2022年のボートレースも、いよいよ最初の山場を迎えました。SG競走「ボートレースクラシック」の開幕です。本年度初めての最高峰のビッグタイトルは、間違いなく火花散る熱戦をファンに届けてくれることでしょう。
舞台は長崎県大村市にあるボートレース大村。競艇発祥の地の「発祥地ナイター」において、2022年3月16日(水)から3月21日(祝・月)までの日程で、雌雄を決する戦いが始まります。
当地でのボートレースクラシック開催は史上初。しかも、本年(2022年)末にはボートレースグランプリも同じくナイターにて開催されることが決まっており、「競艇はボートレースに進化し、始まりの地へ帰ってきた」という特別な意味合いを持つ年となりました。
しかし、今回のボートレースクラシック。そのゆくえを占うのは、決して簡単ではなさそうです。波乱必至のその理由も含め、ボートレースクラシックとは何なのか、どういった目玉選手がいるのかといった気になる情報まで、当記事にはすべてを詰め込みました。ボートレースクラシック2022(大村競艇SG)の最初から最後までの楽しみを何倍にもする内容を、ぜひともお楽しみください。
目次
- ボートレースクラシックとは「総理大臣杯」のこと
- 過去のボートレースクラシック(鳳凰賞・総理大臣杯)の名勝負
- 2022年のボートレースクラシックは大変なことに!?
- まさかまさかの峰竜太選手のスキャンダルからの不出場
- 2022年のボートレースクラシックは初の大村開催!
- ボートレース大村の水面の特徴は「イン最強」
- 2022年のボートレースクラシックのドリーム戦メンバー6名を紹介!
- 1号艇:原田幸哉(3779/長崎)
- 2号艇:前本泰和(3573/広島)
- 3号艇:濱野谷憲吾(3590/東京)
- 4号艇:新田雄史(4344/三重)
- 5号艇:平本真之(4337/愛知)
- 6号艇:辻栄蔵(3719/広島)
- 2022年のボートレースクラシックの注意事項
- 2022年最初のSG競走を楽しもう!
ボートレースクラシックとは「総理大臣杯」のこと
「ボートレースクラシック」という名称は、2014年から採用されました。これは「競艇」がよりモダンな「ボートレース」として愛されることを目指した点に端を発しており、競艇のオールドファンほど「クラシックってなんだ?」と首を傾げることでしょう。
ボートレースクラシックの正式名称は「鳳凰賞競走」といいます。より親しみ深い呼び名として、「総理大臣杯」ともいいますね。そうです。数々の名勝負を生んだ伝統と歴史のSG競走です。
過去のボートレースクラシック(鳳凰賞・総理大臣杯)の名勝負
総理大臣杯における名勝負を1つだけ選ぶのは、あまりにも残酷な作業です。それほどに、記録にも記憶にも残るレースが繰り広げられました。
それでも、近年の中から、ただひとつだけをご紹介しましょう。2010年(平成22年)、平和島競艇場にて催された総理大臣杯の優勝戦は、2号艇の山口剛選手、1号艇の岡崎恭裕選手、4号艇の濱野谷憲吾選手による三つ巴の大熱戦となりました。
すさまじい激闘を制したのは、広島の山口剛選手。これが27歳の若武者による、悲願のSG競走初Vでした。2014年には期別勝率第1位を記録することにもなる山口選手にとって、最高のピットアウトから最高のレース運びへつないだ、あらゆる面でのベストレースといえるでしょう。
2022年のボートレースクラシックは大変なことに!?
2022年もすばらしいメンバーによる、注目のシリーズになるであろうボートレースクラシック。しかし、その出場選手一覧に、ある超有名選手の名前がありません。
地上波テレビの人気番組『相席食堂』にも出演を果たし、今や一般の人たちにも名前を知られることになった、佐賀の峰竜太選手です。かつては同姓同名のタレントの峰竜太さんに知名度で劣っていたかもしれませんが、今や「峰竜太は2人いる」ということが浸透してきていたところでした。
まさかまさかの峰竜太選手のスキャンダルからの不出場
峰竜太選手は、2022年のボートレースクラシックに出場しません。それどころか、来年2023年の夏のSG、ボートレースメモリアルまで、SG競走への出走が禁止となりました。
これは峰竜太選手が主催したゲーム大会において、有料での舟券予想を行っている人物との接触、ならびに協賛という形での金銭の授受があったためと発表されています。
2021年のボートレースグランプリ優勝戦で、自身を含む4艇競走中止、41億円の史上最大の返還騒動を巻き起こした峰竜太選手。いよいよ結果で見返すときが来たと思いきや、インターネットに親しんでいたからこそのスキャンダルを引き起こしてしまいました。
「信用失墜行為」は、ボートレース競走会ならびにボートレース選手会が何よりも忌避するものです。峰竜太選手はトップレーサーであり、ファンサービスも欠かさない存在であったからこそ、脇が甘くなってしまった点は否めません。
4ヶ月の出場停止、さらには来年夏までのSG開催出走停止がボートレース競走会から処分としてくだされましたが、ボートレース選手会から追加の処分が行われる可能性もあります。峰選手本人の反省がどこまで届くのか。「余罪」はあるのか。スキャンダルは2022年3月中旬現在も進行中です。
2022年のボートレースクラシックは初の大村開催!
2022年のボートレースクラシックは、「鳳凰賞」ならびに「総理大臣杯」の時代から通じて、初めてボートレース大村で開催されます。
地方都市のひとつである長崎県大村市は、いわゆる都市型競艇場が立地する他場に比べ、決して交通の便が良いわけではありません。しかしながら、競艇発祥の地であるという伝統に加え、ナイター設備ほかを増設したことで充実度は急上昇しています。
何より、このコロナ禍の中にあってもレースがリアルタイムで楽しめる高速インターネット回線網の普及、ならびにインターネット投票システムの認知度の向上が、当地での開催を可能にしたといえるでしょう。
ボートレース大村の水面の特徴は「イン最強」
ボートレースクラシックについて、節間を通じて安定した予想をはじき出すためには、何はなくとも大村水面の特徴を把握しておかなければなりません。
しかし、少しでもボートレース、ならびに競艇をかじったことがある方なら、「大村がどのような水面か」と問われて、共通した答えを返せるでしょう。すなわち、「インが絶対的に強い水面」という特徴です。
ただし、大村水面はこれに加えて2つの特性を備えています。「2マーク付近でうねりが起きやすい」「満潮干潮の差異が大きいためにスタートタイミングが取りづらい」というものです。
いくらインが強い大村といえど、スタートで大きく失敗すれば、インの有利を活かせません。また、積極的すぎる若手選手は2マークで振り込んだり外に流れたりして、ベテラン選手の技術が光る差し込みにしてやられることでしょう。
SG競走ともなれば大きな逆転は起きづらいですが、それでも「意外と簡単な水面ではない大村」という側面に注目し、展示航走では特に出足と回り足があっているかを注目することで、おいしい舟券の的中につなげることも可能です。
チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)に出場する選手の獲得賞金ベスト3は間違いなく強2022年のボートレースクラシックのドリーム戦メンバー6名を紹介!
2022年のボートレースクラシックを初日から大いに彩るのが、最終レースに組まれたドリーム戦です。最高グレードのSG競走の中でも、特に主催者が「人気と実力を兼ね備えたスタープレイヤー」として認めた6人のレーサーが、夜の大村水面のシリーズリーダーの座をかけて争います。
1号艇:原田幸哉(3779/長崎)
2号艇:前本泰和(3573/広島)
3号艇:濱野谷憲吾(3590/東京)
4号艇:新田雄史(4344/三重)
5号艇:平本真之(4337/愛知)
6号艇:辻栄蔵(3719/広島)
2022年3月16日(水)、今年のボートレースクラシックの夢の1戦は、上記の6名の選手によって行われます。昨年12年ぶりのSG制覇を果たした地元期待の星、原田幸哉選手が1号艇に組まれました。
また、同じく昨年久々にSGを制覇したつながりでは、3号艇の濱野谷憲吾選手は14年ぶり、6号艇の辻栄蔵選手は16年ぶりの栄誉を勝ち取りました。そうした「技術の成熟とともに再び全盛期を迎えた」レーサーたちが一同に会したという意味でも、今回のドリーム戦の見どころを作り上げています。
しかも、2号艇の前本泰和選手も昨年は8年ぶりのSG制覇、4号艇の新田雄史選手は4年ぶり、5号艇の平本真之選手は5年ぶりでした。2021年のSGを制した選手だけで組まれたビッグマッチ。今開催の鍵を握るであろう6名の選手にフォーカスを当て、今節の彼らの活躍を占っていきましょう。
1号艇:原田幸哉(3779/長崎)
大村水面では61節走って、積み上げた勝率は8.13。優出35回に優勝13回はずば抜けた数字というほかありません。得意中の得意水面で迎えるこのSG競走、ドリーム戦を1号艇1コースから逃げ切り、一気にこのシリーズを駆け抜けたいところでしょう。
もちろん、ファンもそれを望んでいます。原田幸哉選手はその安定感のみならず、イン艇を捉えるまくり差しにも定評があるレーサーです。ドリーム戦以外においても、勝手知ったる水面で質の高い競走をしてくれることでしょう。
そんな原田選手の2021年は、まさしく「無双」の年になりました。「ボートレースメモリアル2021(蒲郡競艇SG)」を始めとして、出場条件を満たしたばかりの名人戦「マスターズチャンピオン2021(下関競艇PG1)」を制し、さらには「徳山クラウン争奪戦2021(徳山競艇G1)」も勝ち取っています。
2019年から2021年まで、原田選手は連続で大レースを制しています。であれば、今年はこのボートレースクラシックから快進撃が始まるという予想も、十分に根拠をもって語れるのではないでしょうか。
2号艇:前本泰和(3573/広島)
強いのに、勝てない。勝率は高いのに、グレードレースであと一歩が届かない。広島の前本泰和選手はそう言われ続け、しかし、ついに2021年に久々の栄冠を手にしました。「グランドチャンピオン2021(児島競艇SG)」での快走は、全国のファンを熱くしてくれるものでした。
前本選手はその勢いもあって、地元の周年競走である「宮島チャンピオンカップ2021(宮島競艇G1)」も制覇。一般戦7つを含め、2021年はV9もの「勝ちまくり」を実現しました。この安定感こそが前本選手の真骨頂です。
2022年も滑り出しは快調。2月には「大和ごせ開設8周年記念トランスワードトロフィー(住之江競艇一般)」を制し、大舞台への気配は良好です。
大村水面でもその力は健在で、これまで28節参戦し、19回の優出と3回の優勝という記録を残しています。全24場制覇選手の誇りを胸に、このドリーム戦は2号艇から。野心の荒ぶる競走に期待が高まります。
3号艇:濱野谷憲吾(3590/東京)
東京の濱野谷憲吾選手が、ドリーム戦の3号艇です。15年前、「艇王」植木通彦選手がコンマ01のフライングで散ったとき、この「総理大臣杯」を恵まれで制したのが濱野谷選手でした。
そして、先の項目で示したとおり、2010年の総理大臣杯の優勝戦では1周目1マークで見事な差しからトップに立ったものの、1周目2マークで懐を捉えられて後退。3着に敗れる結果となっています。
それから14年経ち、2021年7月。「東都のエース」こと濱野谷憲吾選手は「オーシャンカップ2021(芦屋競艇SG)」を制し、14年ぶりの歓喜を味わいました。舟券の的中不的中に関係なく、限られた人だけが入場できた現地から、さらにインターネットを通じて全国から、温かい祝福の声が飛びました。
漫画『モンキーターン』の主人公、波多野憲二のモデルにもなった名選手は健在なり。それを示した2021年から、連続でのSG制覇を目指す2022年へ。衰えどころか成熟へ向けて突き進む濱野谷憲吾選手の戦いが、ここから始まります。
4号艇:新田雄史(4344/三重)
それはまるで、4年前の再現のようでした。三重の新田雄史選手が成し遂げた「ボートレースグランプリシリーズ2017(住之江競艇SG)」以来のSG制覇は、同じ舞台となる「ボートレースグランプリシリーズ2021(住之江競艇SG)」だったのです。
ただ、イン逃げを決めた2017年と違い、2021年はアクシデント含みもあったとはいえ、3号艇3コースからの鮮やかなまくり差しでした。
現代のボートレースにおいて、優勝戦で1コース以外から逆転優勝を飾るのは至難の業です。しかし、新田雄史選手はチャンスを逃しませんでした。その姿勢は2022年も健在であり、2月には「中日スポーツ賞 第42回龍神杯(蒲郡競艇一般)」にて2号艇2コースからの差しによる逆転優勝を達成しています。
その意味において、新田選手は逆境に強い選手といえるかもしれません。実際のところ、ドリーム戦メンバーのなかでは大村の当地成績が目立って良いわけではありませんが、この勝負強さを持ってすれば、十分に「ファンの支持率を逆転」させることも可能でしょう。
あるいは、その先には「ドリーム戦万舟券」というどでかい贈り物が待っているやもしれません。
5号艇:平本真之(4337/愛知)
愛知支部において、日に日にその存在感は増すばかり。ダッシュ戦でも強いところを見せられるのが、平本真之選手の良いところです。2021年は地元周年である「オールジャパン竹島特別2021(蒲郡競艇G1)」を制し、まさしくノリにノッていました。
それにしても、一気に「ボートレースダービー2021(平和島競艇SG)」まで平らげたことは、平本選手が紛れもない超一流に進化した証といえるでしょう。平和島水面での成績は関東のなかでは悪くないほうだったとはいえ、せいぜい勝率6点台後半に入るくらいに留まっていたわけですから、実に驚きです。
つまり、それだけ平本選手は成長し続けており、それは今回のボートレースクラシックでも変わらないと結論付けられます。大村での勝率は平和島より良いものの、13節参戦して1回の優出と優勝のみの実績は、そこまで目立つものではありません。そして、こんな統計を吹き飛ばすチャンスが再度巡ってきた、とも言えるでしょう。
6号艇:辻栄蔵(3719/広島)
ツイッターアカウントの自称が「サイボーグ」。そんなユニークな平高奈菜選手は、2021年の今年、キ
夢は終わらない。一流はあきらめない。そんな事実を感じさせてくれたのが、広島の辻栄蔵選手です。年末のボートレースグランプリへ向けた最終便、「チャレンジカップ2021(多摩川競艇SG)」を制したことは、大きな驚きをもって迎えられました。
辻栄蔵選手は、偉大なレーサーです。なぜなら、16年前のSG制覇とは「賞金王決定戦2005(住之江競艇SG)」、そう、ボートレースグランプリだったのですから。それから干支一回り以上に長く険しい旅路を経て、SGの輝きが舞い戻ってきました。
年明け早々に「第48回日刊スポーツ栄光楯広島ダービー(宮島競艇一般)」で優勝し、今年もビッグレースを取る気配に満ちています。6号艇からでも「何かをできる」のが一流の証拠。辻選手が大きな仕事をやってのけるのか。ドリーム戦は要注目です。
2022年のボートレースクラシックの注意事項
ボートレースクラシック2022(大村競艇SG)において、注意しなければならないことがあります。それは、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、入場規制が実施されるということです。
SG競走ともなれば、できれば現地で観戦したいという方も多いでしょう。しかし、今は我慢のとき。できる限りの人流抑制が求められていることから、ボートレース大村も来場者の資格に制限を設けました。
- 初日から4日目は場内の滞留人数が2,000人を超えた場合、入場規制を実施する。
- 5日目と最終日は事前抽選の当選者のみが入場できる。
- いずれもマスク着用の義務など、感染拡大防止対策に協力する必要がある。
- 長崎県在住者を除き、「まん延防止等重点措置」が発令されていない地域に在住している。
- 入場時には居住地がわかる身分証明証の提示が必須。
このようになっています。また、事前抽選は2022年3月上旬現在、すでに終了しました。万一にも陽性者を出すわけにはいかないため、主催者としても苦渋の決断だったといえるでしょう。
なお、上記のとおりに「まん防」が発令されている地域からの来訪者は、入場することができません。ボートレースクラシックの開催期間中、「まん延防止等重点措置」の効力が継続する地域は以下のとおりです。
【まん延防止等重点措置発出地域】
[北海道・東北]
● 北海道
● 青森県
[関東]
● 茨城県
● 栃木県
● 群馬県
● 埼玉県
● 東京都
● 千葉県
● 神奈川県
[中部・東海]
● 石川県
● 静岡県
● 岐阜県
● 愛知県
[近畿]
● 京都府
● 大阪府
● 兵庫県
[中国]
無し
[四国]
● 香川県
[九州]
● 熊本県
2022年最初のSG競走を楽しもう!
2021年のボートレースは、バブル期の1991年を超え、史上最高の売上額を達成しました。これは主催者とファンが一体になったコンテンツ作りを進めたことで、競艇、そしてボートレースがその魅力を最大化させた結果といえるでしょう。
決して良い話題ばかりではありませんが、同時に悪い話題ばかりでもありません。2022年も、選手たちは命がけで走ります。その熱い戦いに人は夢を見て、時として舟券を通じて願いを託すのです。
ボートレースクラシック。総理大臣杯をかけた戦いが、令和4年の長崎県大村市にて始まります。6日間の開催が何物にも邪魔されることなく無事に終わることを、心より願いましょう。
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