【競艇入門】ボートレースのモーターのすべてを解説~抽選・整備・メーカーまで

ボートレース(競艇)において、モーターは命ともいうべき重要な存在です。このモーターは各ボートレース場(競艇場)に備え付けであり、1年に1度、各場ごとに決まった時期にまるごと交換作業が行われます。
このため、モーターは過度の経年劣化を起こさず、常に最新型が使われています。さらに、かつては出力不足と言われていた減音型モーターが現在の主流であり、2020年現在では全24場で採用されました。これも技術の発達による恩恵といえるでしょう。
モーターはボートレース場のものである以上、選手がマイモーターを持っているわけではありません。開催のたびに抽選が行われ、割り振られた番号をもとに個々にあてがわれることになります。
しかし、モーターはそれぞれに性能の違いがあり、このことがボートレースに絶妙なドラマを生みます。こうしたモーター、時にエンジンと呼ばれるものについて、選手たちは苦心して整備し、レースに臨み、栄光のために突き進むといえるでしょう。
この記事では、モーターのメーカーや排気量はもとより、どのような部品で構成されているのか、1着2着になる確率を指す2連対率のランキングがどれほど成績に影響するのかなど、モーターについてのすべてを詳しく解説していきます。


目次


ボートレース(競艇)におけるモーターとは

出典:ボートレース若松

ボートレース(競艇)におけるモーターは、木製のボートを動かすためのエンジンを搭載した船外機を指します。2020年におけるモーターは同じ規格で統一されていますが、その性能には個体別にわずかな違いがあり、それがレースにおいて大きな差を生み出します。
モーターはボートレースにおける魂であり、その魂がより燃え上がるように調整し、水面においては猛々しいそれを自在に操る職人が、ボートレーサーであるといえるでしょう。


ボートレースのモーターの抽選

ボートレースのモーターは、全国24ヶ所にあるボートレース場(競艇場)が所有している物品になります。このため、開催に出場する選手は前日検査の際に抽選を行い、同開催中に使用するモーターを決定します。まさに運命共同体を決める瞬間でしょう。
この前日検査、通称「前検」は、ボートレーサーが必ず受けなければならないものです。もし、選手の責任による理由によって規定時刻までに集合できない場合、開催への出場停止の処分を課せられるほか、厳しい罰則が課せられます。
抽選については、ボートレースグランプリのような特別な開催を除き、ボートレーサーの成績はまったく関係ありません。純粋に運に委ねられます。抽選の実施には、商店街の抽選会などでも見られる抽選器を使用します。


モーターの抽選の様子を動画で見てみよう

SG競走ボートレースダービー2018(全日本選手権)のモーター抽選の模様を、開催したボートレース蒲郡の公式アカウントがアップロードしていました。実際の抽選の雰囲気がよくわかる内容で、レーサーたちの微笑ましいやり取りが見られる内容です。
とりわけ、「悪ないっ!」と良いテンションを見せてくれているのは、単なる大阪のおもろいおっさんではありません。「王者」こと松井繁選手です。
すでに生涯獲得賞金が40億円弱に達している吹田、そしてボートレースの聖地たる住之江の王は、トークスキルも抜群です。これもまたボートレースの楽しみのひとつでしょう。
動画後半では17号機が話題の的になっていますが、これは終盤まで2連対率の高い「エースモーター」である17号機が残っていたため、皆が注目していました。結果的に、ボートレース公式も「イケメンレーサー」として推す福岡の篠崎元志選手が引き、本人はぺこりと頭を下げています。
エースモーターについては後ほどの項目で説明しますが、良いモーターが話題の的になる、また、引いたらガッツポーズをするくらいに重要なのかという疑問を持たれたでしょう。答えを言うと、超がつくほどに重要です。引き続き次項で解説します。


ボートレースにおいてモーターは超重要

出典:ボートレース蒲郡

モーター抽選結果 – SG競走ボートレースダービー2018(ボートレース蒲郡)

https://www.boatrace.jp/owpc/pc/race/rankingmotor?jcd=07&hd=20181028

先ほどの動画で話題になった2018年のボートレースダービー(全日本選手権)について、モーター抽選結果の一覧表がボートレース公式に記録されています。先ほど話題になった17号機は、確かに福岡の篠崎元志選手が手にしているのがおわかりいただけるでしょう。
それでも、モーターの2連対率でいえば、第5位です。さらに2着以内になったことのあるモーターが4つ、5位タイも入れれば5つ存在しています。
ただ、ここで確率のマジックの話をしましょう。このモーターの数字は、確かに良いモーターである事実を担保しやすい数字ではあります。ただ、絶対に良いモーターであるとは限りません。
なぜなら、1年とはいえ長い歴史の中で、腕の良い選手が多く手にしてきた可能性があるからです。そうなると、あまり出力が高くなくても、腕前でカバーしてきて1着2着を獲得し、見た目上の数字が高い可能性があるわけです。
それを踏まえたうえで、なおもモーターは重要だと申し上げましょう。

優勝戦(最終日12R)結果 – SGボートレースダービー2018

https://www.boatrace.jp/owpc/pc/race/raceresult?rno=12&jcd=07&hd=20181028

実際にSGの激しい戦いを勝ち抜き、優勝戦まで残った6人の選手をご覧いただきます。あの17号機を手にした篠崎元志選手の名前も見えました。篠崎元志選手は優勝戦でも2着に入り、すばらしい成績を残したといえるでしょう。
ほかに残った5人の選手について、モーターのランキングを確かめてみましょう。2018年のボートレースダービーに出走したのは52名で、勝ち残った6名のモーターは守田俊介選手(10位)、篠崎元志選手(5位タイ)、石野貴之選手(35位)、井口佳典選手(19位タイ)、石川真二選手(2位)、池田浩二選手(47位)でした。
半分より上が4人で、ベスト10が3名です。あまり劇的な結果ではないと思われたなら、それもまた選手の技量の賜物だとご実感いただけます。彼らの多くは整備によって、自分仕様に調整を果たしたからです。

出典:ボートレース公式

最終日の12Rは優勝戦ですが、11Rの特別選抜A戦と10Rの特別選抜B戦も見ると、もっとハッキリしてきます。
11Rは桐生順平選手(1位)、新田雄史選手(15位)、篠崎仁志選手(21位)、峰竜太選手(7位)、赤岩善生選手(30位)、松井繁選手(22位)でした。
さらに、10Rは岡崎恭裕選手(16位)、平本真之選手(12位)、太田和美選手(9位)、深谷知博選手(48位)、瓜生正義選手(19位タイ)、田中信一郎選手(38位)でした。
こうして複数のレースに広げると、より傾向が見えてきたでしょう。すなわち、「少なくとも4対2、約分して2対1の割合で、モーターランキングが上位の選手が上位レースに勝ち残っている」という事実です。
加えて言うなら、10Rから12Rの上位2着、すなわち2連対を確保したのはいずれも20位以内のモーターでしたし、ベスト10のうち3台がそこに名を連ねました。18人の選手すべてに広げると、ベスト10は5台も残っています。与える影響の大きさが見て取れる結果です。


ボートレースのモーターのメーカーと排気量

出典:ヤマト発動機株式会社

ボートレースのモーターはいくつもの変遷、いくつもの競合を経て、昭和50年代から60年代ごろにひとつのメーカーへと集約されていきました。それが福島県太田市にあるヤマト発動機株式会社です。
現在、ヤマト発動機は世界レベルで見ても優秀な技術を携え、ボートレースのモーター、ボート、プロペラ、ピット、消波装置などを総合的に製造しています。
モーターの詳細なスペックとしては、水冷式縦型直列2気筒2サイクルのガソリンエンジンであり、約23.5kW(31PS)で排気量は396.9ccを誇ります。モーターのうちのいくつかの部品は交換が可能で、レーサーはその内容について熟知していなければなりません。
ボートレーサー養成所(旧:やまと競艇学校)においては、このモーターの扱いを徹底的に叩き込まれることになります。何といっても高出力の機械ですから、変に扱えば指の1本や2本は軽く飛ばされます。
安全のためにも、そして高い競技水準を維持し、より引き上げていくためにも、日々厳しい訓練が行われています。それは、ボートの操縦技術だけではなく、整備技術においても一流でなければ、トップレーサーにはなれない証でもあるといえるでしょう。


モーターにおける出足・行き足・伸び・まわり足

ボートレース公式において、モーターは2種類の分け方をされています。すなわち、出足型と伸び足型です。加速と最高速のどちらを重視するかという考え方であり、どちらも高水準に維持することが、あらゆる環境に適応する術といえるでしょう。
他方において、より細分化して考えるべき場面も出てきます。選手のコメントを見ると、「行き足が鈍い」や「まわり足がどうも」といった言葉が頻繁に現れるでしょう。こうした発言について、簡単に区分すると以下のようになります。

出足:1速。ピット離れの良さやスタートの際の加速力に影響する。
行き足:2速。スタート後のスピードの乗りに影響し、ターン後の平均速度を担保する。
伸び:3速。最高速度を表現し、直線でのスピードに影響する。
まわり足:ターン/コーナリング。これが良いほど、スピードが落ちずにスムーズに回れる。

上記の4つを意識してみるだけで、展示航走が面白くなり、選手コメント裏側がよくわかってきます。とりわけ、公式で触れられていない行き足とまわり足はレースの着順に大きく影響を及ぼしやすいため、注目ポイントといえるでしょう。


ボートレースのモーターは整備で生まれ変わる

出典:ボートレース公式

ボートレースのモーターは、開催ごとに出場する選手に振り分けられる話をしました。それで明らかに率が悪いモーターが来たとしても、選手は開催を戦わなければなりません。
まして腕の良い選手ともなれば、ファンから大金を預かる立場になります。「エンジンが悪いので帰郷します」という、クジ運が悪いとさっさとお暇するベテランが揶揄される逸話がありますが、公正競走を旨とするボートレースにおいて、そうそう認められるものではありません。
よって、ボートレーサーは与えられた武器でもって、最大限の努力を果たす必要が生じます。そのための鍵になるのが、モーターの整備です。どんなに「ヘボい」モーターでも、腕利きの選手にかかれば、見違えるような性能を発揮する場合がある。これがモーターの、ひいてはボートレースの面白いところです。


モーターの構造はどんな感じなのか

ボートレース公式が、モーターについての解説動画をあげています。アンバサダーとして案内してくれるのは、SG優勝通算10回を誇る「艇王」、元選手の植木通彦さんです。3分弱の動画ながら、かつてのトップレーサーの講義によって、大まかな構造がわかるでしょう。
モーターにはふたつの筒があり、それをシリンダーと呼びます。シリンダーによって2つのピストンが交互に動き、ドライブシャフトに力が伝わります。ドライブシャフトは縦回転し、ギヤケースによって横回転へと変換され、プロペラを回せるという仕組みです。
プロペラは1分間に7,000回転弱の高速で動き、時速80km、体感速度にして時速120kmものパワーを生み出します。軽くて頑丈な木製ボートで滑走するのは当然のこと、高速を維持したままモンキー乗りでターンするわけですから、ボートレーサーが曲芸同然なのがわかろうものです。


整備技術もまたボートレーサーの強さのひとつ

出典:【徹底解説】ボートレースエンジンの取扱説明書【実は〇〇だった】(https://youtu.be/PKGLDyi2UWc)

上記の画像は、女子ボートレーサーの中でもトップクラスの選手である平山智加選手の動画の一部です。こちらは30分以上と長いですが、とてもためになる内容なので、興味のある方はご覧ください。
裏を返せば、トップレーサーが懇切丁寧に、かつ的確で手早く解説したとしても、30分以上かかるのがエンジン、すなわちモーターの世界です。ボートレーサーはその仕組みについて熟知し、そして競技人生を通じて熟達していかねばなりません。
整備力を持っている選手は、相当に性能の悪いモーターであっても、充分に戦えるレベルにまで引き上げる能力を持っています。これにより、年間を通じて安定した成績を残せる、すなわち賞金ランキングの上位に食い込み、グランプリの常連として名を知られるようになります。
逆に、整備力がイマイチの選手の場合、成績にムラが出るのを避けられません。そもそも「良いモーター」とは、自分の理想のレーススタイルを高水準で実現してくれるエンジンのことです。
たとえ元から良い性能を持っていたり、あるいは別の熟練選手が良好な状態にチューンアップを施してくれていたりしても、自分のレーススタイルと相違した調整が施されていると、本番で思ったような結果を残せません。
整備においては、そうした状態のモーターを自分好みに寄せていくわけですが、この作業が下手だと、基本的に毎回の開催が運頼みになってしまいます。
もちろん、どんなに手を尽くしても上手くいかない場合もあり、逆にもっと良くしようとして裏目に出るパターンも考えられます。それでも、良い選手、強い選手というものは、そうしたマイナスの結末を回避し、プラスの結末に持っていく能力に長けています。


モーターの整備では時に部品の交換まで

出典:ボートレース公式

モーターの整備において、部品の交換は日常的に発生します。日常的に発生しますが、その内容によっては、「このモーターはかなりヤバいんだな」とファン目線からもわかります。
ただ、交換したから必ず悪いとは限りません。大レースともなれば、究極の仕上げを求めて交換するパターンもしばしば見られます。画像は2020年12月17日(木)、ボートレース平和島で開催されたSG競走ボートレースグランプリの第11R、トライアル2ndの直前情報です。
3号艇の寺田祥選手が「キャブレター」を、4号艇の平本真之選手が「電気一式」を交換したことが、部品交換の項目によって把握できます。
このレースは艇番どおりの決着となりました。すなわち、3号艇の寺田祥選手は3着で、4号艇の平本真之選手は4着です。やはり大舞台なだけに、少しでも気になる点があれば、リスクを恐れずに取り替える方針を取ったといえるでしょう。

出典:ボートレース公式

同じく2020年12月17日(木)、ボートレース住之江の一般競争の第7R、予選競走の直前情報をご覧ください。4号艇の下河雅史選手が、キャリアボデーを交換しています。キャリアボデーは名前のとおりにモーターの胴体部分にあたり、排気効率に大きく影響する部品です。
はっきりいって、初日からキャリアボデーを交換するのは非常にまずい状況だと考えられます。下河選手はすでに第2Rで1走していましたが、6コースから6着でした。このままでは勝負にならないと判断したのでしょう。さっそくキャリアボデーの交換に打って出ています。
しかし、結果は4コース発進の6着に終わりました。またしてもシンガリ負けです。それも、スタートは一番遅れたコンマ29でした。もともとスタートが苦手な下河選手ですが、それにしてもモーターの調子も悪かったといえます。
4号艇が凹んだことにより、外の選手にチャンスが生まれました。結果として、6号艇で6コース進入の後藤正宗選手が2着に入る3-6-2の決着で、払い戻しは16,070円の万舟決着となりました。
このように、部品交換の内容によっては、個人だけでなくレース全体の荒れ模様も推察することが可能になります。
ドライブシャフトの縦回転を横回転にしてプロペラを回す「ギヤケース」、各部品の出力を担保する「キャリアボデー」、ピストンが通る部品である「シリンダーケース」、ピストンの往復運動を回転エネルギーに変える「クランクシャフト」あたりが交換されていると、怪しい雰囲気が漂うといえるでしょう。
また、転覆後は往々にして「電気一式」を交換しますが、転覆そのものの影響もあいまって、かなりモーターの状態が変わっている可能性が高くなります。
とはいえ、「すごい選手は何とかしてしまう」パターンがあるのもボートレースです。展示航走での走りを見て、どれくらいの性能を保持しているかを確かめるのも、楽しいとともに重要でもあるプロセスだと知っておきましょう。


モーターが泣くとき笑うとき

出典:ボートレース公式

モーターは、このようにボートレーサーと一心同体であり、短期的には当該開催において、長期的には競技人生においての栄達の是非を決める最重要アイテムです。
そうして、ボートレーサーたちが苦心して仕上げたモーターについては、アクシデントによって性能が落ちる可能性があるとともに、誰からも羨望される存在になるケースまで考えられます。
それぞれのパターンについて、見ていきましょう。


エースモーターと1億円モーター

どのボートレース場でも、ランキングの上位から2つか3つの好成績モーターは、「エースモーター」と呼ばれます。エースモーターは、前日検査におけるモーター抽選の段階から、選手たちの注目の的です。成績への直結が期待されるわけですから、当然といえるでしょう。
これとは別枠で、SG競走ボートレースグランプリ(賞金王決定戦)において優勝を達成したモーターについては、1億円獲得を成し遂げたモーターということで、ファンの間では「1億円モーター」と呼ばれることがあります。
グランプリの場合、賞金ランキング上位で腕の良い選手に優先的に2連対率の高いモーターが振り分けられ、さらに熟練のレーサーの手によって整備が施されるため、実際にすばらしい性能を誇っている可能性が高いです。
あとは単純にゲン担ぎの面からも、「ボートレーサー最高の栄誉であるSG制覇達成と1億円ゲットをもたらした幸運のモーター」と見られます。


ああ無情、モーターが「壊れる」場面

出典:ボートレース公式

しかしながら、そんなモーターの栄光の日々が、唐突に終わりを告げるパターンがあります。レース中や展示航走中における事故、すなわち「転覆」「落水」「沈没」「エンスト」といったアクシデントの数々が、その中にあって最も多いでしょう。
これらは、いずれも別々の競走中止の事由です。転覆は最も多く見ることになるアクシデントで、名前のとおりにボートがひっくり返ってしまうものを指します。他艇との競り合いでも起きますが、単独での事故が多いのも特徴です。
もともと、ボートレーサー養成所に入ってすぐの新人たちは、とにかくボートで転覆を繰り返すことになります。それほどに高速で滑走するボートを操り、あまつさえ高速でターンするのは難事であるといえるでしょう。
たとえ20年以上乗っているようなベテラン選手であっても、その日の風が強く、波が激しくうねっている場合、見事にひっくり返る光景を見せることがあります。
落水は、ボートこそ無事なものの、選手だけが水面に放り出された状態です。他艇やターンマーク、さらに護岸に衝突することによって投げ出されるパターンが多いでしょう。これは非常に危険で、まだ動いている自分の艇や、迫ってきた他の艇のプロペラによって、場合によっては死に至る事故に発展します。
長編競艇マンガ「モンキーターン」でも、主人公の波多野憲二が落水し、大怪我を負うエピソードが描かれていました。
沈没はレアケースですが、ボートに水が入って沈んでしまった状態を指します。他艇との接触などでボートに穴が開き、沈むケースが考えられるでしょう。このほかにもエンジンストップ、「エンスト」での競走中止のパターンも考えられます。


アクシデントの結果はモーターに表れる

いずれの事故においても、モーターには何かしらのダメージが加わっていると考えられます。最も大きい影響は、水に浸かったことでしょう。海水にせよ淡水にせよ、繊細なモーターの各部品は痛めつけられています。
少なくとも、電気一式は交換しなければなりません。さらに、ほかの部品も衝撃によって変形し、これまでの性能を失っている可能性があります。他艇との衝突が絡むようであれば、なおさらです。
しかも、ボートレースは1日に2回走るパターンがあります。1回目の出走でアクシデントに見舞われた場合、次の出走までの時間で何とかしなければいけません。自分もまた傷つきながら、どうにかリカバリーの方法を考えますが、異常を確かめる手段も限られています。
事故の後に、実際に走ってみて特に問題がないというのはレアケースです。ファンの目には「転覆したのに大丈夫じゃん」と映るパターンでも、裏では選手による懸命の努力があることが大半、というよりほぼ確実に存在します。
そういうリスクを考えても、ボートレーサーたちとしては事故を起こしたくありません、しかしながら、ボートレースが「艇」を「競」う戦いである以上、トラブルから逃れられないのも宿命です。そんな中で立て直せるかどうかも、技量のひとつといえるでしょう。


ボートレースはモーターに始まりモーターに終わる

ボートレースは、モーターがすべてではありません。しかし、モーターがなければ成り立たない競技です。ボートレーサーの訓練の多くがモーター関連に費やされ、そして競技人生の多くもモーターとの戦いに捧げられます。
日本が誇る技術の結晶たるヤマト発動機のモーターは、一流のレーサーにしてエンジニアである選手たちの手によって、毎日のように丹念に整備されます。その営みもまた、ボートレースの魅力のひとつといえるでしょう。
こうした事実から考えると、ボートレースはまさしくモーターに始まりモーターに終わる競技とも表現できます。モーターはボートレーサーにとっての魂であり、ファンにとっては重要な予想の材料です。モーターの存在なくして、ボートレースを語れません。
基本的には縁の下の力持ちですが、同時に縁の上で語られる花形にもなりえる不思議な存在、ボートレースのモーターについて、少しでもおわかりいただけたなら幸いです。


[参考資料]
■モーター全体説明
モーター (競艇) – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=4244874

■モーターの抽選関連
LEVEL.1 前検(前日検査) – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level1/l1_02_04_02.html

LEVEL.2 モーターは抽選で決まる! – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level2/l2_03_01_01.html

前検日に行われたモーター抽選の模様をお届け! – BR蒲郡ピット直送MOVIE
https://youtu.be/L4wS6QA-DDo
SGボートレースダービー2018前検日のモーター抽選の様子動画

モーター抽選ランキング例 – SGボートレースダービー2018
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/race/rankingmotor?jcd=07&hd=20181028

優勝戦(最終日12R)結果 – SGボートレースダービー2018
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/race/raceresult?rno=12&jcd=07&hd=20181028

■モーターのメーカーおよびスペック関連
LEVEL.2 モーターのスペック – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level2/l2_03_01_02.html

モーター (競艇) – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=4244874

■モーターの特性関連
LEVEL.2 出足型と伸び足型のモーター – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level2/l2_03_01_04.html

■モーターの構造解説
植木通彦のボートレースの秘密 モーターの構造 ボートレースのモーターはどのようにして動いている?|ボートレース公式
https://youtu.be/YPB1XZm_dqs

■モーターの整備について
LEVEL.2 本体整備とは? – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level2/l2_03_01_05.html

LEVEL.2 外まわり整備とは? – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/level2/l2_03_01_06.html

■エースモーターおよび1億円モーター
エースモーター – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/jiten/04/y_019.html

■転覆ほか
転覆・落水・沈没 – BOATRACE公式
https://www.boatrace.jp/owpc/pc/extra/enjoy/guide/jiten/19/y_183.html

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