2021年の終わりが近づいてきました。それは、ボートレース界にとっても重大事。ひとつのシーズンの大詰めが迫ってきていることを意味します。すなわち、年末のボートレースグランプリ、ならびにクイーンズクライマックスに向けた戦いです。
一般的にも有名なように、ボートレースグランプリの優勝賞金は1億円という超ド級にビッグな代物であり、ボートレーサーにとっては最上級の栄誉です。しかしながら、このグランプリ本戦に出るためには、賞金ランキングで第18位以内に入らねばなりません。
そして、そのグランプリへ向けた最終切符をかけた最後にして最高の戦いの場として、今回のSG競走、チャレンジカップは設けられています。女子の最高峰を決めるクイーンズクライマックスについても同様であり、レディースチャレンジカップが併催される形です。
当記事で、今年、2021年のチャレンジカップとレディースチャレンジカップの魅力と見どころを存分に味わっていってください。晩秋の野心に満ちた決戦を、じっくり見届けていきましょう。
目次
- チャレンジカップはボートレースグランプリへの最終切符を賭けた戦い!
- 出場できるのは当年の1月1日から10月31日までの賞金ランキング上位選手のみ
- 激戦必至のチャレンジカップの歴史を振り返る
- レディースチャレンジカップもまたクイーンズクライマックスへの最後の道
- チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)およびレディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の注意点
- [重要]ふたつのチャレンジカップの開催中は入場許可証がないと入れません
- チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)に出場する選手の獲得賞金ベスト3は間違いなく強い!
- チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第1位/峰竜太
- チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第2位/平本真之
- チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第3位/濱野谷憲吾
- レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)に出場する選手の獲得賞金ベスト3も注目!
- レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第1位/遠藤エミ
- レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第2位/平高奈菜
- レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第3位/守屋美穂
- 1年のボートレースにおける究極の「勝負駆け」を見逃すな!
チャレンジカップはボートレースグランプリへの最終切符を賭けた戦い!
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)とレディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)は、先に述べたとおりに年末の大一番を見据えた大レースです。もちろん、これらのレースそのものが至高の戦いであり、ほかのビッグタイトルと肩を並べられる存在です。
チャレンジカップの優勝賞金もまた、SG級たる3,300万円を誇ります。鍔迫り合いが続く賞金ランキング戦線において、とてつもなく重要な意味を持つのは言うまでもありません。
出場できるのは当年の1月1日から10月31日までの賞金ランキング上位選手のみ
どのSG競走も独自の出場選手の選出基準を持っていますが、チャレンジカップも例外ではありません。チャレンジカップには、ほかのSG競争にはある優先出走枠がなく、純粋に当年1月1日から10月31日までの賞金ランキング上位選手で決められます。
ただし、選出除外の規定は厳然として存在します。どんな選手が出場できないのかを見てみましょう。
● 前年のチャレンジカップから今年のボートレースダービーまでの優勝戦で選手責任のスタート事故を起こした選手
● 今年のグランドチャンピオンから今年のボートレースダービーまでの準優勝戦で選手責任のスタート事故を起こした選手
● 褒賞懲戒規程の出場停止処分を受けた選手
上記のとおり、ほかのビッグレースと同じように、ここ一番でフライングしてしまった選手はチャレンジカップに出ることができません。
激戦必至のチャレンジカップの歴史を振り返る
チャレンジカップが設立されたのは1998年。すなわち、できてから月日の経っていない、最も若いSG競走の称号を持っています。それでも、数多くの熱いレースが、毎年各地で繰り広げられてきました。
近年で目立つのは、リピーターの強さです。これは過去5年の結果だけでも明白です。
【過去5年のチャレンジカップ優勝選手】
2016年:石野 貴之
2017年:毒島 誠
2018年:馬場 貴也
2019年:石野 貴之
2020年:毒島 誠
このとおり、大阪の石野貴之選手と、群馬の毒島誠選手がV2を達成しています。さらには、今年も活躍を重ねている馬場貴也選手も優勝を果たしており、「チャレンジカップの勝利がボートレーサーとしてのキャリアを大いに勢いづかせる」事実がわかります。
舟券を購入する際には、そうした大局的な視野をもって予想に臨むと、思わぬ好配当を手にすることができるかもしれません。
レディースチャレンジカップもまたクイーンズクライマックスへの最後の道
同じように、レディースチャレンジカップも、年末の女子選手の祭典であるクイーンズクライマックスに向けて重要な一戦です。選出基準などは、チャレンジカップの女子レーサー限定版だと思えば、問題ありません。
こちらのレディースチャレンジカップはさらに歴史が若く、2014年に第1回が催されました。
【これまでのレディースチャレンジカップ優勝選手】
2014年:岸 恵子
2015年:寺田 千恵
2016年:遠藤 エミ
2017年:遠藤 エミ
2018年:守屋 美穂
2019年:遠藤 エミ
2020年:寺田 千恵
持ち回りの開催ながら、遠藤エミ選手がV3、寺田千恵選手がV2を達成しているのが光ります。今回も優勝経験者がその実力を発揮するのか。はたまた、この競走を勝てる力を持ったほかの有力選手が台頭するのか。実に楽しみな一戦になるでしょう。
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)およびレディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の注意点
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)およびレディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)、これら2つのビッグレースは、ぜひとも現地で観戦したいと考えている方もおられるでしょう。
しかしながら、その場合には気をつけなければいけません。新型コロナウイルス(COVID-19)の第5波はようやく遠ざかったものの、流行自体が終わったわけではないからです。
このため、大規模な人流が予測されるイベントの関係者は、感染拡大防止対策に力を入れています。公営競技もまた例外ではありません。SG競走ともなれば、多くの人出が予想されます。SG競走ともなれば、特にそうです。
よって、チャレンジカップとレディースチャレンジカップを主催するボートレース多摩川では、大規模な入場規制の施策が発表されました。次の項目で詳細をご覧ください。
[重要]ふたつのチャレンジカップの開催中は入場許可証がないと入れません
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)とレディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の開催期間中、ボートレース多摩川に入場するには入場許可証が必要になります。入場許可証は事前申し込みによる抽選で当選した方にだけ発送され、すでにこの事前応募期間と抽選、そして発送は終了しました。
よって、当日ボートレース多摩川に許可証なしで行った場合、たとえ当選していても入場することはできません。もし当選していたとしても、ご注意ください。
ただし、当選した東京都在住者は、同伴者を連れての入場が許されています。その対象になった人以外は本場へは入れません。
参考資料1:「基本的対策徹底期間(10/25以降)」における営業について – ボートレース多摩川
https://www.boatrace-tamagawa.com/modules/news/?news_id=000066
参考資料2:SG第24回チャレンジカップ/G2第8回レディースチャレンジカップ事前抽選による入場制限の実施ついて【応募は終了しました】 – ボートレース多摩川
https://www.boatrace-tamagawa.com/modules/news/?news_id=000051
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)に出場する選手の獲得賞金ベスト3は間違いなく強い!
今年のチャレンジカップに限らず、例年のチャレンジカップにおいて注目すべき選手がいます。それは、チャレンジカップに出場する選手の選出基準を考えれば、自ずとたどり着く答えといえるかもしれません。すなわち、10月31日終了段階での賞金ランキングの上位選手です。
ボートレースを含む公営競技の世界において、獲得賞金額は最も目に見えてわかりやすい実力のバロメータです。「稼げるやつは強い」「稼げるやつは上手い」「稼げるやつはノッている」という事実は、これ以上ない指針になるのは間違いありません。
そんな獲得賞金額で出場レーサーが選別されるチャレンジカップだからこそ、賞金レースで上位に君臨するベスト3は、この開催でもシリーズリーダーになる可能性を大いに秘めています。
というわけで、算定期間の終了時点での賞金ランキングのベスト3の選手について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第1位/峰竜太
2021年のチャレンジカップにおける選出順位第1位、すなわち賞金ランキングの第1位であり、令和のボートレース界にこの人ありという存在が、峰竜太選手です。昨年のボートレースグランプリの覇者は、今年も賞金ランキング1位でここまで駆け抜けてきました。
3月には、浜名湖賞2021(浜名湖競艇G1)での全艇フライングに絡むという思わぬ出来事もあり、「よもやよもや」の展開に誰もが驚きました。ですが、F1を抱えてもすばらしい走りを見せ、フライング休み明けはさらに堂々たる走りでファンを魅了し続けました。
今年は、5月のボートレースオールスター2021(若松競艇SG)で優勝。プレッシャーのかかる戦いを勝ち抜き、歓喜の涙をこぼしました。それでも、すばらしい走りで優勝を勝ち取る様は、まさしくトップオブトップのすごさといえるでしょう。
G1競走も、九州地区選手権2021(大村競艇G1)とびわこ大賞2021(びわこ競艇G1)の2つを勝利。ほかに一般戦で5つ、通算8つのVを重ね、さらにはビッグレースでコンスタントに良績を重ねたことで、賞金ランキング第1位の栄誉に輝いています。
ボートレースグランプリを見据えて、いよいよ迎えたボートレース多摩川でのチャレンジカップ。峰選手は多摩川水面には14節参戦し、6回の優出と2回の優勝歴があります。勝率は7.54と高い水準で安定。この数字だけでも、峰選手が優勝候補であることを証明するエビデンスになるでしょう。
前節のボートレースダービー2021(平和島競艇SG)でも優出を果たし、2021年11月14日現在は今年2回目の浜名湖賞に参戦しています。調子は良好。であれば、チャレンジカップでも間違いなく注目すべき存在です。
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第2位/平本真之
「好調」という天秤でもって今回の出場選手を計るのならば、平本真之選手は間違いなくピックアップされるレーサーでしょう。伸び盛りの37歳というだけの理由ではありません。前節のボートレースダービー2021(平和島競艇SG)の優勝選手、この輝ける栄誉が、平本選手を賞金ランキング第2位へと押し上げました。
今年の優勝は3回の平本真之選手。しかし、その内容が奮っています。先述のとおり、10月末にはボートレースダービー2021(平和島競艇SG)で5年ぶりのSG制覇を達成し、愛知にその人ありと知らしめました。
ですが、今年は5月にもオールジャパン竹島特別2021(蒲郡競艇G1)で地元周年制覇も達成していました。G1もまた2015年のトコタンキング決定戦2015(常滑競艇G1)以来ということもあって、長いトンネルをようやく抜けた心地。そこにSG制覇という大きな勲章が加わった形といえます。
今回、多摩川への遠征となる平本選手。ここが少し不安点かもしれません。全24場のうち、多摩川にはワーストタイとなる9節しか参戦したことがないためです。成績も最も悪いデータとなっており、そこだけを見れば、不安が残ります。
ただ、裏を返せば、好調期の今は過去の少ないデータを覆せる機会到来ともいえます。すでにほかのレース場では勝率7点台をマークしているように、SGウィナーの実力を数字でも示しているわけですから、今なら「日本一の静水面」たる多摩川も攻略できる、という目も十分に考えられるでしょう。
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)の選出順位第3位/濱野谷憲吾
「東都のエースは、2021年によみがえった」
ほかの記事でもお伝えしたとおり、濱野谷憲吾選手は今年2021年、14年ぶりにSG競走制覇を果たしました。7月のオーシャンカップ2021(芦屋競艇SG)でのことです。「艇王」植木通彦選手のコンマ01フライングに絡んだ「恵まれSG優勝」から長い時を経て、ついにファン待望の瞬間がやってきました。
今年はまた、濱野谷憲吾選手にとっては2年半ぶりのG1制覇を達成した年でもありました。4月の大村、ダイヤモンドカップ2021(大村競艇G1)でのことです。「今年は何か違うぞ」と予感を抱かせるには十分な出来事だったかもしれません。
そして、その予感は現実のものとなり、ボートレースがボートレースの通称を採用する前、「競艇」だったころのファンも含めて、大いに感動を堪能することになりました。
その勢いは止まることなく、濱野谷憲吾選手は多くの競走で優出を含めた活躍を続け、賞金ランキング第3位でチャレンジカップを迎えることになりました。1億円を稼ぐというのはまさしくトップレーサーの証です。濱野谷選手は、再びこの高みへと帰ってきました。
さらなる追い風として、多摩川は濱野谷憲吾選手にとっての地元水面です。勝率7.72というとてつもない数字を見れば、いかにこのコースを熟知しているかがわかります。72節戦って、40回の優出、14回の優勝。この14回の優勝には、2回のG1競走を含んでいます。
このように考えると、チャレンジカップという偉大なタイトルを制覇し、いよいよ年末へ向けて全速力で駆け抜ける……こんなシナリオが実行されたとしても、不思議ではありません。そんな筋書きを現実のものにできるくらい、今年の濱野谷憲吾選手はいつも以上に輝いています。
レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)に出場する選手の獲得賞金ベスト3も注目!
チャレンジカップと同時かつ同地で開催されるのが、女子選手限定のレディースチャレンジカップです。2021年のボートレースを真に締めくくるクイーンズクライマックス2021(福岡競艇PG1)への切符をかけ、女子選手内での賞金ランキング上位の選手たちによる、ハイレベルなバトルが繰り広げられます。
すなわち、チャレンジカップと同様に、レディースチャレンジカップもまた女子選手の賞金ランキング上位3名がシリーズリーダー候補として考えられるでしょう。彼女たちは年末の主演女優候補であるとともに、このレディースチャレンジカップの優勝の誉れに限りなく近い存在です。
レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第1位/遠藤エミ
レディースチャレンジカップでV3。紛れもなく至高の優勝候補の遠藤エミ選手が、賞金ランキングでも第1位として、この戦いを迎えることになりました。2021年は6つもの優勝を積み重ねただけでなく、そのうち1つにはレディースチャンピオン2021(浜名湖競艇PG1)が含まれており、最強女王の称号を勝ち取るために猛進中といったところでしょう。
しかも、ここまでの賞金は女子戦のみならず、男女混合のビッグレースでも好走することで勝ち取ってきました。前節のボートレースダービー2021(平和島競艇SG)でも、全ボートレーサーのトップクラスのなかで2勝を挙げて存在感をアピール。3節前のびわこ大賞2021(びわこ競艇G1)でも同じく2勝し、勝負強さをこれでもかと発揮しています。
かくて迎える多摩川での戦い。関東のボートレース場ではベストに入るほど得意としている水面であり、これも遠藤選手には追い風になるでしょう。最高の形で年末を迎えるためにも、「V4」の頂を目指して滑走を続けます。
レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第2位/平高奈菜
ツイッターアカウントの自称が「サイボーグ」。そんなユニークな平高奈菜選手は、2021年の今年、キャリアハイの年間6つの優勝を叩き出しました。いずれも女子戦とはいえ、非常に優秀な成績です。
しかも、優勝こそ女子戦に集中していますが、男女混合のビッグレースでも大活躍を見せており、それが彼女をハイレベルな争いの上位へと引き上げました。男子に勝るとも劣らないとはまさしくこのこと。「サイボーグナナ」の進撃は止まりません。
そんな平高奈菜選手にとって、多摩川はさほど馴染み深い水面ではありません。それでも勝率6点台をキープしており、総合力の高さが反映されています。
昨年のクイーンズクライマックスの優勝選手は、まさしくこの平高奈菜選手でした。再び年末に輝く最高の喜びを手にするために、登竜門たるレディースチャレンジカップは勝ち取りたいタイトルといえるでしょう。
レディースチャレンジカップ2021(多摩川競艇G2)の選出順位第3位/守屋美穂
守屋美穂選手ほど「果敢な攻め」という言葉が似合う女子レーサーも、そういないのではないでしょうか。同時に、「なぜかまだG1タイトルを獲得できていない」という不思議な超一流の存在でもあります。
今年はキャリアハイの年間6つの優勝を飾りました。男女混合戦も含まれていますし、さらには津モーターボート大賞2021(津競艇G2)のようなタイトルでも優出を果たし、全ボートレーサーのなかでも上位であるという証明を果たしました。
そんな守屋選手だからこそ、年末のプレミアムG1であるクイーンズクライマックスのタイトルはぜひともほしく、同時にそこへ至る最良の道であるレディースチャレンジカップは勝ち取りたい冠であるといえます。
不思議なことに、多摩川は全24場で最も勝率が低いコース。ビッグタイトルが多く開かれるため、必然的に勝利を得るのが遠くなっているという事情もあるかもしれません。それでも、前例を覆してこその女王戴冠への道のりです。その技術が、晩秋の多摩川で冴え渡ります。
1年のボートレースにおける究極の「勝負駆け」を見逃すな!
1つの開催における予選通過の突破を賭けた勝負駆け。半期に一度の級別審査で、A1級やA2級を確保できるかの勝負駆け。いろいろな勝負駆けがボートレースにはありますが、チャレンジカップとはまさしく勝負駆けの究極点たる開催です。
日本一の静水面で、日本一の勝負駆けが行われるチャレンジカップとレディースチャレンジカップ。この勝負こそ、2021年の頂点へ上り詰めるためのスタートダッシュを決める戦いであるとともに、当然にひとつの大きなマラソンレースのフィナーレを飾る開催であもります。
ぜひともこの開催が無事に終わるように願いつつ、その卓抜した技術とプライドのぶつかり合いを目撃しましょう。
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