面に、1億円を受け取りにやってきた。かつての賞金王決定戦でKing of Garaxy(銀河の王者)というキャッチフレーズをつけられた井口佳典選手には、そのような悠然たる存在感があります。

第16位:岡崎 恭裕(福岡・33歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

福岡の岡崎恭裕選手は、トップレーサーには珍しい特性があります。福岡のファンには特におなじみであり、またボートレースをよく知っているファンにはちょっとした豆知識として知られている内容として、「1コースに弱い」という驚くべき特性です。
事実として、2020年の進入コース別実績を見てみると、1コース進入69回で平均STコンマ14まではいいとして、1着率は68.1%、2着率は14.4%、3着率は7.2%という低確率に収まってしまっています。
もちろん、ボートレーサー全体の平均からすれば優秀な数字なのですが、この18名の中に入って1着率68.1%はブービーになるのも致し方ありません。
ただ、ブービーというからにはさらに下がいて、実は第6位にランクインしている寺田祥選手が1着率59.3%というぶっちぎりの低さなのですが、これは安全運転の堅実型ゆえの結果であり、2着率21.8%という水準でカバーしています。
また、寺田祥選手は3コースと4コースから1着率が30,2%と30.0%ありますが、岡崎恭裕選手は20.0%と16.3%であり、特別にセンターから勝ちまくれるわけではありません。
さらに、「岡崎が1号艇だと何かが起きる」と語り草になっている出来事が、2010年の平和島競艇場での総理大臣杯でした。岡崎恭裕選手はまさかのピット離れでの出遅れを喫し、2号艇の山口剛選手にインを奪われてしまいます。
レースは4号艇の濱野谷憲吾選手まで絡んだ激しいトップの奪い合いの結果、山口剛選手の抜きでのSG初制覇という形になり、当時23歳の岡崎恭裕選手は27歳の山口選手の特殊すぎるSG初制覇を演出することになってしまいました。
しかし、岡崎恭裕選手はその悔しさをバネに、2ヶ月後の浜名湖競艇場における笹川賞を制し、SG初制覇の喜びを今度こそ実力で勝ち取りました。それも6号艇で5コース進入、コンマ07スタートの1着奪取です。ドラマとは、岡崎選手のためにある言葉かもしれません。
そんな因縁にして運命が始まった平和島の大舞台たる水面に、岡崎恭裕選手は戻ってきました。今度はどのような結末を作り上げるのでしょうか。

第17位:西山 貴浩(福岡・33歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

ボートレースを知らない人ほど、西山貴浩選手を初めて見た時にぎょっとします。そもそも、このグランプリの特集ページに「トークの面白さはボート界断トツ。オカの上では最高のパフォーマーだ」と書かれる時点で、何かいろいろおかしいといえるでしょう。
そんなボートレース若松をホーム水面とする、ある意味でアイドル的人気を誇る福岡の西山貴浩選手が、とうとうグランプリの舞台にやってきました。
実は、ひょうきんな西山貴浩選手は、腕こそ一流ながらも、超一流には及ばないと目されていました。事実、SG制覇歴はありませんし、デビューから15年目の今年になってようやくボートレース徳山の「ダイヤモンドカップ」でG1初制覇を果たしたほどです。
やまと競艇学校での勝率は優秀で、卒業記念競走に優出して4着でしたし、その後もA1クラスで第一線の戦いを続けてきました。
しかし、決して最高のスターにはなれない、あくまでもピエロとしての役割を演じるだけであり、脇役から主役に躍り出ることはない、そのように揶揄する声さえもありました。
たとえ人気投票で篠崎元志および篠崎仁志の篠崎兄弟をしのいだとしても、ボートの腕で超えなければ意味がない。そんな言葉を、西山貴浩選手はついに実績で粉砕したといえるでしょう。
G1初制覇を果たし、ほかの競走でも多くの優出を遂げ、賞金ランキング第17位でのグランプリ出場です。169cmの大柄ゆえに、減量苦も大きなものがあるはずですが、決してその苦労を人に見せず、練習量の多さも一部の人が知るのみだったといいます。
ボートレース若松の西山貴浩選手にフォーカスしたCMのキャッチフレーズは、「僕たちはニシヤマが大好きだ!」です。たとえ勝てなくても愛される存在だった西山選手は、今や頂点まで勝ち続けて愛される存在になろうとしています。

第18位:前本 泰和(広島・48歳)


出典:Road to THE GRAND PRIX – ボートレース平和島

2020年のグランプリ、最後の席である第18位を勝ち取ったのは、広島の前本泰和選手でした。前本選手を象徴する単語といえば、やはり「イン屋」でしょう。
1コース進入の1着率74.3%、2着率8.9%、3着率6.4%は、率だけで見れば平凡かもしれません。しかし、出走回数は78回と多く、それはすなわち前付け、すなわちコース奪取による深インでの安定した成績を意味しています。
とにかくコースを奪う姿勢は出走回数の見事なグラデーションに表れており、1コース78回、2コース65回、3コース64回、4コース45回、5コース18回、6コース11回とわかりやすい状態です。
ボートレースはインが絶対的に有利な競技ですが、どのような状況でもインが有利とは限りません。そもそも助走距離がなければ抜かれるのが、ボートレースのフライングスタート方式です。
一般競走でのほかの選手を見ていれば、前付けをした挙げ句に出遅れる、無理なイン奪取でスタートを決めてもダッシュ勢に追い抜かれる、こうした光景をいくらでも見られます。
生粋のイン屋でいるからには、卓抜したボートの操作技術と、モーターの整備技術が必要です。そもそも他者のコースを奪いに来るイン屋は警戒され、時には嫌われるものですから、ここまで勝ち続けるのは並大抵のことではありません。
それでも、前本泰和選手は個性豊かな広島支部を牽引する存在として、好成績を残し続けてきました。3年ぶり2回目のグランプリの大舞台です。
2013年の賞金王シリーズを唯一のSG制覇歴とする前本泰和選手の経歴に、もうひとつのSGのV記録が加わるかどうか、注目していきましょう。


[参考資料]

■Road to THE GRAND PRIX
http://www.boatrace-grandprix.jp/2020/rtg/

上でも述べましたが、11月のSGチャレンジカップ、12月のSGグランプリと選手にとっても2020年の総まとめとなるレースのある時期になりました。ここで勝ち残れるのは誰か、それを様々な情報を駆使して導き出してくれるのはどこのサイトでしょうか?11月12月は回収率の高いサイトを使ってお正月の資金をしっかり稼ぎましょう。管理人おすすめのこちらのサイト、まずは2ヶ月を目安に使ってみてください。大きな的中を貰った際は教えて頂けると私も嬉しいです。

  ▼管理人おすすめサイト▼

競艇Champion

サイトアクセス│みん広

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