【劇的終幕】まさかの6号艇!?2022年のボートレースメモリアル回顧&グランプリ展望

2022年のボートレースメモリアルもまた、間違いなく記憶に残るであろう熱戦が繰り広げられました。それはまさしくファンの期待を超えるものであり、同時に予想し得ないような出来事までも巻き起こしました。

とりわけ、優勝戦が行われた最終日にはその熱気も最高潮に達し、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために事前抽選を行ったことは、歴史的瞬間を目撃するファンが限定されることは残念ではあったものの、英断だったと言えるでしょう。それほどに驚きと悲喜こもごもの飛び交う1日となりました。

この記事では、2022年のボートレースメモリアルにおける特筆すべきトピックを振り返りつつ、今回の結果を受けて変動した獲得賞金ランキングをもとに、年末の大村でのボートレースグランプリへの展望をしていきます。

目次


2022年のボートレースメモリアルは驚きに満ちた結末!

2022年、静岡県湖西市のボートレース浜名湖で行われたボートレースメモリアルは、無事に最終日までを駆け抜けることができました。そこにあったのは期待以上の熱戦の数々であるとともに、衝撃的な優勝戦をもって幕切れを迎えました。

SG競走。選手にとっては最高峰の舞台であり、ファンにとってもすべてが夢の対決となる究極の宴は、まさしく2022年の夏を締めくくる大祭になったと言えるでしょう。その最大のトピックは、やはり優勝戦の喜びと悲しみをもって語るほかにありません。


「ボートレースメモリアル2022(浜名湖競艇SG)」は片岡雅裕(香川/4459)が6号艇で優勝!

2022年のボートレースメモリアル。その準優勝戦はすべて1号艇のイン逃げで決着。したがって、優勝戦の1号艇に予選1位の菊地孝平選手、2号艇に予選2位の平本真之選手、3号艇に予選3位の新田雄史選手が入ることとなりました。

すなわち、予選での高いポテンシャルの競走もそのままに、モーターも見事に仕上げた三者がイン3艇を独占した形です。しかも、最内に入ったのが艇界随一のスタート巧者であり、さらにはこの浜名湖をホーム水面とする菊地孝平選手。

鉄板決着が濃厚と考えられる中、4号艇の白井英治選手、5号艇の山口剛選手、ならびに6号艇の片岡雅裕選手がどのように立ち回るかが注目されました。

しかし、そのスリットラインは意外すぎる結果に。SG優勝戦という失敗の許されない舞台でF1を抱えていたのもあってか、1号艇1コースの菊地選手はコンマ19と最も遅い通過。2号艇2コースの平本選手もコンマ13で2番目に遅い数字。

いずれも決して遅いスタートではなかったものの、ほかの4艇はさらに攻めました。そして、攻めすぎた艇が出てしまったのです。3号艇3コースの新田選手がコンマ01、4号艇4コースの白井選手がコンマ02のフライング。あまりにも久々となる、SG優勝戦でのフライング事案の発生です。

千載一遇の好機をものにしたのは、なんと最も不利な大外発進、6号艇6コースの片岡選手でした。3号艇と4号艇がインを包むように回る中、片岡選手にとって最高の攻めるコースが開きます。決まり手は「恵まれ」でも、その恵みを手にしたのは土壇場での度胸の為せる技でした。

1周目1マークで最内を突き抜けた片岡選手は、2マークでも先マイして独走。見事にSG初制覇の栄誉を手にしたのです。

大多数のファンが予想しなかったであろう、スリットラインの乱れ。その最大の原因は、レース直前で風が変わったことにあると考えられました。

それまで弱い西風が吹いていたところ、スタート展示後にホーム向かい風の南風、それも風速5mの強めの風になりました。セオリーどおりに、これは全速で仕掛ける艇に有利なコンディションですし、実際に1コースの菊地選手と2コースの平本選手は伸びを欠いたのです。

ですが、その有利を最大限に活かそうとしたからこそ、3コースの新田選手と4コースの白井選手は攻めすぎてしまいました。5号艇5コースの山口選手はコンマ03、6号艇6コースの片岡選手もコンマ05のスタートで、100分の数秒の誤差が大きく明暗を分けました。


ボートレースメモリアル2022(浜名湖競艇SG)優勝戦の舞台裏!誰もがここに懸けた理由

2022年のボートレースメモリアルの優勝戦はまた、多くの記録も生み出しました。優勝した片岡雅裕選手は香川支部の所属ですが、同支部の選手がSGで優勝するのは実に約9年ぶりの快挙です。前回の優勝は「チャレンジカップ2013(津競艇SG)」で、今なお第一線で活躍する森高一真選手のものでした。

さらに、四国地区には香川に加えて徳島支部がありますが、同地区の選手がボートレースメモリアル(モーターボート記念)を制するのは、なんと「モーターボート記念1997(若松競艇SG)」の安岐真人選手まで遡らねばなりません。

そして、新たなSGタイトルホルダーの誕生。今年は遠藤エミ選手、椎名豊選手とSG初制覇の選手が重なり、記念すべき年間3人目のSGウィナーが生まれました。

勝者はこのように華々しい記録が、メモリアルの名とともに思い出へと刻まれますが、無論、敗者にも多くのドラマがありました。そのうちの一部を見ていきましょう。


6冠Vを目指した菊地孝平!SGの怖さが見えた優勝戦のスリットライン

優勝戦で1号艇を獲得した菊地孝平選手。準優勝戦で1着を勝ち取ったのは先に書いたとおりですが、実は薄氷の勝利でもありました。というのも、一度は片岡雅裕選手のまくり差しが入り、並ぶところまで行ったのです。1周目2マークで差し返して1着を確保したことは、さすがにSGタイトルホルダーの面目躍如でした。

6年ぶりのSG制覇が、記念すべき地元SG制覇として、目の前までやってきていました。しかし、直前に吹いた向かい風。その中で狂ったスタート勘。あらゆる意味で、菊地選手はボートレースの恐ろしさを示してくれました。

しかし、その中でも挽回して3着まで来たのは、やはり卓抜した技術の持ち主であると言わざるを得ません。


グランプリへの勝負駆け!平本真之の戦いはまだ終わっていない

ボートレースメモリアルの優勝戦2号艇。愛知の平本真之選手は、「優勝だけを狙っていく」と怪気炎を上げていました。というのも、5日目に準優勝戦で見事に勝利したものの、ここが終了した時点で賞金ランキングは第36位。ボートレースグランプリ本戦に出場できるベスト18を狙うには、まさしく「勝負駆け」が必要な状態だったのです。

もちろん、ボートレースメモリアルでSG戦線が終わりなわけではありません。何しろ、10月には地元であるボートレース常滑でボートレースダービーが開催されます。ホーム水面で迎えるSGは、非常に有利な環境で戦いを運べるでしょう。

それでも、平本選手は「地元で賞金を考えながら焦るのは嫌なので、そこまでには余裕を持った状態で行きたいと、ここに来る前から気持ちを入れてきた」と語り、優勝戦にかける想いを語っていました。

ですが、頂点を目指す想いは、6名の選手誰もが同じ。展開が完全に平本選手にとっては向かなかったため、今回は4着となりましたが、優勝戦4着完走の賞金によって、賞金ランキングでは18位へとジャンプアップしています。ここからの正念場を勝ち抜くことができれば、見事に本戦への出場権を獲得できるでしょう。


2022年ボートレースメモリアル終了時点の獲得賞金ランキングは激変!

ボートレースメモリアルの開催によって、獲得賞金ランキングはいよいよ混戦の度合いを増してきました。ボートレースグランプリへ出場可能な18名に加え、ギリギリで当落線上に食らいついている2名を足した、ベスト20の状況を見てみましょう。

第1位:山口 剛(広島) 76,721,457円
第2位:原田 幸哉(長崎) 73,823,000円
第3位:片岡 雅裕(香川) 70,133,000円
第4位:馬場 貴也(滋賀) 68,180,000円
第5位:池田 浩二(愛知) 67,507,000円
第6位:遠藤 エミ(滋賀) 63,679,000円
第7位:菊地 孝平(静岡) 61,572,706円
第8位:椎名 豊(群馬) 61,530,133円
第9位:白井 英治(山口) 60,905,457円
第10位:毒島 誠(群馬) 58,821,000円
第11位:石野 貴之(大阪) 56,482,000円
第12位:桐生 順平(埼玉) 55,527,133円
第13位:丸野 一樹(滋賀) 52,290,000円
第14位:中島 孝平(福井) 48,856,000円
第15位:瓜生 正義(福岡) 46,584,000円
第16位:上平 真二(広島) 46,224,000円
第17位:上條 暢嵩(大阪) 45,138,000円
第18位:平本 真之(愛知) 45,030,000円
第19位:羽野 直也(福岡) 44,870,833円
第20位:磯部 誠(愛知) 44,464,000円

SG制覇を達成した選手は、おそらくボートレースグランプリ出場の権利を手中にしているでしょう。それでも、油断はできません。少しでも気を抜けば、野心を燃やすほかの選手によって追い抜かれる可能性は十分に残されています。

また、上位6名と上位18名とで、ボートレースグランプリにおける有利度も大きく変わることは、これまで何度も述べてきたとおりです。

ベスト6に入ることは、すなわちトライアル2ndから出場、および好率モーターを手にするシード権の獲得につながり、グランプリ優勝戦への進出、ひいては1億円の超絶ビッグボーナスが一気に現実味を増してきます。

残るSG競走は10月のボートレースダービーと11月のチャレンジカップ。さらに、各地でG1格の周年競走が続きます。この機を制することができた選手がいた場合、ベスト18はおろか、ベスト6さえも脅かすことになるでしょう。


2022年も夏が終わって勝負駆けの秋が来る

見る者すべてを夏の暑さよりなお熱くした戦いは終わりました。季節は移ろい、秋が到来します。世の中には読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋といろいろな秋がありますが、ボートレースにとっては「ラストチャンスの秋」とも言えるでしょう。

もちろん、ボートレーサーにとっては、あらゆる季節が常に戦いです。それでも、明確に超えるべき線が見える意味で、秋はすべてのレーサーにとって「勝負の秋」になります。スタートでコンマ00の極限を目指すように、わずかな額でもライバルの獲得賞金を上回れば、誉れあるボートレースグランプリへ進むことができるのです。

2022年、様々な「史上初」で彩られた1年の、スパートが始まります。すべては年末の、これもまた史上初の「発祥地グランプリ」のために。その100分の1秒を見極めて、選手たちは命懸けで戦い続けるでしょう。


コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。