【劇的】2022年のオーシャンカップは椎名豊がSG初制覇!群馬支部の新星誕生!

2022年のオーシャンカップは、6日間の開催すべてが劇的な興奮に満ちていました。たった1日見逃しただけでも、深い後悔に襲われたでしょう。それはまた、今からでもVTRで追いかける価値のあるバトルの連続でした。

この記事では、オーシャンカップ2022(尼崎競艇SG)の結果をあらためて見直し、その名場面や出来事を振り返るとともに、年末のボートレースグランプリに向けた展望を行っていきます。

目次


椎名豊がエースモーターとともに駆け抜けた!チャンスは絶対に逃さない!

エースモーター。それがいかなるシリーズであっても、展開を左右するのは当然のことです。しかし、エースモーターが当たったところで、それを活かすだけの操縦技術がなければ話になりませんし、自分の戦い方にあった整備技術も当然に必要です。

今節、エースモーターと呼ぶにふさわしい2連対率40.28%の2号機を引き当てたのは、群馬の椎名豊選手でした。これまでG1で5回の優出があるものの、優勝経験はありません、まして、SGでは優出経験もなく、そもそもこれが3回目のSG出場だったほどです。

しかし、椎名選手は2021年に大きな飛躍を遂げた選手でもありました。全部で8つものシリーズで優勝し、特に「モーターボート誕生祭~マクール賞~2021(大村競艇G2)」と「三交マキシーカップ2021(津競艇G3)」の制覇は、大きな自信となったでしょう。

8回の優勝のうち、1号艇1コースからの逃げ切りは4回。残りは3号艇3コースからのまくり1回、差し1回、まくり差し1回、さらに6号艇6コースからの抜きによる優勝1回までありました。磨かれた技術は数字にも表れ、このオーシャンカップに臨戦した時点で、勝率は7.55ものハイアベレージに達していたほどです。

そして、彼はやり遂げました。予選1位通過からの、準優勝戦1号艇1コース逃げ切り勝ち。優勝戦もまた、1号艇1コースからの堂々たる逃げ切り。オール3連対でのSG制覇。熱いものが目にこみ上げる大業の完成でした。


オーシャンカップ優勝戦は「勇気の証明」だった

SGの優勝戦。それが極大の緊張を強いる舞台であることは、誰もがわかっています。たとえ誉れある1号艇を勝ち取ったとしても、それはあくまで他艇より有利なだけです。抜群のスタートを決め、完璧なターンをしなければ、たちまち優勝の栄光は他艇に奪われてしまうでしょう。

さらに、SGの優勝戦および準優勝戦でのスタート事故は、通常のフライング休みに加え、一定期間のグレードレースからの選出除外という重いペナルティが課せられます。究極の戦いの到達点だからこそ、最大のプレッシャーが掛かることは間違いありません。

ですが、2022年のオーシャンカップ、3つの準優勝戦で唯一1号艇で勝利した椎名豊選手は、決戦の場において最優秀と言っていい競走を見せました。

スリットラインはやや中凹み。3号艇3コースの丸岡正典選手が握り遅れ、アウト艇にやや有利な状況ができあがります。ただ、そのような中で、1号艇1コースの椎名豊選手はコンマ11のトップスタートを決め、外の選手が付け入る隙を与えませんでした。

そこから迎える1周目1マーク。地元兵庫の稲田浩二選手が2コースから差し迫るのを、最高のターンでかわして堂々の1番手航走。その優勝をおびやかすものは、もはや何もありませんでした。1988年9月16日生まれ、優勝戦時点で33歳の若武者は、偉大なSGタイトルホルダーの歴史に名を連ねることになったのです。


「オーシャンカップ2022(尼崎競艇SG)」激闘譜

今年も6日間の激闘が繰り広げられた、「海の日」を祝うSG競走オーシャンカップ。静水面の代表格であるボートレース尼崎での戦いは、その静かな水面に反し、非常に激しいバトルが幾度となく行われました。

波乱に次ぐ波乱は、SGという最高峰の戦いにおいてなお驚きを提供してくれます。今回のオーシャンカップで特にトピックとなるであろう名選手たちの輝きについて、いくつかピックアップしてみましょう。


稲田浩二のイナダッシュ健在!ドリーム戦は毒島誠の貫禄勝ち!

2022年、尼崎で始まったオーシャンカップは、初日から万舟券が飛び出す展開となりました。特にファンの心を熱くしたのは、第8Rの予選競走でしょう。

先にも述べたとおり、最終日には優勝戦まで突き進むことになる、地元兵庫の稲田浩二選手。彼はこの8Rで大外6コース進入ながら、コンマ07の攻めに攻めたスタートを披露。イン戦だった平高奈菜選手さえも食い破り、3連単500倍を超えるビッグな配当を提供しました。

その後、稲田選手は5日目の準優勝戦でも4号艇4コースからまくり差し1着を決め、万舟券決着に貢献。逆転の優勝戦2号艇ゲットからSG準優勝を果たしたわけですから、見事なものです。

また、戦前から注目だった12Rのドリーム戦は、1号艇1コースの毒島誠選手が貫禄勝ち。毒島選手は、その後もオール3連対で節間を駆け抜けて予選3位通過。

一方、準優勝戦は1号艇で登場しましたが、まさかまさかの4着敗退。今節の波乱の準優勝戦を体現する結果となってしまいました。


村上遼が歓喜の水神祭!瓜生正義の職人技の整備が光る!

今開催で最も華々しい結果を残したのは、もちろん優勝した椎名豊選手です。しかし、そのボートレーサー人生にひとつの輝きを刻んだという意味で、長崎の村上遼選手にも嬉しい出来事がありました。

1992年6月3日生まれ。開催時点で30歳、すなわち今年ルーキーシリーズを卒業したばかりの村上選手。今回が初めてのSG出場でしたが、2日目の第4Rに1号艇1コースから逃げ切り勝ちを収め、SG初勝利を達成しました。

もちろん、ここはSGの舞台。6号艇の菊地孝平選手が厳しい前付けで3コースまで進入。結果的に2コースの遠藤エミ選手ともども握り遅れ、壁がない状態での逃げを強いられただけに、よくぞ1着をもぎ取ったと褒めるべきレース内容です。

かくして、レース後にはほかの選手たちから祝福を受け、SG初勝利の水神祭が行われました。残念ながら、今節はこれが唯一の勝利となってしまいましたが、今後さらなる成長を果たし、さらなる勝利を積み重ねることを期待しましょう。

また、初日の稲田選手に負けてなるものかとばかりに、昨年のグランプリウィナー、瓜生正義選手も高いパフォーマンスを披露。なんと最終第12R、全員がSGタイトルホルダーという豪華メンバーの一戦において、6号艇6コースからのまくり差しという美麗な一撃を決め、3連単4万舟に貢献しました。

瓜生選手は「整備をして乗っている感じが、断然良くなった」とコメントしたように、整備技術は今や艇界でも随一の次元に達しています。もともと瓜生選手の62号機は2連対率41.54%の好モーターでしたが、その手によって、いよいよ神モーターに仕上がりました。

今後、ボートレース尼崎の62号機はぜひとも注目したい存在です。ほかの競走でも「買い」の場面が出てくるのは必至ですので、覚えておくことで好配当ゲットにつながるかもしれません。


徳増秀樹が痛恨のフライング!これもまたSGの怖さ

5日目、予選を通過した18名の俊英による準優勝戦が3つ行われました。しかし、このうち2つは1号艇1コースが敗れる波乱の決着。12Rの椎名豊選手だけが無事に逃げ切り勝ちを果たしたのは、先にも書いたとおりです。

特に悔しい結果となったのは、第11Rで3号艇3コース進入だった徳増秀樹選手でしょう。3コースながらスロー水域にはつけず、勝負の「3カド戦」を選択。ダッシュ勢のカド艇となって一撃を仕掛けました。

しかし、センター艇に強い徳増秀樹のこの「勝負駆け」は、コンマ02のフライングという結果を招いてしまいます。

レースは乱れに乱れ、4号艇4コースの稲田浩二選手がまくり差しで突き抜ける形になりました。徳増選手の返還があってなお、3連単4-2-6は11,600円という配当だったわけですから、誰もが「まさか1コースの瓜生は飛ぶまい」と思っていたことがわかります。

とはいえ、さすがにフライング艇にかぶせられては、名手であっても勝ちようがありません。徳増選手はこれで1ヶ月のフライング休みのみならず、今後4節のSG競走は選出除外になるうえ、フライング休み明けから3ヶ月間のG1およびG2競走には出場できません。

これがSG競走の持つ怖さ。一か八かの勝負で出た「つらい出目」がもたらす、恐ろしいペナルティといえるでしょう。


最新のボートレーサー賞金ランキング!ボートレースグランプリへの遠き旅路

2022年、ボートレーサーの獲得賞金ランキング。今回のオーシャンカップの結果を受けて、再び変動がありました。とりわけ、トライアル2ndのシード枠となるベスト6は、さらにその競争が激化しています。

第1位は、長崎の原田幸哉選手が約500万円の差で先行。ボートレースグランプリへの出場権自体は間違いないレベルですが、ベスト6に勝ち残るためにも、今後も質の高い競走が求められます。

第2位には滋賀の馬場貴也選手が上昇し、第3位にはボートレースクラシックで女子のSG競走初制覇を果たした、これも同じく滋賀の遠藤エミ選手。また、先日、「グランドチャンピオン2022(唐津競艇SG)」を勝ってベスト6入りした愛知の池田浩二選手が第4位で変わりません。

そして、今回オーシャンカップを制した椎名豊選手が大きくジャンプアップ。一気に第5位まで浮上しました。SGのビッグな賞金の威力がよくわかる急浮上です。

第6位以降は広島の山口剛選手、群馬の毒島誠選手、山口の白井英治選手、大阪の石野貴之選手、埼玉の桐生順平選手と、ベスト10まで続きます。SGの優勝戦は完走するだけでも大きな賞金がもらえるため、安定して優出する面々は上位に名前を載せ続けていますね。

昨年のボートレースグランプリ覇者である福岡の瓜生正義選手は、現在の獲得賞金額が39,420,000円で第18位。グランプリ本戦出場枠のボーダーライン上にいます。

● ボートレースメモリアル2022(浜名湖競艇SG)
● ボートレースダービー2022(常滑競艇SG)
● チャレンジカップ2022(鳴門競艇SG)

2022年、ボートレースグランプリまでの間に残るSGは上記の3つです。G1競走での活躍も重要ですが、やはりSGで躍動できるかどうかは、獲得賞金ランキング、ひいてはボートレースグランプリへの出場権に大きく影響します。

年末、ボートレース大村で行われる初の「発祥地グランプリ」へ向けて、いよいよその熱い競り合いが数字の面でも見えてきました。ぜひともどのレースでも事故がなく、皆が無事にその実力を発揮できることを願いましょう。


ますます熱さを増す2022年のボートレース!

その一瞬、コンマ01秒を争う戦い。ほんのわずかな差に笑う人あらば、泣く人もある。その勝利の喜びも、敗北の悔しさも、選手とファンとがそれぞれに分かち合うことができる。ボートレースのすばらしさは、この点にも大きく表れています。

オーシャンカップは、そうした「心のつながり」がよく見えるシリーズとなりました。次なるSG競走、ボートレース浜名湖で行われるボートレースメモリアルは、2022年8月23日(火)から8月28日(日)までを開催期間としています。

今、日本を含む世界において、新型コロナウイルス(COVID-19)の新たな変異株が猛威を振るいつつあります。流行病は、ボートレースのような興行にとっては天敵です。無事に開催できるよう、ファンと選手と主催者とが協力して、最高の時間をつくりあげていきましょう。

その先には、今この時代だからこそ実現できた、「競艇発祥の地」大村でのボートレースグランプリ、およびグランプリシリーズが待っています。最高の舞台へ向けて、夏の水面を無数の願いが駆け抜けます。

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