【女子決戦】レディースチャンピオン2022(丸亀競艇PG1)回顧!勝負するからこそボートレースで泣き笑いが生まれる

女子選手のみで行われる真夏の祭典、それがレディースチャンピオンです。今年は香川県丸亀市のボートレース丸亀で行われたこのプレミアムG1は、驚きの結末を迎えることとなりました。

2022年8月2日(火)から8月7日(日)まで行われた「女の戦い」がどのように展開し、どのような結末を迎えたのか。

また、本開催ではシリーズ中に繰り広げられた見どころも含めて解説しつつ、女子選手の賞金ランキングを概観し、年末のクイーンズクライマックス2022(住之江競艇PG1)の出場権争いとあわせて展望していきます。

目次


香川素子が成し遂げた!2022年の真夏の新女王誕生

夏の女王決定戦。女子選手にとっての憧れのタイトルであるレディースチャンピオン。SG競走が全ボートレーサーが憧れる舞台であるように、レディースチャンピオンの優勝戦もまたすべての女子選手が目標とする場所でもあります。

今年、この優勝戦において、女王の座を勝ち取ったのは滋賀の香川素子選手でした。45歳の「真夏の大冒険」は、デビュー26年目での嬉しいG1初制覇。もちろんプレミアムG1を含めてなお初めての戴冠であり、2019年にデビューした息子の香川颯太選手に吉報を届けることとなりました。

さらに、香川選手はこれが今年の初優勝。1度も優勝できなかった2015年以来の年間優勝0回になるかと思われたところで、最大級の栄冠が優勝履歴として輝くことに。A1級やA2級選手として長く活躍し、さらに今節も予選3位通過というハイパフォーマンスを見せたからこそ、ついに掴み取れた喜びでした。


2022年のレディースチャンピオンの優勝戦で起きた大事件!

ただ、今年のレディースチャンピオンの優勝戦は喜ばしい結末とともに、そこへ至る悔し涙もありました。その最たるところが、1号艇1コースの實森美祐選手のフライングです。

現在はB1級ながら、今節は見事なパフォーマンスを見せた實森選手。1996年9月11日生まれの25歳は、なんと一般戦などの優勝経験もありません。それが予選1位通過で、準優勝戦も見事にイン逃げを決め、優勝戦の1号艇を勝ち取りました。

もとより高く評価されていた才能が、ついにこの大舞台で開花したと言えるでしょう。とりわけ抽選で手にした61号機との相性は抜群。2連対率39.74%、3連対率60.93%と高いパフォーマンスを誇るエンジンを自らに合うように調整し、完璧なレースを続けました。

そして、迎えた運命の優勝戦。準優勝戦同様に平山智加選手の前付けに抵抗し、深インの状態での戦いとなります。「初優勝が初G1優勝」の快挙を目前にしたスリットラインは、誰もが「早い」と予感するものになりました。

[1コース]1号艇/實森 美祐:コンマ06F
[2コース]6号艇/平山 智加:コンマ01
[3コース]2号艇/大山 千広:コンマ02
[4コース]3号艇/香川 素子:コンマ03
[5コース]4号艇/松尾 夏海:コンマ08
[6コース]5号艇/藤崎 小百合:コンマ04

前付けへの抵抗もあったでしょう。ただ、あまりにもモーターの性能が良すぎたために起きた、痛恨の勇み足。まさかの優勝戦での「非常識なフライング」、すなわちコンマ05以上のフライングによって、なんと10億2,032万円もの巨額の返還が生まれてしまいました。

今年のレディースチャンピオンは2020年の多摩川開催を超え、大会史上最高額の売上を記録していました。さらにこの優勝戦の上積みを持って施行者目標の130億円突破が見えていたのですが、この10億円返還によって、それもまた水泡に帰してしまいました。

勝負に行ったからこその苦すぎる結末にして、悲しすぎる結果。ほかのレースメンバーを始め、関係各所に頭を下げる實森美祐選手の姿は、いつか彼女が喜びの涙を流してほしいと思わせるに十分なものでした。


レディースチャンピオン2022(丸亀競艇PG1)も様々なドラマが生まれた

ドラマが生まれたのは優勝戦だけではありません。女子選手の真夏の祭典にふさわしく、今年のレディースチャンピオンの開催中は、さまざまな出来事がありました。もちろん、そこで生き生きと躍動していたのは、主役たる美しき女子ボートレーサーたちです。

特に個性的で魅力ある出来事について、それぞれの項目別に見ていきましょう。今回のレディースチャンピオンがいかなる開催であり、かつ明るい雰囲気の中で行われていたかがわかります。


女王を目指す戦いは初日から万舟券の連続!ドリーム戦は田口節子が勝利

レディースチャンピオンは、女子選手にとっての頂上決戦であることは、すでに先の項目で述べたとおりです。となれば、ここが勝負のしどころであり、誰もがリスクを冒して勝ちに来るレースの連続になるのは、誰の目にも明らかでしょう。

今年のレディースチャンピオンもそうであり、初日から荒れ模様。始まってすぐ、2Rで生まれた3-4-2という決着は3連単52番人気で12,070円。いきなりの万舟券決着でした。

さらに、4Rも3-4-5で58番人気17,410円の万舟券。誰もがこの戦いに懸ける思いがほとばしる出だしになった、と言えるでしょう。

そんな中、初日のラストレース、丸亀12Rにはドリーム戦が行われました。選考順位第1位だった岡山の田口節子選手が1号艇に選ばれましたが、それに違わぬ実力を披露。踏み込んだスタートはコンマ03という絶品のタイミングで、夢の戦いを完勝という形で制しました。


長嶋万記のおちゃめなイタズラ!「被害者」は池田紫乃

熱い戦いのさなかに、お茶目なイタズラを仕掛けるのもボートレーサーの面白いところ。男子では福岡の西山貴浩選手のひょうきんさが有名ですが、女子だって負けていません。2022年のレディースチャンピオンでそれを教えてくれたのは、静岡の長嶋万記選手でした。

予選競走がヒートアップする2日目。3Rを快勝したのは長崎の池田紫乃選手。4号艇4コースからのカドまくり快勝で、3連単4-2-5決着は驚きの74,890円の7万舟を叩き出しました。

これにはピットの各選手も驚きだったのですが、なぜかここで奇行に走ったのが長嶋選手。水面の漂流物をすくう時などに使う、長い柄のついた「ひしゃく」を手に取ると、勝利者インタビューを受けている池田選手の後ろへ。

そして、自分は隠れつつ、ひしゃくだけをひょこひょこと池田選手の頭の上へ掲げます。こうして、ひしゃくがUFOのように池田選手の頭上を飛び回る、珍妙なインタビュー動画が完成しました。

池田選手やメディアから見ても「勝った本人より大はしゃぎ」だった長嶋選手。当人曰く「ただ、おめでとうを言いたかっただけなんですけどね。私と池田さんはペラの形が同じで、スタート展示を見た時は押してないし、『こりゃ3着取れればいいかな』なんて思ってたら勝っちゃいましたね」とハイテンションで心境を告白。よほど嬉しかったのでしょう。

自分の成績も大切ながら、誰かの勝利を心から祝えることができる。それもまた才能であり、一流選手に必要な資質と言えるのかもしれません。


クイーンズクライマックス2022(住之江競艇PG1)への道!現在の女子賞金ランキング

今回のレディースチャンピオン開催により、女子選手の獲得賞金ランキング戦線にも、大きな変動が現れました。当然ながら、優勝した香川素子選手は大きなジャンプアップを達成。女子ランク第34位から第6位へと急上昇で、年末決戦への名乗りを挙げた形です。

それでは、年末のクイーンズクライマックス2022(住之江競艇PG1)へ向け、どういったランキング状況になっているか。ここでは上位20名の選手について、列挙しておさらいしましょう。

【ボートレース・女子選手獲得賞金ランキング[2022年8月7日最新版]】
● 第1位:遠藤 エミ(滋賀) 63,416,000円
● 第2位:平高 奈菜(香川) 33,437,000円
● 第3位:守屋 美穂(岡山) 27,584,000円
● 第4位:田口 節子(岡山) 27,217,266円
● 第5位:平山 智加(香川) 26,910,000円
● 第6位:香川 素子(滋賀) 25,147,000円
● 第7位:長嶋 万記(静岡) 22,137,000円
● 第8位:寺田 千恵(岡山) 22,098,000円
● 第9位:細川 裕子(愛知) 21,734,000円
● 第10位:中村 桃佳(香川) 20,490,000円
● 第11位:高田 ひかる(三重) 20,360,500円
● 第12位:日高 逸子(福岡) 19,872,500円
● 第13位:落合 直子(大阪) 18,711,000円
● 第14位:鎌倉 涼(大阪) 18,106,000円
● 第15位:浜田 亜理沙(埼玉) 17,959,000円
● 第16位:渡邉 優美(福岡) 17,938,000円
● 第17位:三浦 永理(静岡) 17,387,000円
● 第18位:大山 千広(福岡) 17,179,000円
● 第19位:金田 幸子(岡山) 17,075,000円
● 第20位:實森 美祐(広島) 17,072,000円

女子選手として初めてSG競走を制した遠藤エミ選手が、完全に抜け出している状況は変わりません。そして、香川素子選手がプレミアムG1を制したことで、一気に6位へ入ってきました。今年のボートレース界は滋賀支部が動かしているとさえ言えるでしょう。

ともあれ、滋賀の遠藤エミ選手、さらに香川の平高奈菜選手が女子の枠さえも飛び抜けて活躍しており、これは岡山の守屋美穂選手、田口節子線選手、さらに香川の同僚である平山智加選手も変わりありません。

これらの名前は男女混合戦を含めたほかのシリーズであってもよく見るでしょうし、舟券にもなりやすいという点から、ぜひ注目していくべき存在と断言できます。


女子選手たちの戦いは華やかに加速していく

2022年のレディースチャンピオンも終わり、夏はいよいよ盛りへと向かいます。そして、それと同時に、年末を見据えた戦いもさらなる熱を帯びていくことになるのです。

SG競走である「ボートレースメモリアル2022(浜名湖競艇SG)」は8月23日に開幕し、さらに9月にはルーキーの一大決戦である「ヤングダービー2022(多摩川競艇PG1)」も開催。楽しみは尽きず、涙、笑い、あらゆる感情が咲き誇ることになるでしょう。

これらの華々しき戦いを無事見届けるためにも、ファンと関係者が一丸となって盛り上げ、応援し、そして世界的な流行病を乗り越えなければなりません。ぜひとも、「良い2022年だった」と後々まで語れるような年にしていきましょう。


コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。