【回顧&GP展望】2022年のグランドチャンピオンもまた「SGのなかのSG」にふさわしい幕切れ!

2022年のグランドチャンピオンは、大盛況のうちに閉幕しました。総売上額は138億円を超え、施行者目標にこそ及ばなかったものの、昼間開催で大いに注目された6日間のシリーズでした。

ビッグレースで活躍した選手のみが出場を許される至高の祭典、グランドチャンピオン。「最高のレースはグラチャンにある」と言われるのにふさわしい名勝負が次々に生まれ、今年の開催が思い出になった方もいるのではないでしょうか。

当記事では2022年、ボートレース唐津を限りなく熱くしたグランドチャンピオンを振り返るとともに、年末の「ボートレースグランプリ2022(大村競艇SG)」へ向けた展望もしていきます。

2022年も折り返しを迎えた今、いよいよ賞金ランキング争いは熾烈なものとなっていることが、実感として皆様の脳髄に刻まれることでしょう。

目次


愛知の池田浩二が2022年のグランドチャンピオンの勝者!

SGというものは、誰にとっても誉れです。ボートレーサーのほんの一握りしか優勝することができない。ましてや、優勝戦に進むだけでも大いなる栄誉です。複数回も勝つとなると、これは歴史のなかで称えられるべき存在と言えるでしょう。

そして、今年のグランドチャンピオンは、偉大なる伝説がさらにその偉大さを増すこととなりました。1つ勝つのも大きな困難であるSGについて、通算10回目の制覇を達成したのです。

優勝したのは、愛知の池田浩二選手。愛知支部の絶対なる存在であり、常滑が生んだ偉人とも称すべき1978年4月3日生まれの44歳が、8年半ぶりのSG制覇を勝ち取りました。直近のSG優勝は「賞金王決定戦2013(住之江競艇SG)」であり、「競艇」が「ボートレース」になってからは初めてのSGタイトル獲得です。

2回も賞金王決定戦を制し、2011年には年間MVPさえも獲得した池田選手をもってしても、8年以上もの長く苦しい時間がありました。SGとは誰もがあこがれるタイトルであるがゆえに、それほどに遠く、気高いものであることがわかります。


見事なバトルの優勝戦!池田浩二をヒヤリとさせた上平真二の鋭い差し

2022年のグランドチャンピオンの優勝戦は、「SGの中のSG」にふさわしいレースになりました。頂上決戦と呼ぶにふさわしいその戦いを制したのが愛知の池田浩二選手であることは、すでに先の項目で示したとおりです。

しかし、勝者はやすやすとその美酒を手にしたわけではありません。優勝戦における激しい競い合いを制したからこそ、ついにその頂に手が届いたのです。

1号艇1コースからコンマ15のスタートを決めた池田浩二選手。これはスリットラインでは4番目でしたが、各艇コンマ11からコンマ17までにきれいにそろっており、6号艇の赤岩善生選手が4コースまで前付けしてきたことまで考えれば、実に美しいスタートになったと言えるものでした。

トップスタートの3号艇3コースの山口剛選手の挑戦もはねのけ、アウトの艇とも前付けの影響による加速の差は大きくない。池田選手のイン逃げは万全になったと思われた1周目1マークを抜けたところで、驚きがやってきます。

「1マークのハンドルの入りが甘かったかも。横に上平さんがいてびっくりした」

表彰式でこのように語った池田選手。そう、2号艇2コースの上平真二選手が、すばらしい差しによってすぐ横に迫ってきていたのです。

しかも、1周目2マークは上平選手が野心的に先マイ。すでに状況は上平選手に有利に働いていました。今年4月に同じように”名人戦”、すなわち「マスターズチャンピオン2022(三国競艇PG1)」を2号艇2コースから差しで制した上平選手。まさに名人級の差しが、このSGでも放たれました。

それでも、池田選手は落ち着いていました。上平選手を先に行かせ、沈着冷静な差し返し。これが完璧に決まり、今度は上平選手の懐を捉え返すと、2周目1マークでは決定的な差をつくる豪快なターン。44歳の池田選手と48歳の上平選手。まさしく円熟の時を迎えた2人の勝負は決しました。

一度は上平選手が前に出たという判定で、池田選手の決まり手は「逃げ」ではなく「抜き」。2022年のグランドチャンピオンは、かくも熱い戦いが最後に待っていたことが、おわかりいただけたと思います。


池田浩二のSG制覇はこれが10回目~これまでのSG制覇を振り返る

池田浩二選手は、この「グランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)」の制覇により、SG優勝が通算で10回目となりました。見事すぎる記録だということは、説明を要さないでしょう。

それでは、池田選手はこれまでどのようなSG競走を制してきたのか?

以下にこれまでの歴史として、彼が優勝を積み重ねてきたタイトルを並べていきます。なお、各競走名は当時のものを使用するとともに、2014年以降採用されている通称を併記します。

● 総理大臣杯(ボートレースクラシック)[2009・2013]
● 笹川賞(ボートレースオールスター)[2011]
● グランドチャンピオン決定戦(グランドチャンピオン)[2003・2022]
● 全日本選手権(ボートレースダービー)[2011]
● モーターボート記念(ボートレースメモリアル)[2009]
● 賞金王シリーズ(ボートレースグランプリシリーズ)[2005]
● 賞金王決定戦(ボートレースグランプリ)[2011・2013]

2011年には複数のSGタイトルのみならず、年間MVPも獲得しました。また、未獲得のSGタイトルは「オーシャンカップ」と「チャレンジカップ」のみとなっています。


悔次のSG競走は「オーシャンカップ2022(尼崎競艇SG)」

2022年もグランドチャンピオンまで終わり、SG戦線も後半戦に突入します。次なるSG競走は祝日である「海の日」が誕生したことを記念して作られた若い競走、オーシャンカップ。今年のオーシャンカップは、兵庫県尼崎市にあるボートレース尼崎で開催されます。

開催期間は7月19日(火)から7月24日(日)まで。グランドチャンピオンで結果を残した選手も、満足いく戦いができなかった選手も、心を新たにこのビッグタイトルに乗り込むことになるでしょう。

ボートレース尼崎は兵庫支部のお膝元であるとともに、「最強」の誉れも高い大阪支部とのかかわりも深い間柄です。こういったホーム水面、あるいは準ホーム水面の利という点からシリーズを展望することも、また重要な意味を持ってきます。それは単にシリーズを楽しむという面のみならず、舟券戦略の点からも大切なことです。


「発祥地グランプリ」に進むのは誰だ?最新の獲得賞金ランキング!

今年のボートレースグランプリ開催まで、いよいよ半年を切りました。今年は高速インターネットの普及もあって実現した、「競艇発祥の地」であるボートレース大村における「発祥地グランプリ」です。

賞金ランキングの上位18名だけが許されたボートレースグランプリ出場の誉れ。中でも上位6名に入れれば、トライアル2ndから高性能モーターを引っ提げての登場となります。

グランドチャンピオン終了後の賞金ランキングは上記のとおり。原田幸哉選手、遠藤エミ選手、池田浩二選手とSG制覇組が上位に顔をそろえますが、馬場貴也選手、山口剛選手、毒島誠選手といったコンスタントに良績を残しているレーサーも、しっかり上位にランクインしています。

優勝は誉れであり、最高の輝きであり、何より賞金ランキングを押し上げる一手ですが、同時にフライングなどのスタート事故を起こすことなく、質の高い競走を続けることもまたボートレーサーには重要なのだと感じさせてくれる光景でしょう。

7位の白井英治選手から18位の磯部誠選手までは4,900万円から3,500万円の幅に収まっており、十分に逆転の余地は残っています。SGもこれからオーシャンカップ、ボートレースダービー、チャレンジカップとやってきますし、各地の周年競走がG1として開催されることからも、目の離せない戦いが続くことは間違いなし。

さらに、G2競走もG1どころかSG級の選手たちが勢ぞろいすることもあるので、ファンとしては嬉しい悲鳴をあげる日々が続きます。


2022年のボートレース界はさらに加速していく

2022年のボートレース界では、歴史に残る数々の出来事が起きたものの、まだまだ半分もの楽しみが残っている。こんなにも幸福な事実はありません。さらなる興奮と感動が約束された戦いは、ファンの心を高ぶらせ、熱くしてくれることでしょう。

もちろん、そこに舟券とレース予想の楽しみを加えれば、より思い出に残ることになるかもしれません。これを機会に1枚試してみるというのも、新たな娯楽を楽しむ姿勢として素敵な決断ではないでしょうか。

その小さな応援が、ボートレースという巨大な感動を作り上げる原動力になるのですから。


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