【超攻撃型】ボートレース(競艇)の菅章哉選手が愛される3つの理由

ボートレーサー養成所の第105期生にして、徳島支部どころかボートレース全体でも有数の個性派レーサー、それが菅章哉(すが・ふみや)選手です。

1988年(昭和63年)7月2日生まれなので、2022年2月現在は満年齢で34歳ですね。身長159cmと、ボートレーサー向きの体格。徳島県出身で、所属も徳島支部です。

この登録番号4571番の菅選手が、いったいどのような魅力を秘めているのか。当記事を読み終わる頃には、好きになる理由が存分にご理解いただけているでしょう。

目次


菅章哉選手(徳島/4571)がファンから愛される3つの理由

菅章哉選手は、2022年2月現在、まだSGタイトルやG1タイトルを保有していません。その意味において、若い頃から頂点に立ったスーパールーキーというわけではないのですが、人気はもはや一流であると断言できるでしょう。

佐藤翼選手や磯部誠選手や塩田北斗選手と同じ105期メンバー。その中でも、菅章哉選手は最強の個性派であり、2021年に特に飛躍したレーサーのひとりに数えられます。

何しろ、これまでのキャリアハイが年間3Vだったところ、一気に6つの開催で優勝を勝ち取ることになりました。まさしく一流選手の勝ちっぷりです。

しかも、菅章哉選手のレーススタイルは、節間を通じて力を発揮するにはあまりにも「安定度の低い」、すなわち「ギャンブル性の高い」ものでした。彼のレースぶりがマスコミに「超攻撃型」と表現されているのは、まさしくその攻め気配にあふれた走りがあるからにほかなりません。

いったい、何がそんなに「超攻撃型」なのか。菅章哉選手が関係者からもファンからも愛される3つの理由を通じて、丹念に解説していくことにしましょう。


理由①:これぞ「超攻撃型ボートレーサー」

菅章哉選手は、あらゆる面で「超攻撃型」と例えられるのにふさわしい要素を備えています。特に、彼のレーススタイルを如実に表しているのが「チルト角」です。

チルト角、あるいはチルト角度とは、ボートに取り付けたモーターの角度のことです。この取り付ける器具の名前が「チルトアジャスター」であるため、通例として「チルト角」と呼ばれます。

チルト角は水面に対して-0.5度から+3.0度まで設定でき、マイナスのほうが回り足(ターン)重視、プラスのほうが伸び足(最高速)重視になります。

また、チルト角は0.5度刻みで設定できますが、ボートレース場によっては狭さなどもあって危険が増すことから、プラス角度が制限されていることがあります。制限が最も厳しいのは「狭いといえばここ」でおなじみのボートレース戸田で+0.5度、制限があって最も緩いのはボートレース江戸川と徳山の+2.0度です。

一方、制限のない15場については、-0.5度から+3.0度の範囲の7段階で自由に設定できます。ユニークなのは、ボートレース浜名湖のみが+2.5度を認めていて、完全無制限の8段階設定が可能な点ですね。

今のボートレースは「いかにスピードを落とさずにターンするか」の勝負であり、回り足の良し悪しが道中での逆転につながります。加速力もマイナスであるほうがつきやすいためにスタートタイミングを取りやすく、したがって多くのボートレーサーはチルト角を-0.5度に設定し、天候やメンバーによって0.0度に変えることがある程度に留まります。

しかし、賢明な皆様は、もう何となく予感していらっしゃるでしょう。「超攻撃型」である菅章哉選手は、かなりの頻度でチルト角+3.0度、またはそのボートレース場で可能な最大角を選択し、「1着か6着か」の生き様を見せてくれます。そのうえ、それが単なるパフォーマンスではなく「強いレースができる」ことが、多くの固定ファンを生み出すことにつながっています。


理由②:峰竜太選手にも真っ向勝負の強心臓

現代のボートレースにおける最強レーサーは、間違いなく佐賀支部の峰竜太選手でしょう。あらゆる面での技術が図抜けているからこそ、「いかにして峰を倒すか?」があらゆるビッグタイトルでの命題となっています。

大渦大賞2021(鳴門競艇G1)は、ボートレース鳴門の開設を祝う周年競走です。その2日目の第6R予選競走は、菅章哉選手が彼にしかできない答えを提示したレースになりました。6号艇の峰竜太選手は前付けして2コース進入。対する菅選手はピット離れからもうゆったりとしていて、ぶち抜く気合満々の6コース進入です。

峰竜太選手は初日のドリーム戦を1号艇1コースから制し、絶対的な強さは鳴門水面でも健在なところを見せていました。

対する菅章哉選手は初日の2つのレースがコンマ01とコンマ02のキレキレスタート。1本目の5Rは2号艇2コースから2着、加えて2本目の11Rは6号艇6コースからすべてを飲み込む1着。今回もその再現を狙っているチルト角+3.0度設定です。

果たして、本番。スリットラインは1号艇1コースの今泉友吾選手が遅れ気味なものの、ほか5艇はほぼ互角。しかし、4号艇6コースの菅章哉選手がぐんぐん伸び、ついに他艇の抵抗を乗り越えてまくりきります。

ですが、6号艇2コースの峰竜太選手はトップクラスのターン。2艇身あった差が、1周目2マークのターンで完全になくなり、菅選手の懐を捉えて首位を奪いました。

「こうなれば、チルト的にも技術的にも峰のターンで決まりだ」

誰もがそう思っていたところ、菅章哉選手だけは違う風景を見ていました。すなわち、峰竜太選手を引き波に沈める強ツケマイを敢行。これこそ至高のボートレースというべき一撃によって、菅選手は峰選手を再逆転。峰選手も必死に追いましたが、最後は菅選手の「抜き」での勝利に終わりました。

「峰竜太が1対1で負ける」

これはレア中のレアといえる事件です。菅章哉選手は自らの最大の武器でもって、地元水面における偉業を達成したといえるでしょう。この「激アツな」出来事で、菅選手のファンが増えたことは言うまでもありません。


理由③:負けん気の固まりで大成長

さながら阿波勝哉選手のような「アウト屋」にも似た戦い方を見せる菅章哉選手。いついかなる時でも大外進入を選ぶアウト屋は、「持ちペラ制」が廃止された現代において、絶滅危惧種といえる存在です。

ボートレースはインが絶対的に有利であり、自らアウトに行くのは不利を増やす行為に過ぎない。シンプルに言ってしまえば、「合理的ではない」のです。

しかし、菅章哉選手は反骨の持ち主でした。こんな時代だからこそ、彼は徹底してアウトにこだわるアウト屋としての道を歩み始めます。「自分は劣等生だった」「同期には本当に助けられた」と話す菅選手。そう語りながらも好成績を積み上げるまでになったのは、ひとえに本人の適切な努力が実を結んだ結果でしょう。

ですが、菅選手はデビュー2走目にして早々にフライングを犯したように、スタートについて悩み続けていました。その不安が形になったのが、2020年にF2を背負い、出走回数不足と事故点オーバーでB2級に降格した事件です。

菅選手はこのフライング休みのあいだ、「最も自分に適したスタイル」を考え、アウト屋という既成の考え方からの進化を図りました。その結果、「どのコースでも攻撃的にレースをする菅章哉」が誕生し、2021年の躍進につながったといえるでしょう。

フライングが重なることで、レースでの走りが萎縮してしまう。その結果、大成を逃した例もあります。また、同じような話は、あらゆるスポーツにあるでしょう。

菅章哉選手はその壁を見事に乗り越え、さらなるステージへの一歩を踏み出しました。今やボートレース界屈指の若手レーサーとして、栄えあるタイトルの戴冠が狙える位置にいます。その活躍から、決して目が離せません。


超個性派の菅章哉選手に要注目!

6コース。それはボートレースにおける「最も不利な進入位置」であり、現代においては特にその傾向が強くなっています。

しかしながら、菅章哉選手はそんな6コースからでさえ「もしかしたら」と思わせる魅力に満ちています。彼はそれだけの研鑽を積み、実績をあげてきました。

あらゆる思考、あらゆる技術が伯仲するボートレースの世界で、菅章哉選手の個性はひときわ輝いています。今後のさらなる出世、そしてタイトルホルダーへの道も含め、菅選手は否応なしに注目を集めていくことになるでしょう。

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