【劇的結末】2022年のボートレースダービーは馬場貴也がしてやったり!同シリーズ回顧と年末グランプリ展望

2022年のボートレースダービーは、誰もが熱狂する結末となりました。1号艇が絶対的に強いと言われるボートレースは、SGほどの高みともなれば、インの強さはいよいよ盤石なものとなります。まして、勝ち上がってきた6名の精鋭によって行われる優勝戦は、その原則が絶対的な重みを持つのです。

それでも、逆転は起きました。卓抜した技術によって生み出された鋭角の差し込みは、インの有利を覆しました。愛知県常滑市のボートレース常滑に、大歓声が沸き起こった瞬間です。

「ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)」、その開催がいかなる結末を迎えたのかについて、優勝戦を中心として回顧し、年末の「ボートレースグランプリ2022(大村競艇SG)」への展望を見ていきましょう。

目次


ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)は驚きの結末!優勝は滋賀の馬場貴也!

2022年10月30日(日)、ボートレース常滑の第12R。栄えある2022年のボートレースダービーの優勝戦は、天候は晴れ、気温は19度、風速2mで、風向きはホームやや向かい風。そうした常滑らしい、穏やかなコンディションで迎えることになりました。

劇的な戦いを締めくくるのにふさわしい好条件は、いよいよ1号艇1コースの菊地孝平選手の優勝を後押しするかのようです。

しかし、勝負に絶対はなく、ボートレースにも絶対はありませんでした。優勝を手にしたのは、2号艇2コースの馬場貴也選手だったのです。精鋭の集う滋賀支部でも、とりわけ勝負強いことで知られる馬場選手は、見事というほかない最高の競走によって頂点に立ちました。

本シリーズの展望を書いた記事は、すでにお読みいただいたでしょうか?

遠征勢の注目選手の1人として、馬場貴也選手をピックアップしておりました。「勝負強さ」にフィーチャーしていたわけですが、まさしく大一番で最高のレースをしてくれたと言えるでしょう。


まさかまさかの逆転劇!2022年のボートレースダービー優勝戦は逆転決着

最良のコンディションで迎えた優勝戦。前付けする選手も現れず、枠なりでの進入となりました。

5号艇には東京の濱野谷憲吾選手、6号艇には広島の上平真二選手とベテランがいたわけですが、アウトからの一撃に懸けた真っ向勝負になったわけです。比較的良い条件で行われるために、それぞれが自らの勝ち上がってきたエンジンを信じた面も大きいでしょう。

ただ、数字だけでは見えないものもあります。常滑は水門で隔てられているとはいえ、海に作られた海水コース。ほのかな波がある点は特筆に値します。そして、それこそが優勝戦の明暗を分けました。

優勝戦は整ったスリットライン。1号艇1コースの菊地孝平選手は、見事にコンマ08のトップスタートを決めます。艇界一のスタート巧者の面目躍如とも言えるこの発進ですが、2号艇2コースの馬場貴也選手もコンマ11で追随していました。

このことが、好機をもたらします。インが有利というボートレースの原則は、「それでもスキがあれば1号艇を負かすことができる」という別の原則もあるからこそ輝くのです。

迎えた1周目1マーク。菊地孝平選手のターンがわずかに流れました。ほのかにスムーズでないターンは、懐に食い破れるだけの間隙を生み出します。勝負勘の鬼とも言える馬場選手は、その好機を逃しませんでした。2コースから放たれた鋭い差しが、菊地選手の懐を完璧に捉えます。

さらに、1周目2マークでは4号艇4コースの山口剛選手も猛追。菊地選手は一時4位まで落ちたものの、3号艇3コースの田村隆信選手との熾烈な争いを制し、どうにか3位に浮上。ただ、それも最終周回のこと。万策尽きました。

1着は2号艇馬場貴也選手、2着は4号艇山口剛選手、3着に1号艇菊地孝平選手。3連単2-4-1は27番人気、11,690円の万舟券です。

1-2の拡連複は1番人気の130円ですから、いかに菊地選手の敗戦がファンにとって衝撃的だったかがわかりますし、馬場選手と山口選手の美技がすばらしかったかをも同時に示しています。

優勝戦直前、馬場選手は賞金ランキング第3位、山口選手は第1位でした。混沌を極める2022年のランキングながら、現在好調な2名がそのアドバンテージを大舞台で発揮した形です。


勝者あれば敗者あり!菊地孝平の悔しさはどこまでも深く

優勝した馬場貴也選手は、同じ滋賀支部の先輩である守田俊介選手が2度制しているダービーのタイトルを、初めて手にすることになりました。

「信じられないです。いろいろ考えたけど、しっかり自分のレースをできました。守田俊介さんが取ったタイトルをいつか勝ちたいと思っていましたが、まさか優勝できるとは思ってなかった」

というコメントには驚きと喜びが熱烈に表れていますが、同時に、勝者がいれば敗者もいるのが勝負の世界の原則です。

特に、1号艇の菊地孝平選手がどれだけ悔しかったかは、とても推し量ることができません。ピットに帰投したあとも、菊地選手はしばし呆然と立ち尽くしていたと言います。

さらに、レース後のメダルセレモニーで優勝戦第3位の表彰を受けましたが、そこには落胆と悔恨の表情だけがありました。

「完敗です。仕上がりは良かったし、Sも行けたけどターンを失敗した。水面が思ったより悪かったですね。またやり直します」

菊地選手のコメントは、このようなものでした。ボートレーサーなら誰もが追い求めるSGのタイトル。彼にとっては「ボートレースメモリアル2016(桐生競艇SG)」以来、6年ぶり6度目のSG制覇が間近に迫り、そして滑り落ちていきました。

ボートレースダービーについて言えば、全日本選手権の時代を含めても、一度も制覇したことがありません。初めてのダービー王のタイトルは、わずかなターンの乱れによって、完全に失われたのです。その悔しさは、真の歓喜によってでしか癒やされることはないでしょう。


意外!?常滑開催のボートレースダービーで地元愛知勢は苦戦!

今回、常滑で行われたボートレースダービー。地元の愛知支部からは5人の選手が参戦したものの、なんと予選通過を果たしたのは池田浩二選手のみという意外な結果に終わりました。池田選手にしても得点率15位で薄氷の突破であり、全国からトップクラスのレーサーが集うSGの怖さが表れたといえます。

池田選手が引き当てた61号機は、初日から気配が不調でした。それでも予選通過まで持ってきたのは、さすがに愛知支部の大黒柱たる池田選手のすごみと言えるでしょう。

ただ、地元ファン待望の地元SG初Vの夢は、今回も成し得ることができませんでした。次の戦いへ向けて、再びその牙を研ぐ日々が始まります。


ボートレースグランプリ2022(大村競艇SG)への切符を懸けて!残る席はあとわずか

ボートレースダービーの結果は、ラストスパートの時を迎えた賞金ランキングに一定の「確定ランプ」を灯しました。現在のベスト20を列挙してみましょう。

第1位:馬場 貴也(滋賀)
第2位:山口 剛(広島)
第3位:原田 幸哉(長崎)
第4位:菊地 孝平(静岡)
第5位:白井 英治(山口)
第6位:池田 浩二(愛知)
第7位:片岡 雅裕(香川)
第8位:毒島 誠(群馬)
第9位:桐生 順平(埼玉)
第10位:遠藤 エミ(滋賀)
第11位:椎名 豊(群馬)
第12位:石野 貴之(大阪)
第13位:羽野 直也(福岡)
第14位:瓜生 正義(福岡)
第15位:上平 真二(広島)
第16位:上條 暢嵩(大阪)
第17位:磯部 誠(愛知)
第18位:中島 孝平(福井)
第19位:丸野 一樹(滋賀)
第20位:関 浩哉(群馬)

見事に逆転優勝を勝ち取った馬場貴也選手が第1位に浮上。戦前は第1位だった山口剛選手が優勝戦2着だったため、第2位に入っています。この2人は、すでに年間獲得賞金1億円を突破しました。安定した活躍の賜物と言えるでしょう。

重ね重ねながら、ボートレースグランプリ出場のためにはベスト18、トライアル2ndから登場のシード権を獲得するためにはベスト6に入る必要があります。それぞれ重要な数字であり、11月のSG競走チャレンジカップまで続く賞金争いの運命の分岐点となります。

果たして、「発祥地グランプリ」へ駒を進めるのは誰か。あるいは20位未満からのジャンプアップがあるのか。2022年11月22日(火)から開催の「チャレンジカップ2022(鳴門競艇SG)」が終わる時まで、決して予断を許しません。


2022年のボートレースシーズンもあとわずか!最大級の輝き目掛けて走れ

いろいろあった2022年も、残り2ヶ月となりました。歴史的快挙が次々に達成された今年にふさわしい刺激的な戦いが、チャレンジカップ、そしてボートレースグランプリとそのシリーズ戦へと続いていくでしょう。

また、そうした賞金争いで重要なグレードレースも、「高松宮記念2022(住之江競艇G1)」「浜名湖賞2022(浜名湖競艇G1)」「京極賞2022(丸亀競艇G1)」「ダイヤモンドカップ2022(福岡競艇G1)」といったあたりが残されています。

令和4年の航跡がどのような未来を導くのか。それを見届けるためにも、各開催をワクワクをもって応援していきましょう。


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