【最終便】チャレンジカップ2022(鳴門競艇SG)開幕!ボートレースグランプリへのラストチケットを手にするのは誰だ!?

2022年11月も中ほどを過ぎ、あと1ヶ月半で年が変わろうとしています。それはすなわち、ボートレースにおける最大級の盛り上がりへ向けて、ラストスパートの時が訪れたことを意味しているのです。

チャレンジカップ。ボートレース最高峰の戦いであるSG競走において、ボートレースグランプリを除けば、トリを務めることになるこのシリーズ。選手たちが挑むのは、まさしく「ボートレースグランプリ」および「ボートレースグランプリシリーズ」への出場権をかけた戦いです。

この記事は、チャレンジカップの概要や出場条件の解説に始まり、昨年の本レースや過去5年の結果の振り返り、今年2022年の注目選手、加えて開催される鳴門の水面特性や新型コロナウイルス対策による入場制限の有無まで、知りたい情報がそろった内容でお届けします。


「チャレンジカップ」というボートレース界最高峰のSG競走について知ろう

チャレンジカップは、ボートレースにおける最高ランクの開催であるSG競走のひとつです。ボートレースグランプリを含めれば1年に8つあるSG競走、その7番目に位置しているため、グランプリを除けば、このチャレンジカップが最後のSGに位置することになります。

そして、それにふさわしい「意味」を、チャレンジカップは持っています。1998年に第1回が始まった、若い競走であるこのシリーズがどういう趣旨で作られたのか、さらに詳しく見ていきましょう。


チャレンジカップとは「ボートレースグランプリ」へ向けた最後の戦い!

チャレンジカップは、1998年に「競艇王チャレンジカップ競走」という名称で誕生しました。その設立趣旨は、ずばり「賞金王決定戦(2014年以降のボートレースグランプリ)」への出場をかけた「最終トライアル競走」です。

1990年代序盤のバブル崩壊後、競艇の売上は他の公営競技と同様に落ちていき、売上振興策を次々に打ち出すことになりました。チャレンジカップの創設もまた、その一環です。

2014年に競艇が「ボートレース」という通称を冠するようになったころから、インターネットの高速回線が一般的に普及し、これを利用したボートレース振興会や全国24場のPRもあって、売上は今や大いに上昇を続けています。

そして、その中心にあるのが、命をかけて走り続ける熱きボートレーサーたちのドラマです。チャレンジカップは、そんな「挑み続ける者たち」がたどり着く究極の戦いと言えるでしょう。


チャレンジカップの出場条件を確認

SG競走たるチャレンジカップは、他のSG競走と同様に独自の出場条件を設けています。チャレンジカップの出場条件の特徴は、どのSGにも設けられている「優先出場枠」が存在しない点でしょう。

では、チャレンジカップの出場条件はどのように決められるのか?

● 当年1月1日から10月31日までの獲得賞金上位選手

これだけです。1年を通してしっかり稼ぎ、ボートレースグランプリでも遜色のない戦いができる優れた選手にのみ、チャレンジカップの門戸は開かれるのです。ただし、選出除外の規定が設けられており、以下に挙げられた各項に該当する場合は出場できません。

● 昨年のチャレンジカップから当年のボートレースダービーまでの優勝戦で選手責任によるスタート事故を起こした選手
● 当年のグランドチャンピオンから当年のボートレースダービーまでの準優勝戦で選手責任によるスタート事故を起こした選手
● 褒賞懲戒規程による出場停止処分を受けた選手

選出除外についても、非常にシンプルと言えるでしょう。SG優勝戦やSG準優勝戦でのスタート事故のペナルティは重く、あるいはボートレーサーとしてあってはならない振る舞いをし、褒賞懲戒規程による出場停止処分を受けた選手は出ることができない。このようになっています。


昨年のチャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)も感動の結末!

ボートレース多摩川で行われた2021年のチャレンジカップは、広島の辻栄蔵選手が16年ぶり3度目のSG制覇を果たす、劇的な幕切れを迎えました。

優勝戦では1号艇1コースだった辻選手。1周目1マークで瓜生正義選手に差しを決められながらも、1周目2マークで気迫の逆転劇を演出する姿は、競艇時代から応援していたファンの心も熱くさせたことでしょう。

世代を代表する名手であろうとも、容易には勝てないのがSG競走です。1年に8回、同時期のグランプリとグランプリシリーズを別個に数えれば9回のチャンスがありますが、栄光に手が届くのはほんの一握りのトップレーサーだけ。

それでも、挑み続ければ、必ずやすばらしい成果が待っている。久しぶりのSG制覇を果たした辻選手の輝きが、そう教えてくれています。


過去5年のチャレンジカップの結果を振り返る

2017年(下関):毒島 誠
2018年(芦屋):馬場 貴也
2019年(桐生):石野 貴之
2020年(蒲郡):毒島 誠
2021年(多摩川):辻 栄蔵

過去5年のチャレンジカップを優勝したのは、ご覧の4名の選手です。やはり短いスパンで同競走V2を達成した、群馬の毒島誠選手が目立ちます。

ただ、そんな毒島選手に思わぬ出来事がやってきました。なんと8月11日に開幕した地元桐生の企画シリーズ「報知新聞社杯お盆レース(桐生競艇一般)」で、まさかのコンマ01のフライングを喫してしまったのです。

これにより、毒島選手はボートレースダービー終了後から30日のフライング休みとなり、今回のチャレンジカップは選出除外となりました。

毒島選手は2013年のオーシャンカップ以来、開催されたすべてのSGに連続して出場するという記録を更新し続けており、この「SG連続出場記録」は歴代1位に達していたほどです。

しかしながら、今回の選出除外によって、「ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)」で記録が途切れ、「75大会」がレコードとして確定することになりました。とはいえ、30日の休みの後には、「逆襲の毒島」が見られることでしょう。


2022年のチャレンジカップで注目したい6名の選手

2022年のチャレンジカップにも、令和の今を代表するすばらしいメンバーが集まりました。今年の賞金ランキングの上位だけに限っているからこそ、「昇り龍のトップレーサー」が集結する様を見られるのが、チャレンジカップの魅力なのです。

誰もが私たちを熱くしてくれるレーサーですが、特に注目したい選手を6名ピックアップしました。先ほど紹介した過去5年の優勝選手のうち、出場している3名。さらに、SG初制覇を目指す若き才能3名という内訳です。

そういう意味で、今回のチャレンジカップだけでなく、将来に渡って「推し」にしたくなるボートレーサーが見つかるかもしれません。ぜひともじっくりお読みください。


馬場貴也(4262/滋賀)

滋賀の馬場貴也選手は、2022年のボートレース界で輝き続けた同支部の存在感を体現するような活躍を見せています。

先だってのSG競走である「ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)」の解説記事でも触れたとおり、馬場貴也選手は「勝負強さ」の権化です。今年の7回の優勝のうち、優勝戦をイン逃げで制したのはわずか2度のみ。残り5回は差し1回、まくり1回、まくり差し2回、抜き1回と大舞台での劇的な強さを誇っています。

そして、この優勝歴の差し1回とは、上記で申し上げたばかりのボートレースダービーの優勝戦で達成されました。コンマ08の絶品スタートでイン逃げを狙う1号艇の菊地孝平選手を、最高の鋭さでもって差し切ったのです。

馬場選手のSG制覇は、「ボートレースグランプリシリーズ2019(住之江競艇SG)」以来3年ぶり3回目のことでした。今の勢いをもってすれば、このチャレンジカップで「1ヶ月ぶり4回目のSG優勝」を果たす未来もあるかもしれません。


石野貴之(4168/大阪)

2019年にボートレースグランプリを制してから、まさかの長い不調を味わうことになったのが、大阪の石野貴之選手です。SGを制覇すること9度の名選手が異様なまでに苦しむことになったため、このまま復活はないのかとさえ一部でささやかれるほどでした。

しかし、最強大阪支部を代表する1人である石野選手は、「ボートレースクラシック2021(福岡競艇SG)」の制覇によって、そうした世評を打破しました。

その後も少々安定感に欠けるところが見られながらも、2022年は地元周年である「太閤賞2022(住之江競艇G1)」を勝ち取るなど、すっかりSGタイトルホルダーとしての戦いぶりを取り戻しています。

近走も3節前の「児島キングカップ2022(児島競艇G1)」で予選2位通過からの優出、また2節前の「日刊スポーツ杯争奪戦(福岡競艇一般)」でも優出を果たしており、大一番に向けて調子は良好と見て良さそうです。


辻栄蔵(3719/広島)

昨年のチャンピオンである、広島の辻栄蔵選手。このチャレンジカップには連覇をかけて臨みますが、少々厳しい状況にあることをお伝えせねばなりません。

というのも、11月初旬の「浜名湖賞2022(浜名湖競艇G1)」にて、コンマ02のフライングを切ってしまったのです。このため、チャレンジカップで賞金ランキング18位以内を勝ち取らないと、グランプリへの出場はかないません。19位から60位までが出場するボートレースグランプリシリーズには、フライング休みが適用されるからです。

逆に言えば、ベスト18に入ることで、フライング休みの対象期間であっても誉れあるグランプリの舞台で走ることができます。

昨年は見事に「チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)」を制したことで、本戦への出場権を勝ち取りました。今年もまた、困難な状況を打ち破る技巧が見られるのでしょうか。

今年2022年はSG競走を皆勤しているだけでなく、ボートレースオールスター、グランドチャンピオン、オーシャンカップ、ボートレースメモリアルの4開催では予選突破を果たしています。なればこそ、今度はさらに大きな壁を越える時です。


前田将太(4504/福岡)

福岡の前田将太選手は、1988年3月23日生まれの34歳。初出走から1ヶ月後には初勝利の水神祭を味わい、デビューから1年も経たないうちに初優出を経験。初優勝も1年7ヶ月で達成と、すばらしい才能を証明し続けてきました。

G1競走にも4年目を迎えてすぐに出走を果たしましたが、そこから初優勝までが茨の道。2021年6月、ついに地元周年の「福岡チャンピオンカップ2021(福岡競艇G1)」にて、待望のG1初制覇を成し遂げました。

重圧を受けながらも、真摯に走り続けた結果が、G1制覇という大輪の花につながったと言えるでしょう。

そして、今年2022年、前田選手の活躍はキャリアハイと呼ぶにふさわしいものになっています。年明け1月の「ミッドナイトボートレース 深の夜王決定戦(若松競艇一般)」を制したのを皮切りに、11月現在までに8つの開催で優勝しました。

7月には1,000勝を達成し、快調さをアピール。3節前の「大阪スポーツカップ(丸亀競艇一般)」をオール2連対で優勝し、2節前の「ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)」でも9走して7回の3連対、前節の「高松宮記念2022(住之江競艇G1)」でも2勝して5回の2連対と、勝負勘は冴え渡っています。

チャレンジカップは、「覚醒」にもってこいの舞台です。前田将太選手の挑戦は、超一流のライバルに対してだけでなく、己にさえも挑むことになるでしょう。


磯部誠(4586/愛知)

愛知の若武者にして、卓抜した技術でSG制覇が嘱望される人材。それが磯部誠選手です。1990年9月8日生まれの32歳。2020年にはラストチャンスで「ヤングダービー2020(びわこ競艇PG1)」で優勝し、嬉しい初G1制覇をものにしました。

さらに、今年2月には「東海地区選手権2022(常滑競艇G1)」でG1通算2回目の優勝を達成。成長に次ぐ成長で、多士済々の愛知支部でエースとなることを期待されています。

とはいえ、今年は非常に悔しい思いもしました。春の「ボートレースオールスター2022(宮島競艇SG)」では、予選1位通過によって準優勝戦1号艇を獲得しながらも、4号艇4コースの原田幸哉選手のまくり一発に屈してしまうことに。

その後もグランドチャンピオン、およびオーシャンカップで準優勝戦3着と、あと一歩で優出に手が届きません。

ただ、裏を返せば、SGで予選突破を果たし、さらには準優勝戦で舟券絡みをしている事実があるわけです。SG制覇の誉れへ近づくことも、十分に可能でしょう。

今やSGの常連になったからには、あとは「常連」から「優勝者」への進化の道を踏破するまでです。


羽野直也(4831/福岡)

福岡の羽野直也選手は、1995年3月29日生まれの27歳、すなわち今もルーキーシリーズへの出場権を保有している若手選手です。にもかかわらず、すでにG1タイトルを4つも獲得しているということから、才気煥発とはこのことでしょう。

しかも、G1のV4はつい最近達成されました。3節前、10月の「トーキョー・ベイ・カップ2022(平和島競艇G1)」でのことです。オール2連対、予選1位通過の勢いもそのままに圧巻のG1優勝でした。

実は、羽野選手はSGでの優出も達成しています。「グランドチャンピオン2020(宮島競艇SG)」でのことで、優勝戦こそ6着だったものの、予選5位通過からの準優勝戦2位で優出という、当時25歳とは思えぬ堂々たる走りを見せました。

羽野選手はまだキャリアが浅いゆえに、鳴門水面への出場もまだ5節しかありません。優出こそ1回ありますが、優勝歴はなし。それでも、今のポテンシャルを考えれば、十分に戦う準備はできていると考えるべきでしょう。

「若い」というだけではない、「強い」ボートレーサーなのだ。そう証明するためにも、チャレンジカップはもってこいのタイトルです。


ボートレース鳴門の水面特性を知って2022年のチャレンジカップを攻略する

チャレンジカップを存分に楽しみ、時には有効な舟券予想をするためにも、今回の舞台である鳴門の水面特性を知っておきましょう。

ボートレース鳴門は、小鳴門海峡に面した位置にあります。このため、水質は海水ですが、防波堤があるために大きな波やうねりが発生することは少ないと言われています。

しかしながら、実際には「鳴門の渦潮」でも有名なとおり、同地は潮の流れが速く、コース内の水面にもうねりが出やすい現状があります。

このため、「狭くて水面が荒れやすく、一方で海水なので全速戦を仕掛ける選手に奏功しやすい」という性質、すなわちイン受難水面のひとつに数えられる点は、よくよく認知しておくべきでしょう。

東日本にはインがとにかくつらい戸田、流れがすさまじい江戸川などがありますが、鳴門は西のイン受難の代表格として挙げるべき存在なのです。

また、海コースゆえに、潮の満ち引きによる干満差が発生します。干潮なら外からの「まくり」が決まりやすく、満潮なら「インが有利」な傾向にある点は、予想に活かすと効果的でしょう。

ところが、今回のチャレンジカップの開催期間も含む晩秋から冬にかけてはホーム追い風が吹きやすく、この場合は「差し」が決まりやすくなるため、複合的に予想を組み立てることも大切です。


[入場制限/入場規制]チャレンジカップ2022(鳴門競艇SG)における新型コロナウイルス対策

今回の「チャレンジカップ2022(鳴門競艇SG)」においては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入場制限(入場規制)が実施されます。

これまでの大レースのような「事前抽選の実施」や「指定席券の前売り」は行われず、純粋に「先着2,000名のみが入場可能」という制限が告知されています。また、場内でも感染拡大防止のための取り組みに従い、協力することが求められるでしょう。

2022年の晩秋から翌2023年の春ごろにかけて、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行するという警告が発せられています。2022年のチャレンジカップが大団円を迎えられるよう、ファンもまた自覚して行動していきましょう。

また、相手が感染症であるため、情勢は流動的です。ボートレース鳴門の公式ウェブサイトを適宜確認し、最新情報を入手することをおすすめします。

参考資料:ボートレース鳴門
https://www.n14.jp/index.htm


2022年のボートレースも最終コーナー!グランプリを目指して挑め

数々の思い出が生まれた、2022年のボートレース。その締めくくりの時は近づいており、今年もチャレンジカップが大きな節目となるでしょう。

誰が勝って喜び、誰が負けて涙するか。歓喜と悲嘆が交差する、偉大な挑戦者の祭典は、2022年11月22日(火)から11月23日(水/祝)の「勤労感謝の日」を挟み、11月27日(日)まで行われます。

「最強を極める! 最後のチャンス」という今年のキャッチフレーズのもとで繰り広げられる戦いは、必ずや見届けるべき「大切な瞬間」の積み重ねになるでしょう。

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