【歴史的快挙】遠藤エミが決めた!2022年のボートレースクラシック回顧

2022年最初のSG開催となった、「ボートレースクラシック2022(大村競艇SG)」。競艇発祥の地たるボートレース大村で、令和を代表するボートレーサーたちが火花を散らしました。

実は、大村でボートレースクラシックが開催されるのは、「鳳凰賞競走(総理大臣杯)」時代から通じて初めてのこと。これもインターネット高速回線の普及、ひいてはインターネット投票の認知度向上が貢献した結果といえるでしょう。

事実、大村はネット投票でも極めて人気のボートレース場であり、立地的には地方都市の一角にある施設ながら、大きな売上を叩き出すことで有名な水面です。

そして、この人気が高まる大村の「発祥地ナイター」において、競艇およびボートレース70年の歴史のなかで「史上初」を冠するべき結末がもたらされます。女子選手によるSG競走制覇。すばらしきその出来事の詳細を余すところなく回顧するとともに、年末のボートレースグランプリの展望も実践していきましょう。

目次


優勝戦1号艇1コース遠藤エミ!堂々たる逃げ切り!

誰もが息を呑む瞬間でした。迎えたSG競走、ボートレースクラシックの優勝戦。女子選手として史上3人目、かつ4度目のSG優出は、なんと1号艇で迎えることになりました。

しかし、かつて寺田千恵選手がそうだったように、1号艇でも最終局面で敗れた事例がありました。言うまでもなく、優勝戦は誰もが勝負駆け。「緊張」という単語すらも陳腐化するほどの究極の重圧が、6人の選ばれし勇者たちに襲いかかります。

冷たい雨の降りしきる長崎県大村市のボートレース大村。発祥地ナイターの最終レースは20時も半ばを過ぎたあとの発走。インが絶対的に有利な大村とはいえ、ほかのメンバーも超強力で、何より3号艇の毒島誠選手は屈指の「ナイター巧者」「夜王」として知られていました。

ですが、遠藤エミ選手はやり遂げました。艇番どおりの進入から、2号艇の秦英悟選手と3号艇の毒島誠選手がやり合って外に流れ、4号艇の上條暢嵩選手と5号艇の中島孝平選手が懐に飛び込んできても、遠藤選手のターンは決して動揺しませんでした。

全艇がコンマ05から07の「100分の2秒」にひしめく美しいスリットラインから、イン逃げを決めた遠藤エミ選手。彼女は競艇70年の歴史で初めて、女子選手によるSG競走制覇の快挙を達成したのです。


優勝戦はSG競走にふさわしい美しいスリットライン

SG優勝戦の重圧は、もちろん優勝が掛かった大一番だからであるのは間違いありません。数千万円クラスの優勝賞金が掛かった戦いです。それそのものの価値が比類なく高いことは、誰の目にも明らかでしょう。

しかし、SG優勝戦および準優勝戦には、もうひとつの顔があります。すなわち「選手責任のスタート事故へのペナルティがすさまじく重い」というものです。

スタート事故はフライングと出遅れが主に該当しますが、選手責任で起きる99%はフライングでしょう。コンマ01秒を争う世界。たった100分の1秒の勇み足が、天国と地獄を分けてしまいます。

SG準優勝戦でのフライングは、通常のフライング休み30日に加え、向こう半年のSG競走への出場停止につながります。また、累積でのフライング休みは「別腹」なので、もし当日までにF1やF2を抱えていれば、そこに60日や120日の完全な休みが加算されることになってしまいます。

そのうえ、SG優勝戦でのフライングは、1年間のSG競走への出場停止です。「なんということだ」と誰もが頭を抱える事態です。獲得賞金ランキングからの脱落は防げず、トップレーサーとて一気につらい状況に立たされることは必定。それほどにスタート事故というものは「レースを破壊する、してはならない行為」に位置づけられているわけです。

そして、そんな緊張感があるからこそ、SGという高みでの極限のコンマ01秒の駆け引きが、美しさを増すとも表現できるでしょう。

今年のボートレースクラシックは、その美しさの表現の最上級を達成しました。コンマ05秒から07秒に収まった、超一流選手たち6名による美麗なスリットラインは、その判定写真1枚だけでも「名勝負」を感じさせる風格です。


遠藤エミ選手はどんなレーサー?あらためて振り返るその強さ

2022年もすばらしいメンバーによる、注目のシリーズになるであろうボートレースクラシック。しか

女子選手として初めての「SGタイトルホルダー」の栄誉を勝ち取った、滋賀支部の遠藤エミ選手。名前は聞いたことがあるけれど、実は細かいプロフィールを知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

今、「女子は男子に勝るとも劣らず」を示したからこそ、あらためて遠藤エミ選手の細かなデータに触れていくことで、その魅力や強さを解き明かしていきましょう。

これは今後の女子レーサーの賞金ランキング争い、ひいては「史上初ボートレースグランプリ本戦への女子選手の参戦」が成し遂げられるかもしれない点からも、把握しておく価値のある情報です。


遠藤エミ選手はあらゆる面で女子選手トップクラス!

遠藤エミ選手は1988年2月19日生まれで、2022年3月現在は34歳の伸び盛りです。102期の同期には、前田将太選手や上野真之介選手や山田康二選手がいる世代になりますね。滋賀県生まれからの滋賀支部所属ということで、まさに生え抜きの逸材です。

2008年5月に地元びわこ水面でデビューし、同年9月にやはりびわこで初勝利。喜びの水神祭を迎えました。2017年12月には「クイーンズクライマックス2017(大村競艇PG1)」でG1格の初優勝。

大村ではこの前年に「レディースチャレンジカップ2016(大村競艇G2)」を制し、さらに今回の「ボートレースクラシック2022(大村競艇SG)」をも勝ち取ったことで、グレードレース総なめの非常に相性の良い水面になっています。

また、遠藤エミ選手は、先に挙げたレディースチャレンジカップで限りなく強さを発揮しています。2014年に創設され、2021年までに8回開催された同競走で、なんと半分に相当する4回の優勝を達成しているのです。開催場も大村、下関、桐生、多摩川と東西に渡っていて、「晩秋の女王」と呼ぶにふさわしい活躍ぶりでしょう。

こうした実績からもわかるとおり、遠藤エミ選手は総合力に優れたレーサーであり、「女子レーサー」という区分を超えて、超一流の存在であることがよくわかります。


22022年末のボートレースグランプリに女子選手として参戦できるかもしれない

かくて、偉業を達成した遠藤エミ選手は、もうひとつの「史上初」を手にできるチャンスが見えてきています。それが11月のチャレンジカップ終了時点で獲得賞金ランキング上位18名に入ることで与えられる栄誉、12月のボートレースグランプリへの出場権獲得です。

これまで、女子選手も上位60名のボートレースグランプリシリーズに出場することはありました。しかし、上位18名にはギリギリで入れず、悔しい思いをしてきました。

ところが、2022年3月21日現在。今年最初のSGを制した遠藤エミ選手は、なんとなんと、男子選手を含めた総合獲得賞金ランキングで第1位に堂々とランクイン。毒島誠選手や桐生順平選手といった至高の存在を抑え、「トップを航走」しています。

女子限定競走ではトップ中のトップである遠藤エミ選手ですから、今後例年と同様の賞金獲得ペースを続けたならば、ボートレースグランプリ本戦出場が十分に可能な計算です。しかも、今年、2022年のボートレースグランプリは、彼女にとってすばらしい思い出のつまったボートレース大村での開催です。

それに、遠藤選手ほどのポテンシャルともなれば、再びほかのSG競走で活躍し、さらなる賞金上積みも図れるでしょう。2022年末のボートレースグランプリは、あらゆる意味で歴史が大きく動く「賞金王決定戦競走」になるかもしれません。


2022年のボートレースは歴史が動く年になる!

万一、ボートレースクラシックを見逃したファンの方は、今が2022年で幸いです。インターネットに蓄積されたアーカイブで、いくらでも感動を追体験できるのですから。

ボートレースクラシックをしっかり目撃した方は、なお幸せです。これから毎月のように、新たな歴史の誕生を目撃するかもしれないのですから。

もしも、ツイッターで「歴史的快挙」のワードがトレンド入りしたことで、ボートレースに興味を持った方がいらっしゃったら、それは最高に幸運です。あなたがたは、これから最もエキサイティングな9ヶ月、そして、未来を手にできるのですから。

ボートレースクラシックは終わりました。しかし、SG競走はグランプリおよびグランプリシリーズを除いて、まだ6つ残されています。ボートレースオールスター、グランドチャンピオン、オーシャンカップ、ボートレースメモリアル、ボートレースダービー、チャレンジカップ。それぞれの最高峰で、それぞれの最良のバトルが繰り広げられるでしょう。

しかも、PG1競走やG1競走などから「成り上がり」を狙う選手たちも、虎視眈々と出世の機会を窺っています。いささか悲しいニュースがあった2022年のボートレース界は、一気に華やかなる「史上初」の乱舞する年になりました。さあ、楽しみましょう。春がやってきますよ。


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