ボートレース(競艇)のほかにも、競馬、競輪、オートレースと、日本には複数の公営競技があります。中でもボートが競艇だった時代から、競馬と競輪をあわせて「三競」と呼ばれ、それぞれ魅力を競い合うギャンブルとして発展してきました。
しかし、どれかひとつの競技が好きになったとしても、意外とほかの競技の魅力や、自分が好きな競技との違いを知らないもの。また、たとえそれぞれ手を出したとしても、レースの性格が違いすぎて困惑することも多いでしょう。
そこで、本記事ではボートレース、競馬、競輪を比較し、三競がどのような楽しさにあふれているかを紹介していきます。
目次
- ボートレース(競艇)・競馬・競輪の違いとは何か
- 1レースあたりに出走する数
- 舟券・馬券・車券の種類
- 所管する官庁
- 選手に求められる技術や義務も違う点に注目
- ボートレースの選手はレーサーでありエンジニア
- 競馬の騎手は馬という生き物を扱う特殊な立場
- 競輪の選手は最も体力が資本でタフな存在
- 三競の特徴はそれそれが魅力
ボートレース(競艇)・競馬・競輪の違いとは何か
実際のところ、ボートレース、競馬、競輪の3つの競技の違いはあらゆる面に存在します。それはレースを見ればわかるものから、そうした目に見えないところまで、様々な種類がある点が注目でしょう。
今回は特に重要な差異にフォーカスし、項目別にポイントを3点挙げて、その違いを浮き彫りにしていきます。
1レースあたりに出走する数
ボートレース、競馬、競輪はいずれも1日の開催レース数が似通っています。違いとしては、ボートレースと中央競馬は12レース固定ですが、地方競馬と競輪は開催によって最大数が9レースや11レースに変動する点でしょう。それでも、あまり大きな差ではありません。
やはり、特筆すべき相違点として、1レースあたりの出走する選手ないし馬の数を挙げるべきと考えました。
ボートレースは当日の欠場などがない限り、1レースには6艇が出場するようになっています。番組を作成するからにはこの人数が増減することなく、アクシデントさえなければ6艇での競走が維持されます。
ボートに近いのは競輪で、これも基本は9車立てです。ただ、A級チャレンジ競走やミッドナイト競輪は7車立てで行われていたほか、新型コロナウイルスの影響により、現在は大部分の開催が7車立てで実施されています。
最も基本的な部分から違うのが競馬です。ボートや競輪は選手に対して出場のあっせんが掛かり、これに応じた選手が現地に集まって戦うことになります。
しかし、競馬は出馬投票によって出たいレースを選び、フルゲートを超えない限りは出走できるほか、同一条件の場合は抽選で出られる馬が決まります。また、賞金などの条件を満たしていないケースもあり、ほかの競技とは根底から考え方が違うと言えるでしょう。
舟券・馬券・車券の種類
舟券、馬券、車券とありますが、券種には極端な違いはありません。導入した時期の違いこそあれど、ボートでいう2連複や2連単は、競馬なら馬連・馬複や馬単で存在していますし、競輪でも同様に2連複と2車単です。3連単はいずれも共通で、まるで変わりません。
また、ボートにはありませんが、競馬と競輪には重勝式の賭式が存在しています。競馬は中央競馬がWIN5、南関東4競馬がトリプル馬単を採用しています。さらに、オッズパークではセレクトロトやランダムロトが佐賀競馬や岩手競馬(盛岡・水沢)で発売されています。
競輪も同様で、外部サイトのサービスとして、チャリロトやK5といった特殊な車券が売られています。
重勝式は組み合わせが飛躍的に多くなる分、配当もすさまじいものになる点がポイントでしょう。
しかしながら、三競の券種に横たわる最大の違いは、「拡連複」と「ワイド」です。中央競馬では、伝説的ブロンズコレクターたるナイスネイチャがイメージホースとして起用され、ワイドと書かれた紙を咥えている告知広告で話題になりました。
このワイド、JRAとTCK(東京シティ競馬・大井競馬の母体)が共同で商標を登録しているため、2つの機関以外は利用許諾を得てワイドの名称を使っています。よって、園田に代表される兵庫県競馬もそうですし、競輪もJKAが法的に問題ないように対応した結果です。
ところが、競艇にだけはワイドの使用許諾が与えられなかったため、拡連複という独自の名称を採用しました。予想する側はあまり気にしませんし、そもそも大体のファンは3連単を主力にしている現実がありますが、それでも歴史の裏には面白みが隠れています。
所管する官庁
ボートレース、競馬、競輪はいずれも公営競技という大きな枠組みに属していますが、実はすべて所管している官庁が違います。
有名なのは農林水産省が所管する競馬であり、JRAへの天下りの疑惑も含めて漫画や小説の題材として描かれることも多い存在です。一方、競輪およびオートレースは経済産業省が所管していて、これは産業の発展と福祉事業を目的としているためです。
では、ボートレースはというと、これが国土交通省の所管であり、船舶の発展と社会事業がその目的となっています。どの競技も売上の一部が公共政策に良好な結果を与えますが、所管している官庁によって、使用目的も変わってくるといえるでしょう。
ちなみに、totoの名で知られるスポーツ振興くじについては文部科学省が所管していて、三競とはさらに別になっています。
選手に求められる技術や義務も違う点に注目
ボート、競馬、競輪は、その選手および騎手に求められる技能にも多大な違いがあります。同じアスリートではありますが、要求されるスキルがまるで違うため、鍛えるべき筋肉や戦略にも複数の相違点があるのが特徴です。
ボートレースの選手はレーサーでありエンジニア
本記事をご覧の方の多くは、ボートレースの選手がどのような存在であるかをご存知かと思います。それでも改めて俯瞰すると、ボートレーサーがいかにマルチタレントな逸材であるかがわかるでしょう。
ボートレースのプロフェッショナルになるにあたって、選手たちは福岡県柳川市大和町にあるボートレーサー養成所で徹底的に技術を鍛えられます。この施設には卒業後もフライング休みや合同練習などで、たびたび訪れることになります。
ボートレーサーの根幹を成す技術は、操縦技術と整備技術です。新人レーサーたちは次々に硬い水面で転覆し、落水し、つらい目にあいながら安全かつダイナミックなターンを覚えます。そして、その心臓部であるモーターやプロペラの緻密な扱い方を、オイルまみれになりながら体得していくのです。
競馬の騎手は馬という生き物を扱う特殊な立場
競馬の騎手は厩舎との人間関係もありますが、何より競走馬という種族の違う相手と心を通わせ、人馬一体となってレースで勝つことが求められる職業です。
また、騎手はレース本番で乗るプロセスだけが仕事ではなく、日頃からトレーニングセンターで調教をつけ、厩舎にアピールしておく必要があります。
特に、中央競馬ではエージェント制度が導入されて久しいですが、それでも地道な下積みは欠かせません。こつこつと仕事をすることで結構な報酬がもらえるだけでなく、有力馬の依頼が回ってくる可能性もあるからです。
ボートレースの選手にしてもそうですが、それ以上に競馬の騎手は体重管理が重要です。レースにおける負担重量は決められているため、減量に失敗して重量オーバーになるようだと、大抵は騎手として不適格ということで騎乗停止処分を受けてしまいます。こうなると、関係者からの信頼の喪失は避けられません。
競輪の選手は最も体力が資本でタフな存在
競輪の選手は、ボートレーサーやジョッキーと違って、どれだけ体を大きくしても怒られることはありません。むしろ、激しくぶつかり合って進路をこじ開け、あるいは相手ラインの進撃を阻止するのが役目であることから、積極的にタフな肉体と強い体幹を仕上げることが求められます。
競輪場は全国に43場あり、ボートレースの24場、中央競馬の10場をはるかにしのぐ数です。これらはもちろん個々のコース、いわゆるバンクと呼ばれるレースコースの個性を持っており、周長も250mから500mまで幅広い内容になっています。
ボートレースでも天候や風速や風向きは重要ですが、競輪でも全身でその風の壁に挑むことになるため、とても大きな要素になっています。同じ支部や地区の選手でチーム戦をするラインの先頭は、とりわけその影響を受けやすいポジションです。
さらに、競輪のトップクラスの選手はナショナルチームに編成され、世界を相手に自転車競技で戦っている点も、ボートや競馬との大きな違いでしょう。
オリンピックやその他の国際大会では欧州勢が絶対的な存在でしたが、最近は日本の自転車選手も大いにレベルを上げてきました。やがてはツール・ド・フランスのような世界クラスの自転車競技が、日本にも誕生するかもしれません。
三競の特徴はそれそれが魅力
三競はいくつもの要素で違いはありますが、それらが個々の魅力を作っています。まるで違うものであるからこそ、いずれも異なった楽しみ方ができるという点で、実に楽しい存在といえるでしょう。
より進んで考えれば、ボートレースが好きな人も新しい魅力を競馬や競輪に覚えることがあるでしょうし、それを持ってボートに興味を失う必要もないということです。
野球もサッカーも好きな人がいるように、ボートも競馬も競輪も好きであって、何の不思議もありません。むしろ幅広く興味を持つことで、それまでとは違った魅力に気づくきっかけになる可能性もあります。
ボートレースにも競馬にも競輪にも、人あり舟あり馬あり自転車ありです。ぜひとも小さな興味の種を大切にして、新しい冒険に挑んでみてください。
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