ボートレースオールスター2022(宮島競艇SG)は、2022年5月24日(火)から5月29日(日)までの日程で開催されました。ボートレース宮島の昼間開催。最終日には中央競馬の日本ダービーもあり、舟に馬にと、充実の1日になったといえるでしょう。
ファン投票によって出場選手が選ばれる、まさに今回のキャッチフレーズどおりの「人気も実力も5つ星」な頂上バトルは、ぜひとも誰かに語りたくなる優勝戦をもって幕を閉じました。
また、その他のレースも見どころ満載。この記事では、今回開催のトピックについて、優勝戦メンバーを中心に振り返っていきます。
目次
- ボートレースオールスター2022(宮島競艇SG)は原田幸哉が優勝!
- 原田幸哉の真骨頂であるまくり差しが炸裂した優勝戦
- 史上4人目!平高奈菜が女子選手としてSG優出を果たす
- 悔しさにじむ白井英治は必ずや再び立ち上がる
- 實森美祐が水神祭!次々にSGで快挙の女子選手
- 2022年ボートレースグランプリはどうなる?最新ランキングをチェック!
- さらに熱を帯びていく2022年のボートレース!次なる舞台はグランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)だ
ボートレースオールスター2022(宮島競艇SG)は原田幸哉が優勝!
2022年のボートレースオールスター優勝戦は、山口の白井英治選手が1号艇を獲得しました。常に高い次元での競走を続ける「関門のホワイトシャーク」は、SG制覇の栄光から約4年遠ざかっています。
白井選手が2018年のグランドチャンピオン以来、久々のビッグタイトル制覇か。それとも他の選手が劇的な一撃を決めるのか。
宮島12Rは定刻通りの16時40分に締め切られ、SGファンファーレが高らかに鳴り響きます。選手もファンも大注目の優勝戦。制したのは、3号艇3コースの原田幸哉選手でした。
ボートレース(競艇)の歴史原田幸哉の真骨頂であるまくり差しが炸裂した優勝戦
6艇とも、スリットラインでは大きな差は生まれませんでした。ただ、その中でも内枠3艇、スロー勢の3人は攻めたスタート。1号艇の白井英治選手がコンマ10、2号艇の村松修二選手がコンマ12、そして3号艇の原田幸哉選手がコンマ09でトップスタートでした。
全員仕上がったエンジンです。舟足は互角で6艇が1マークへ。ここで2号艇2コースの村松修二選手のターンがやや甘くなり、わずかなスペースが生まれます。そこへ、原田選手の十八番とも言える超絶華麗なまくり差しが炸裂。
勝利への道が、開けました。
原田選手は白井選手の懐を完全に捉えます。1周目2マークまでサイドバイサイドのデッドヒートから、原田選手は冷静な立ち回りを見せ、白井選手を突き放しました。
原田幸哉選手にとって、昨年のボートレースメモリアル以来のSG制覇。通算5つ目のタイトル奪取です。ボートレースオールスターの栄冠は初めてで、「いちかばちかでハンドルを切って、まさかという感じ」と本人も驚きのコメントを残す逆転優勝でした。
優勝賞金は3,900万円。2連単の3-1は1,380円、3連単の3-1-5は5,840円と、万舟券決着ではありませんでした。6艇すべてが超一流。であればこそ、いかなる勝ち筋もありえることを、舟券を買うファンは理解していたといえます。
何より、原田選手は宮島での27節のうち、13回の優出と6回もの優勝を達成していました。かつては愛知支部所属、現在は長崎支部所属で、宮島は特にホーム水面というわけでもありません。
しかし、不思議と数字の面からも相性の良いこの水面で、至高の技を見せつけてくれました。
史上4人目!平高奈菜が女子選手としてSG優出を果たす
見どころに満ちた2022年ボートレースオールスターの優勝戦ですが、特に注目したい点がほかにもありました。それが、6号艇に入った平高奈菜選手です。
そう、3月のボートレースクラシックに続き、このボートレースオールスターでも、女子選手がSGの優勝戦に駒を進めることに成功しました。
予選17位通過で、準優勝戦にはギリギリの出場となった平高選手。同じく女子選手で、予選14位通過の實森美祐選手とともに、5日目の第11Rに6号艇で挑みます。もちろん、最外からの戦いですから、絶対的に不利なことに疑いの余地はありません。
ところが、誰もが驚きの一撃。平高奈菜選手は好モーターを良い形で仕上げ、伸び型のエンジンへと進化させていました。その性能を信じつつ、あとは人事を成すのみだったといえるでしょう。
この準優勝戦で、平高奈菜選手は6号艇6コースからコンマ02というとてつもない度胸のスタートを決めました。万が一にもSG準優勝戦でフライングを切れば、通常のフライング休みに加え、特別なペナルティがつきます。まさしく勝負師の大技と呼ぶにふさわしいスタートです。
しかし、5号艇5コースの實森美祐選手もコンマ05の勝負スタート。平高奈菜選手の大まくりはかなわず、實森選手にブロックされます。
万事休す。
そう思われた彼女に、幸運の女神がやってきました。好スタートの實森美祐選手がそのままインを絞ったものの、白井英治選手に上手く阻まれてしまいます。すると、平高選手が飛び込むことのできる空間が生まれました。
6号艇からの大逆転。平高選手は2号艇の大上卓人選手との2着争いさえも制し、不利な状況を覆しての2着を確保。女子選手史上4人目となるSG優勝戦への進出を果たしたのです。表彰台にこそ上れませんでしたが、今開催を大いに盛り上げてくれました。
悔しさにじむ白井英治は必ずや再び立ち上がる
勝者がいれば、敗者もいる。何らかの栄光の影には、何らかの挫折が必ず存在します。SG優勝戦の1号艇という最大級に有利な状況で2着に敗れる。この悔しさを味わった白井英治選手は、まさしく悔やんでも悔やみきれない思いに支配されていたことでしょう。
優勝戦の走りは、疑いなくすばらしい走りでした。それ以上に、原田幸哉選手が最高の技術によって優越していっただけなのです。
後から考えれば、浮かぶでしょう。ああしておくべきだった、こうしておくべきだった。
白井選手の気持ちには、収まりのつかない感情が渦巻いていることは間違いありません。3度目のSG制覇、ひいては4年ぶりのSG制覇が、指先から離れていく。筆舌に尽くしがたいものがあるはずです。
より悔しいことに、この1号艇は幸運でもたらされたものでした。5日目の第12R。予選1位通過だった磯部誠選手が4号艇の原田幸哉選手のまくりで5着に沈み、予選2位かつ11Rで1着の白井選手が1号艇を勝ち取ることになったのです。
しかし、原田幸哉選手の美技は、2日連続で内外の有利不利を覆しました。
それでも、走り続ける限り、道は常に開けています。レジェンドたる今村豊選手の薫陶を受けた白井英治選手だからこそ、再び立ち上がってくれるでしょう。ファンはそれを待っていますし、そこにこそドラマを見出しています。
實森美祐が水神祭!次々にSGで快挙の女子選手
節間には嬉しい話題もありました。予選14位通過で準優勝戦に進出することになる、地元広島の實森美祐選手。彼女は4日目の6Rで逃げ切り勝ちを収め、予選突破を確定させるとともに、SG開催での初勝利を達成しました。
「みんなが水神祭をしていたので、めちゃ焦っていて。尋常じゃない汗をかいて口もカラカラでした」
彼女もまた一流ながら、より高みを目指す者として、同期が出世していく姿に焦りを覚えていたようです。しかし、決して気後れする必要のない見事な走りを、實森美祐選手は6日間に渡って見せてくれました。
水神祭は救護艇から行われ、実に嬉しそうな表情。次は女子選手史上2人目のSG制覇、あるいは女子王座の戴冠という快挙をもって、水神祭を行いたいところでしょう。
なお、同じく予選を通過することになる香川の平高奈菜選手もスーパーマンの姿に扮し、實森選手とともに水面へとダイブしていました。この明るさもまた彼女が親しまれる理由のひとつでしょうし、實森選手との仲の良さが窺えます。
2022年ボートレースグランプリはどうなる?最新ランキングをチェック!
今年2つ目のSG競走が行われたことで、賞金ランキングには再び大きな変動が発生しました。
上位6人は「原田幸哉」「遠藤エミ」「馬場貴也」「白井英治」「毒島誠」「桐生順平」となっており、今回優勝の原田幸哉選手と準優勝の白井英治選手が大きく賞金を積み上げています。
ボートレースクラシックを制した遠藤エミ選手は依然として第2位につけていますが、これからフライング休みが待っているため、まだまだ予断を許さないといえるでしょう。
さらに、これから夏が訪れます。6月には「グランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)」、7月には「オーシャンカップ2022(尼崎競艇SG)」、8月には「ボートレースメモリアル2022(浜名湖競艇SG)」と、息つく暇もなくビッグタイトルが目白押しです。
もちろん、「レディースチャンピオン2022(丸亀競艇PG1)」がプレミアムG1として8月に開かれますし、「トコタンキング決定戦2022(常滑競艇G1)」や「太閤賞2022(住之江競艇G1)」などの周年競走も開かれるため、激しい戦いは各地でその熱を高めていきます。
ファンとしては、あらゆる楽しさが次々にやってきて、嬉しい悲鳴をあげることになるでしょう。
ともあれ、現時点のランキングにおいて言えることは、「原田幸哉選手が年末の『ボートレースグランプリ2022(大村競艇SG)』への出場を確定させた」ということです。
SGの賞金によるジャンプアップによって、選出除外要件に抵触しない限りは、地元大村での最終決戦に登場することになります。
さらに熱を帯びていく2022年のボートレース!次なる舞台はグランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)だ
1号艇は有利だが、必ずや1号艇が勝つとは限らない。
そんなボートレースの面白さを凝縮したような優勝戦によって、今年のボートレースオールスターは大団円を迎えました。結果に満足した選手、悔しさが残った選手、さまざまな思いが交錯しながら、次なる戦いへ向けた歩みが始まります。
次のSG開催は、グランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)です。ほかのSG競走で良い結果を残した選手だけが出場できる「SGのなかのSG」が、超一流の選手たちが集まるのを待っています。
天候や風の影響が出やすい唐津水面では、いったいどのようなドラマが繰り広げられるのでしょうか。それを楽しみにしている瞬間の積み重ねにもまた、ボートレースのうれしさが存分に詰まっているのです。
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